2023年06月01日

エスンバだより: きょうはマダラカデー

今日6月1日は、ケニア共和国がイギリスからの自治権を獲得したことを記念する「マダラカデー」です。ケニアで初めて定められた祝日だそうです。


独立を前に自治権を獲得したのは1963年で、今日でちょうど60周年になります。

本日のケニアの新聞には、60歳を迎えたケニア共和国について、独立までの闘いの歴史や祝福の記事がたくさん掲載されていました。

中でも印象的だったのは、サミュエル・ゲニー元国会副議長のインタビュー記事でした。

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ゲニー氏は、カプサベット男子高校初の黒人校長を務めた後、国会議員、国会副議長、そして選挙管理委員会(ECK)委員を務めました。ケニア国家の成長や政治変遷を中心で見守ってきた立場として、今後の政府の在り方について意見を述べています。


ゲニー氏は、国が60歳を迎えた現在もなお、ケニア人が職を求めて他国へ流出し続けているのは、この問題に対処できるリーダーがいないからだと主張しています。ゲニー氏曰く、ケニアは教育を受ける機会に恵まれており、多くの卒業生を輩出しているのにもかかわらず、卒業後の就労の機会が十分ではありません。

ゲニー氏は、「政党は票獲得の手段として利用されるのではなく、経済成長を可能にする優れたプログラム実施のために自ら策定した政策をきちんと支持する必要がある」と続けています。

現在、ケニアでは毎日のように物価が上昇し続けています。

昨日は40円で売っていたヨーグルトが、今日は80円になっているという具合です。

ケニアの平均所得は1か月3万円。これでは何も買えなくなってしまいます。


給与の未払いも問題です。

チャリティの親戚で、公立高校で教師をしているお母さんは、2か月も給料が振り込まれていないそうです。

これは1つには政府が税率を上げ続けていることが原因で引き起こされています。


国を変えるのは、国際機関でもODAによる資金援助でもなく、その国の国民であり教育であるとここに来て深く感じるようになりました。


ケニアには、想像以上に富裕層がいるのもよくわかります。それだけ貧富の差があるということです。

皆さん1人ひとりが勇気をもって行動すれば、国内で貧困は解決できる気がしています。


ゲニー氏が言うように、正しい教育により正しい政策がなされ、ケニアがより良くなることを心から祈っています。


(おすぎ)
posted by resultsjp at 20:19| Comment(1) | ケニア

原爆の残酷さ:小説「五十鈴川の鴨」から

5月27日付日本経済新聞の「文学周遊」のコーナーに、竹西寛子著の小説「五十鈴川の鴨」のあらすじが記載されていますが、本作を通して、原爆の悲惨さを感じることができます。


本作は、主人公が建築業界のセミナーで同業界で勤めていた岸部に出会い、2人は意気投合します。ただ、主人公は家でもてなしたいと誘うが、岸部は頑なに断り続けていました。会わなくなってしばらくすると、岸部と結婚しようとしていた香田から、岸部の訃報と家族全員が原爆で亡くなり、彼自身原因不明の症状で治療を続けていたことが明かされます。彼からの託は、主人公とセミナー帰りに周辺を散策した日は良い日だった、ありがとうとの言葉でした。主人公は節々で彼の家族への想いや戦争への悲しみなどを思い起こします。


原爆は熱線や爆風のように一瞬にして物体を破壊する力を備えていますが、放射能のように生物や環境に目に見えずとも深刻な影響を与える力もあります。原爆の影響は被ばくした方の子孫にまで影響をもたらします。目に見えない不安を募らせていくのです。


つい先日、広島でG7サミットがあった際、その成果をどう捉えるかとのブログを書きました。


戦争によって被ばくした地域、広島へG7各国の首脳が集結すること自体が、私は非常に意義深いものと思っていました。

ただ、ふたを開けてみると、「被ばく地で行った意味がない」「サミットは大変な失敗だった」との厳しい声、否定的なコメントも多く見受けられました。わざわざ広島まで来てもらったのに、核兵器を全否定するどころか、核抑止論を正当化する流れがあったことに起因しています。


