【SDGsの目標アイコン】
今年がミレニアム開発目標(MDGs)の最終年ということで、国連は一昨年よりポストMDGs(ポスト2015開発アジェンダ)の討論を積み重ねてきました。そして今月25日、世界各国の首脳が参加する国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。
MDGsとSDGsとの関連と違いはどこにあるでしょうか? ざっと分かりやすく羅列してみます。
@目標数が違う:MDGsは8目標21項目でしたが、SDGsは17目標169項目を対象にしています(下記の一覧表を参照)。なぜこんなに違うのかと言いますと、MDGsは主に途上国の貧困や保健衛生などベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN:人間の生存のための基本条件)が対象でしたが、SDGsではBHNはもとより、持続可能な経済成長、気候変動を含む地球環境、社会的格差・不平等等の問題など課題が多岐にわたるからです。
A達成度合いが違う:MDGsは1990年から2015年までに「極度の貧困を半減する」「乳児死亡率を3分の1にする」等という「削減率」を掲げていましたが、SDGsは2015年から2030年までに基本的に「ゼロにする」というものです。これは「誰一人も置き去りにしない(Leave no one behind)」という理念から来ています。
B先進国も対象に:MDGsは先述したように主に途上国が対象でしたが(正確には8つの目標中の1つが先進国対象)、SDGsは先進国も対象となります。
一昨年からの国連(&国家間)議論の経過を見てみますと、よくこれだけの課題をSDGsとしてまとめることができたなと思います。が、反面、あまりにも多岐にわたり、肝心のMDGsでのベーシック・ヒューマン・ニーズでの未達成部分ならびにそれをゼロにするまでの取り組みが疎かになるのではないか、と懸念します。
具体的に言いますと、MDGsの第一目標は「2015年までに極度の貧困(1日1.25ドル以下での生活)を半減する」でしたが、この目標は2010年にはほぼ達成できました(1990年途上国人口の47%⇒2010年22%)。しかし、よく見ると削減の6割は実は中国の経済成長や取り組みによるものです。残念ながら、サブサハラ・アフリカでは2015年になっても半減を達成できないでいます。その結果、地球上の8億人がいまだ1日1.25ドル以下で生活するという超々貧困状態に置かれています。SDGsではこの8億人の貧困者を2030年までにゼロにしなければならないのです。が、あれもこれもそれもやらなければと言っているうちに人間として生存するという基本ニーズへの取り組みが疎かになってしまうのではないか,という懸念です。【次回はSDGs達成のための資金についての考察を行います】
(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
●MDGsとSDGsの一覧
MDGsとSDGsの一覧表.pdf