2015年09月03日

夜と霧 第二弾 人生が私達に問いかける

随分空いてしまいましたが、ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」の読後感想の第二弾です。

筆者は強制収容所に収容された人間として、極限の状況に追い込まれながらも、一人の精神医学者として、周りの同胞を見つめます。人間の精神が収容所という特異な社会環境に反応するとき、このような影響に屈するしかないのか。すなわち人間は生物学的、心理学的、社会学的となんであれ、様々な制約や条件の産物に過ぎないという説は本当だったか。筆者の最大の関心事であり、観察を行う重大な動機なのでした。

筆者の最大の発見は収容所では殆どの人達が絶望に打ちひしがれ、感情を消滅しただ生存を願うだけの生活を送り、典型的な「被収容者」となっている中でも、精神的存在を保ち続けた人達がいたということです。
あるエピソードが紹介されています。
筆者が収容所で診察する中で、病床に臥せる若い女性がいたそうです。

この若い女性は数日のうちに死ぬことを悟っていた。なのに、実に晴れやかだった。
「運命に感謝しています。だって、わたしをこんなにひどい目にあわせてくれたんですもの」
彼女はこのとおりに私に言った。
「以前、なに不自由なく暮らしていたとき、私はすっかり甘やかされて、精神がどうこうなんて真面目に考えたことがありませんでした。」
その彼女が最後の数日、内面性をどんどん深めていったのだ。
「あの木が、ひとりぼっちの私の、たったひとりのお友達なんです。」
彼女はそう言って、病棟の窓を指さした。外ではマロニエの木が今まさに花の盛りを迎えていた。板敷きの病床の高さにかがむと、病棟の小さな窓からは、花を二つつけた緑の枝が見えた。
「あの木とよくおしゃべりをするんです」
私は当惑した。彼女の言葉をどう解釈したらいいのか、わからなかった。譫妄状態で時々幻覚に陥るのだろうか。それで私は、木も何か言うんですか、とたずねた。
そうだという。ではなんと?それに対して、彼女はこう答えたのだ。
「木はこういうんです。私はここにいるよ、わたしは、ここに、いるよ、私は命、永遠の命だって」
(ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」新版 みすず書房より抜粋)

最後の瞬間まで誰も奪うことのできない人間の精神的自由は、彼女が最後の息を引き取るまで、その生を意義深いものにしたというのです。仕事をばりばりするような行動的な生や、自然や芸術などを探求できる恵まれた生だけでなく、強制収容所での生のような一切が皆無の生であっても深く意味はあるのだと。

筆者は更に言います。生きる意味を何か問うのではなく、むしろひたすら、生きることが私達に期待しているかを考えるべきだと。もういい加減、生きることの意味を問うのはやめ、私達自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。
生きることは日々問いかけてくる。私達はその問いに答えを迫られている。考え込んだり、言辞を弄することによってではなく、ひとえに行動や適切な態度によって、正しい答えは出される。生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務を引き受けることに他ならない。

筆者の主張を大変印象深く受け止めました。実感を持って理解するのは簡単なことではないとも思います。しかし日本リザルツで活動する中で知った人達、多剤耐性結核の病棟で絶望的な気持ちを抑えながら生きている患者、家族の多くを無くし、明日をも知れない状況の中で日々を生きるパレスチナの少年少女を思うとヒントが見えてくるのかもしれません。このような今、例えようの無いほど困難な状況の中にいる人達は、ある意味、筆者が経験した世界と同じところにいるはずです。そのような中で人間の精神を高く保っている人がいることは、素晴らしいことなのでしょう。きっと私のみならず多くの人達に勇気を与えるはずです。いや勇気だけなく、人間観、連帯し寄り添う心を沢山の人達に惹起させるかもしれません。真に英雄になる人なのかもしれません。

長い文章になってしまい恐縮ですが、エピソードも含めてここに投稿し残しておきます。いつの日か読み返す機会があって、筆者の深い意味を少しでも理解したことを感じられたら、この上ない喜びとなるという極めて個人的な願望も込めています。
(心理学専攻)
posted by resultsjp at 23:34| Comment(2) | 情報

第7回ポリオアドボカシーミーティング

8月31日(月)、第7回ポリオアドボカシーミーティングがJIGH(Japan Institute for Global Health)にて開催され、日本リザルツも参加しました。ポリオ根絶に関心を持つNGOがおよそ2か月に1度開いている定期会合で、今回はJIGH、ユニセフ東京事務所、国際ロータリー日本事務局、世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)といった団体が顔を合わせ、主に10月24日のポリオデーに向けた活動状況などを共有しました。

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JIGHさんより、ポリオ議員連盟のアップデイトや、10月26日に衆議院第一議員会館にて予定している世界ポリオデーシンポジウム「最終段階にきたポリオ根絶の危機に向けた日本の挑戦」の紹介がありました。(ご関心のある方はこちらより申し込みください。)

また、ユニセフ東京事務所では、ポリオ根絶の重要性を分かりやすく知ってもらうためのビデオを作成したとのことで、Youtubeにアップされていますので、ぜひご覧ください(高木)。





posted by resultsjp at 17:20| Comment(2) | GAVIキャンペーン

外務省、国際連帯税(国際貢献税)を新設要望>28年度税制改正要望で

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今こそ、航空券連帯税を!

8月31日が、各省庁からの28年度(予算)概算要求と税制改正要望の提出日でしたが、外務省から税制改正で
「国際連帯税(国際貢献税)」の新設要望が提出されました。

「飢餓や感染症など地球規模課題への対処を始めとするミレニアム開発目標(MDGs)及びその後継として本年9月の国連サミットで採択される予定の『持続可能な開発のための2030アジェンダ』(2016年から2030年までの新しい国際開発目標)等にも示されている世界の開発需要に対応するためには,伝統的ODAのみでは資金量が十分ではないとの認識から,革新的資金調達に対する関心が高まっている」と分析し、国際連帯税(国際貢献税)を要望しています。

これで9年連続要望です。今年こそ実現させたいですね!

(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 10:28| Comment(3) | 国際連帯税の推進