G7サミットを巡る賛否の記事はこちら:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190363146.html


原爆の悲惨さは実際に被ばくされた方やその方から直接話を聞く方がよくわかるものだと思いますし、当時の映像や被ばく体験をもとにした作品からも感じ取ることができます。

私が言いたいのは、原爆はいかなる場合であっても正当化されることがあってはならないということです。それを正当化しようとしている非人道的な安全保障体制の考えには常に怒りをもって対抗していきたいと思います。

必ず人類はこの課題を乗り越えられると信じ、希望をもって、核兵器の問題に注目していきたいです。


Watagashi

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夢を追いかけるためには:研究者目指す若者の例から

5月28日付の読売新聞「人生案内」に、研究職を志す大学院生の経済問題に関する相談が記載されていました。

相談は大学院生の20代男性が、お金に厳しい父親から博士過程進学後は全て自己負担でまかなうよう言われるなど、経済的自立を迫られることで、研究にも手がつかず、夢を諦めなくてはならない状況に生きる希望が見えないというものでした。


大学教授の山田昌弘氏は、一生を捧げたいと思う分野に出会えた喜びを理解した上で、今まで親が何不自由なく教育を受けさせてくれたことに感謝しなさいと述べられました。ただ、本気で追いかけたい夢ならば、実力を示して外部から返済不要の奨学金を得られるくらいに認められるよう努力しなさいと答えていました。私にとってはいささか厳しい答えにも感じました。


私も夢がありますが、それには予備校に通う必要があり多額の資金が必要です。自分の進みたい道に行くには、結局お金じゃないかと思っていた時期もありました。しかし、それは甘えた考えであって、お金がなくても実力で自身の理想を目指して努力し、結果をつかみ取った方々はたくさんいらっしゃいます。大学の先輩で夢を勝ち取った方から話を聞くと、皆さんが信じられないほどに努力に努力を重ねられており、結局は自分が、その目指したい将来に向かってどれほど本気になれるかにつきるのだと感じています。


日本リザルツではアフリカに行きたいとの夢を持った先輩が、白須理事長などのサポートのもとクラウドファンディングでお金を貯め、ケニアに向かわれました。私も将来の夢の職業に向けて、自分で自分の道を切り開くよう努力を続けてまいりたいと思います。


Watagashi

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新たな食料安全保障体制を考える:スマート農業と昆虫食

5月25日付の日本経済新聞、高校生向け特別版の記事に日本の食料安全保障問題についての内容が記載されていました。

日本は、食の西洋化が進み、自給率の低い油脂類や畜産類の消費が拡大したことで、食料自給率が減少しています。三菱総合研究所の平野勝也氏は国内の農業生産量を高める必要を指摘しており、そのための一つの策として、スマート農業が紹介されています。


スマート農業とは、生産現場で起こる様々な課題をロボットやAIなどのICT技術を活用して解決するというものです。一定の効率化が図れる技術ではありますが、同研究所の竹川翼氏は、導入コストや活用できるほどの農地規模があるかどうかなど考慮すべき点が多くあると指摘しています。その上で、今後、企業化する経営体が増え、農地を大規模化する方向へ動いていけばスマート農業が活かされるのではと述べています。


工業的な農業は大量生産するにはもってこいの概念であると思いますが、それが食のあるべき姿を捻じ曲げないかを懸念しています。バイオ系の技術で品質改良を重ね、旬に関係なくあらゆる食材が手に入る時代になりました。人々にとって便利にはなりましたが、食料安全保障の面では、食に偏りがでるなど脆弱な状況が作られているのも事実です。

効率化を目指そうとすると、地方の広い土地を生かして農業を進めることになりそうですが、地方から都市部に運ぶための輸送費や輸送によって出る温室効果ガスなど、問題も多々あります。

大規模な農地を開発し、スマート農業を推し進めるよりも、地産地消の体制が整えられるように国が補助金を出すなどの政策を打ち出すべきではないかと思います。


また同紙面には、同じ食料安全保障問題に関して、昆虫食の可能性についても論じられています。人口増加が問題視される中、メタンガスの発生を抑制したり、家畜飼料として活用することで魚の餌の高騰問題も解決へ導いたり、宇宙環境での食料源に活用出来たりと様々な可能性を秘めた昆虫食がよく話題に上がります。昆虫食に関する内閣府のプロジェクトリーダー由良敬教授は昆虫食へ多大な期待を寄せています。


私も以前、昆虫食をオフィスで食す機会がありました。コオロギはそのまま体が残っているものを食べましたが、味はよく言われているようにエビのような甲殻類の味がしました。個人的には、味に関しては可もなく不可もなくといった感じで、もし将来的に食べなければ生存できない状況に追い込まれれば食べられるなと思っていました。


昆虫食実食の模様はこちら:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190248786.html


私たちが購入した昆虫食のセットは日本で作られ、食用のために特別作られたものだったため、とても価格が高かった印象を持ちました。わざわざ昆虫を食べるのにそこまでお金はかけたくないというのが正直な感想でしたが、これから開発が進めば価格も抑えられてくるのではないでしょうか。

ただ、私は虫の体を敢えて残して製造されたものを食べましたが、これはわざわざ残す必要は全くないかと思います。人間は自身が食べやすいように様々工夫して食を彩ってきました。昆虫食も今後食べる必要に皆が迫られるかもしれませんが、皆が受け入れやすいように、より一層工夫をしてもらいたいです。

新たな食料安全保障体制が議論されていますが、古くから続く地産地消、旬産旬消の概念も大事にしていきたいです。


Watagashi

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2023年05月31日

速報:高円宮妃久子さまと承子さまがパレスチナ難民キャンプを訪問

高円宮妃の久子さまと長女の承子さまが皇太子の結婚式に参列するため、ヨルダン入りされています。30日にはUNRWAが管轄するパレスチナ難民キャンプを訪問されました。

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報道はこちらを参照:

https://news.yahoo.co.jp/articles/23511c07dc8f86e32ed1e7083784b661051e994c


久子さまと長女の承子さまは難民キャンプ内を視察されたようで、保健施設では、清田保健局長が管轄されている保健プログラムについても説明を受けられました。具体的には、母子保健モバイルアプリケーション、非伝染性疾患モバイルアプリケーションなど最新の技術を駆使して、難民の皆さんの健康状態を管理していることを紹介されたようです。ここには日本の母子手帳やNCDsに関する知見も活かされています。


UNRWAのニュースレターはこちらを参照:

https://www.unrwa.org/newsroom/news-releases/celebrating-70years-partnership-and-solidarity


高円宮妃久子さまがヨルダンのパレスチナ難民キャンプを訪問されるのは、1996年に故高円宮殿下とともにバッカアキャンプを訪問されて以来で、今回が2度目となります。UNRWAのニュースレターでも「今回の訪問は、日本とUNRWAのパートナーシップ70周年に当たり、UNRWAとパレスチナ難民に対する日本の継続的なコミットメントとサポートを強調するものだ」と久子さまの訪問を歓迎されていました。


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清田先生がいらっしゃるのがわかります。


日本リザルツは予てより、UNRWAの活動を応援しています。高円宮ご一家は国際協力分野に非常に造詣が深いことで知られており、久子さまはもちろん、承子さまも慈善団体に勤務されているなど率先して活動をされています。今回の訪問は、理解のあるお二方に、現場の最前線で1人ひとりの患者さんに向き合って奮闘されている清田先生の取り組みと現場の生の声を聞いていただく貴重な機会となったようで、非常に大きな一歩だと私たちも嬉しく思っています。

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低成長なのに税収増?

28日付の日本経済新聞に「低成長で税収増の不思議」という面白い記事がありました。

記事はこちらを参照:

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71398610Y3A520C2MM8000/


通常、経済が成長すると個人や団体が得られるお金が増えるので、税収が増えると考えますが、最近はそれが崩れてきているようです。コロナ以降の経済回復途中な上、インフレが追い打ちをかけていても、2022年度の税収は70兆円を超すペースです。

なぜこうしたことが起こるのでしょうか。変動が起きたのはコロナ禍の3年間のようです。

例えばマイナス成長にも関わらず、2020年度の税収は60兆円強と過去最大でした。

ここにはいくつか理由があるようです。まず法人税の増加です。政府は法人税を8兆円まで落ち込むと見積もっていましたが、実際は11.2兆円と昨年度比から増えました。飲食や宿泊などは落ち込みましたが、ゲームなどの巣ごもり消費は売上が好調だったので、製造業においては業績が好調だったのです。法人税は赤字だと納める必要がんなく、コロナで打撃を受けた中小企業は4割程度しか法人税を払っていなかったようで、大企業の利益を合わせると、過去を上回る形となったようです。

次に、フリーランスや副業の増加も原因の1つとしています。所得税の中身を見ると、配当による課税が11年前と比べ、3倍以上になったそうです。

最後が消費税率の上昇です。201910月に8%から10%に上がりました。さらに、22年度以降は円安による輸入品の高騰やインフレなどの影響も出てきて、自ずと税収も増えたのです。

果たしてこれはいいことなのでしょうか。

記事では税収の増加=国家予算や国債の償還に利用できる余裕が増えるので、国の財政運営的にはプラスとしていますが、コロナ禍では巨額の補正予算を編成し、国債の発行額が積みあがったことも指摘し、「バランスといかに取るかが重要」としています。


尚、同じ日の新聞の「春秋」に東京帝大の民法の大家、末弘厳太郎教授の随筆の抜粋が載っていました。

―――

「役人学三則」より:役人たるもの@広く浅い理解A法規を盾にした形式的理屈B縄張り根性―が要る。

―――

春秋では「要は皮肉なのだが、1世紀近くを経てもなお洞察は色あせない」と突っ込んでいましたが、今回の税収の話にも当てはまる部分があるのではと思いました。見かけ上税収が増えていて政府としてはそれでよくても、実際の国民の皆さんの生活が良くなっているか?というとそうは言えません。

政府は昨年以降も防衛費の増額やこども政策への予算倍増など、さまざまな方針を打ち出しています。本当に国民の皆さんのためになる政策を着実に皆さんに届けてほしいと願うとともに、財源については未来を担う世代にツケが回らないような方法を取っていただきたいと思うばかりです。


春秋はこちらを参照:

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2636P0W3A520C2000000/

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posted by resultsjp at 17:20| Comment(1) | 情報

役所広司さんがカンヌ映画祭で最優秀男優賞授賞!:モデルになったトイレは?

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭において、俳優の役所広司さんがドイツのヴィム・ヴェンダース監督の作品「PERFECT DAYS」で、最優秀男優賞を受賞しました。

日本人俳優がこの賞を受賞するのは19年ぶり2人目です。


報道はこちらを参照:

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230528/k10014080641000.html


映画は東京・渋谷にある公共トイレを舞台に撮影した作品で、トイレの清掃員として働く主人公の男性を役所さんが演じています。実はモデルとなっている公共トイレは実在するもので、日本リザルツと親交がある日本財団が運営している「THE TOKYO TOILET」プロジェクトのものです。

これまで汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られていた公共トイレですが、渋谷区の協力で、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できるものを区内17か所に設置。デザインは世界で活躍する建築家やデザイナーの方が携わっています。

https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/thetokyotoilet


余談ですが、ヴェンダーズ監督が師匠として敬愛するのが小津安二郎監督です。役所さんの受賞を「私の笠智衆」と讃えました。笠智衆さんは小津作品によく出ている名優で、代表作の「東京物語」に出てくるヒロインの名前は「紀子」です。

あれ?どこかの魔法使いと同じ名前だと思ったのは私だけではないはずです。


背景を知った上で、映画を見るとまた違った印象を持つかもしれませんね。

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アレルギーはなんで起こるの?

27日付の日本経済新聞にアレルギーが起こるしくみについてわかりやすく記された特集が載っていました。

食物アレルギーは特定の食べ物に体が過剰に反応することを指し、具体的にはじんましんやかゆみが出ますが、アナフィラキシーショックなどの深刻な症状を起こすこともあります。

記事に登場する博士によると、免疫機能について理解する必要があると言います。本来、免疫は外から入って来た病原体などの異物を見つけて攻撃してくれます。

アレルゲンは病原体でないので、通常なら免疫は反応しないはずなのですが、この仕組みがうまく働かないと、アレルゲンに免疫が反応して抗体を作ります。それが血管などに作用することでアレルギー症状を起こすのです。

また、皮膚を通じて起こるアレルギーもあるそうです。皮膚にはアレルゲンから体を守るためのバリアー機能があります。ただ赤ちゃんなどが湿疹などの影響でこの機能が弱まっていると免疫が反応し、次にアレルゲンを含む食べ物を口にするとアレルギー反応が出るそうです。これは赤ちゃんに多いようで、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの皮膚をケアすると、卵アレルギー発症のリスクが抑えられるという研究成果も出ているようです。

博士は花粉症とアレルギーの因果関係についても説明しています。例えばトマトはスギ花粉のアレルゲンと似た形のタンパク質を含むため、スギ花粉の人がトマトを食べてアレルギー反応を起こすことがあるそうです。

私も深刻ではありませんが、アレルギーがあります。ただ、そればかり気にしていると楽しくご飯を食べられなくなるのも正直な気持ちです。きちんとした知識を身に付けることはもちろんですが、「食べることを楽しむ」気持ちをそがないような取り組みが必要だと思います。


以前、卵アレルギーに関する記事を共有させていただきましたが、日本にはアレルギーに関する知見や技術がどんどん増えてきています。これがどんどん発信されることを期待しています。

そのときのブログはこちらを参照:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190303954.html


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posted by resultsjp at 15:43| Comment(1) | 情報

ハマユリと恋心:読売新聞の短歌より

読売新聞の四季の欄に日本リザルツでおなじみの花、ユリに関する短歌が載っていました。


夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ

(現代語訳)夏の野の茂みに咲いている姫百合が誰にも知られないように、相手に知られていない私の恋は、苦しく切ないものです。


作者は大伴坂上郎女。額田王以後、最大の女性歌人ともいわれ、万葉集には女流歌人のなかでは最多の長歌・短歌合わせて84首が収録されています(個人でも3人目の多さ)。ただ百人一首に取り上げられていないので、万葉集の編者の1人だった大伴家持の叔母とかのほうが耳馴染みがいいかもしれません。


姫百合はスカシユリの一種です。スカシユリの俗称は日本リザルツでもよく出てくるハマユリです。

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ハマユリは日本リザルツが東日本大震災後、地域の皆さんの心のケアに関する取り組みを実施していた釜石市の花です。2013年にははまゆりサミットを開催。14年にはイボンヌ・チャカチャカさんをお招きし、はまゆりプロジェクトを行いました。

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はまゆりサミットについて:

http://resultsjp.sblo.jp/article/75887090.html


イボンヌさんの釜石訪問はこちらを参照:

http://resultsjp.sblo.jp/article/99369425.html

http://resultsjp.sblo.jp/article/99592859.html


ハマユリ関連で、当時のスタッフの方が書かれた主なブログはこちらを参照:

http://resultsjp.sblo.jp/article/71557338.html

http://resultsjp.sblo.jp/article/101788109.html


尚、大伴坂上郎女の歌、恋歌が非常に多いです。調べてみると、恋多き方のようで、少なくとも生涯に3度の結婚をしたほか、数多くの男たちとの間で相聞の歌を残しているようです。百人一首をはじめ、平安以降の短歌に耳馴染みのある方には思ったことをそのまま言ったようにも聞こえますが、逆に言えば、坂上郎女の思いがありのままに言葉になっているのかもしれません。

例えばこんな感じです。


来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを

(現代語訳)愛しいあなたは来ようといって来ない時があるのに、それが来ないって言ってるんだから来るのを待ったってしょうがない。だって来ないっていってるんだから。


黒髪に白髪交じり老ゆるまでかかる恋にはいまだ逢はなくに

(現代語訳)黒髪に白髪が交じる老年の今日まで、これほどの恋にはいまだ出逢ったことがなかったわ!


こちらですが、きっと晩年に読んだのでしょうと思いきや、なんと30前後に詠まれた歌だそうです。今と平均寿命が違うにせよ、いささかショックでした。

女心はいつの時代も変わらないのか、私も読んでいてちょっとどきっとするような歌もありました。

2024年の大河ドラマは紫式部をテーマにした「光る君へ」ですが、もしかしたら、大伴坂上郎女は小野小町や伊勢、そして紫式部や清少納言にも影響を与えたのかもしれません。

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2023年05月30日

気候変動はトレンド?:マルパス総裁のインタビューとインパクト投資の記事より

29日付の日本経済新聞に61日に退任される世界銀行のマルパス総裁のインタビュー記事が掲載されていました。

新型コロナウイルスを皮切りにした経済低迷とウクライナ侵攻に伴うインフレで途上国の債務問題が悪化していることについて、マルパス氏は債務問題の再編には時間がかかるとした上で「1つひとつのステップに時間がかかりすぎて、救済に至らない」と現状を指摘しています。その上で、最大の貸し手である中国に対して「債務負担の軽減への合意を望んですべき」と協力を促しています。

直近では米銀の破綻などのリスクが起こっていることについては、株式市場自体は安定しているが、特定分野の株価のミスマッチが起こり、それが調整されたと分析した上で、金利がゼロに近い状態が続いているので、かなりの時間を要すると指摘しています。また、今のインフレは政府支出の大幅な増加や(中銀が)金利を安く抑えすぎたことなどさまざまな要因が重なって起こったとし、「先進国の政府は歳出の伸びを抑える方法を検討すべきだし、中銀もインフレに関して信用規制などより多くのツールを使うべき」としています。

マルパス氏は政策立案者に財政と金融政策の両方を見直し、財政規律を復活させる必要があると指摘しています。

マルパス氏の任期は20244月までですが、満了前に退任されます。気候変動については、世界的課題に対処するための融資拡大に向けた世銀改革を加速するよう、イエレン米財務長官などから強く求められてきました。

インタビュー内でマルパス氏は気候変動について、2021年からの気候変動行動計画は投資額だけでなく効果を最大化する必要があったとし、すでに25か国で脱炭素に関する分析レポートを出したことを説明。その上で「世銀は成長の重要性と成長を阻む障壁を特定するという点で非常に良い仕事をした」とと自身の成果を述べました。


ロイター通信の報道はこちらを参照:

https://jp.reuters.com/article/worldbank-malpass-idJPKBN2UP1T1

マルパス総裁のインタビュー全文はこちらからお読みいただけます。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2402A0U3A520C2000000/


奇しくも、紙面ではインタビューの下に社会・環境問題の解決を目的とするインパクト投資に関して、金融庁が指針を初めて作ったという記事が載っていました。新規性、効果と収益性の明確化など、客観的な指標を設けることで、投資対効果があいまいだったこの分野においてインパクト投資をうたった資金集めを防ぎ、投資家により適切な情報が開示されることが目的です


記事はこちらを参照:

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2662D0W3A520C2000000/


インパクト投資は財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。一般的なESGに比べ、「投資がもたらす社会面・環境面での課題解決」をより強く意図していることに特徴があります。


2つの記事は違うものにも見えますが、気候変動や環境問題について、金融や投資の面からも注目が集まっていることがわかります。私たちも今後の動きに注目していきたいと思います。

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