2015年09月12日

欧州難民問題:これは必読『難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断』(日経ビジネス)

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写真はレポート文に掲載された「ミュンヘン駅に到着した、難民の子どもの笑顔(筆者撮影)」から

日経ビジネス・オンラインに熊谷徹氏の『難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断』という興味深いレポートが掲載されています。ドイツは年内にシリア等からの難民を80万人受け入れる方針を決め、続々と欧州に入った難民たちを受け入れています。

熊谷氏は、こうしたドイツの政策を決定した9月5日を、「欧州の歴史を大きく塗り替える日となるだろう」と高く評価しています。お金がすべてではありませんが、難民のために新たに60億ユーロ(8400億円)も使おうというのですから、ドイツの決意は並ならないものがあります。また、市民たちの難民受け入れのためのボランティア活動を見ていると思わず目頭が熱くなります。

(一言、これだけ難民に対して暖かい姿勢を示すのに、どうしてギリシャに対して冷酷とも思える態度を取るのか理解に苦しみますが)

レポートの最後で熊谷氏は、「もしも日本に80万人の難民が流れ込んだら、我々日本人はどのように対応するだろうか?」と問うています。昨今ヘイトスピーチなど排外主義を強め、内にあっては生活保護世帯への異常とも言える攻撃など差別や偏見、そして不寛容の度を強める日本にあって難民受け入れは(引き続き)厳しいものがありますが、少しでも改善していきたいですね。

以下、『難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断』の超骨子です。

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歓迎する文化 
 私は、難民に対するドイツ人たちの今回の態度を間近に見て、感動した。彼らの態度を端的に表わすのが、Willkommenskultur (ヴィルコメンス・クルトゥーア)という言葉だ。英語でいえば welcome culture だ。日本語に訳すと、「歓迎する文化」になる。難民を拒否せず、温かく受け入れる姿勢が、いまドイツ社会のメインストリームになっている。ミュンヘンに限らず、ドイツ全国でボランティアたちが動き始めている。

ナチス時代の反省

 ドイツが難民の受け入れに踏み切った背景には、ナチス・ドイツが行った暴虐に対する反省がある。ナチスはユダヤ人や周辺諸国の国民を徹底的に弾圧した。一部のユダヤ人や反体制派が生き延びることができたのは、スカンジナビア諸国やスイス、米国などが亡命申請者を受け入れたからである。… ドイツが亡命申請者に対して寛容な態度を取る背景には、ナチス時代の経験を教訓として、戦争や政治的迫害に苦しむ市民に手を差し伸べるというこの国の「理念」がある。

国家エゴよりもモラルと倫理を重視
 メルケルは、自分の国の事情よりも、戦火を逃れて欧州にやってくる人々の救援を優先させた。そこには、国家エゴよりも人道主義を重視する、戦後のドイツ政府の基本方針が反映している。私は今年7月に上梓した「日本とドイツ ふたつの戦後」(集英社新書)」の中で、戦後ドイツがナチスの時代への反省から、モラル(道徳)と倫理性を重視する国になったと主張した。今回の難民危機に臨んでドイツが見せた態度にも、そのことがくっきりと表れている。

 80万人から100万人の難民を受け入れることは、豊かな国ドイツにとっても大変な負担である。…メルケル政権は9月7日、難民対応のための予算を60億ユーロ(8400億円)増額することを決めた。ヨーロッパには、難民対策のためにこれほど多額の予算をつぎ込んでいる国は、ドイツ以外に1つもない。

国富を弱者救済に回したドイツ
 ドイツ連邦政府は、好景気と低金利、国債発行コストの低下、税収の改善によって昨年約40年ぶりに財政黒字を実現し、国債を新規に発行する必要がなくなった。多くのヨーロッパ諸国が、いまだにユーロ危機の後遺症に苦しむ中、ドイツ経済はほぼ独り勝ちの状態にある。

 こうした中、フランスの人類学者エマニュエル・トッドの著作に代表されるように、ドイツを羨望し批判する論調がヨーロッパで強まっていた。だが今回ドイツは、国富を自分たちのためだけに使うのではなく、シリアなど紛争国からの難民にも分け与えることを決めた。この事実は、「ドイツ帝国が、自国の利益のためにユーロを導入し、ヨーロッパや世界を滅ぼそうとしている」という陰謀論に、冷水を浴びせると思う。ドイツ連邦政府が今のところ比較的冷静な態度を保っているのも、この国が財政黒字を生み、新規国債の発行が不要になっているためだ。財務大臣もヴォルフガング・ショイブレも、「ドイツはこの重荷に耐えられる」と語っている。

 メルケルの決断には、弱肉強食と自由放任主義を旨とする英米型資本主義とは一線を画し、政府が弱者に手を差し伸べる「社会的市場経済(Soziale Marktwirtschaft)」を標榜するドイツの哲学も反映している。

 私はミュンヘン駅で、難民たちを拍手で迎えるドイツ人たちを見ながら、ふと思った。「もしも日本に80万人の難民が流れ込んだら、我々日本人はどのように対応するだろうか?」。国家や、民族の軽重は、こうした瞬間に問われるのではないだろうか。

(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)




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募金活動考

東京も連日の大雨が一過、今日は晴れて気持ちのよい一日でした。
そんな中、いつものようにつなみ募金に参加いたしました。
思えば今日で東日本大震災から4年半。日本リザルツはその前のハイチ地震を契機に水道橋駅でこのつなみ募金を始めました。本当に長く続いていますね。

ところで個人的な体験ながら、つなみ募金には思い出深いことがあります。
水道橋駅で行っていた募金活動から今のオフィスに移って霞が関の経済産業省前で新たに募金活動を始めたときになぜか誰も全くパンフレットを受け取ってくれず、少なからずショックを受けました。水道橋駅の頃は一生懸命声を上げて募金活動を行うとパンフレットは存外受け取ってくれたものですが、同じ流儀でやるとこちらではさっぱりだったのです。これには愕然とし、日頃あまり工夫も反省もない私も何とかせねばならないところまで追い詰められてしまいました。

と言ってもどうしてよいかも分からず、取り敢えずまず声のトーンを変えてみました。
最初は情熱的に声を張り上げて配っていましたが一向に受け取ってくれません。
そこで今度は逆に低く静かに語りかけて配るようにしました。突然状況が変わりだしました。
更に今度は道行く方達との目線に気を付けるようにしました。
それまでなんとなく気恥ずかしさもあって声を上げながらも下を向いたりしていましたが、出来るだけ相手の目を見るようにしました。
そのうち、自分の表情も少し意識するようになりました。

そんなことをつらつら考えていたらなんと同じようなことがより理論的に書かれている本に巡り合ったのです。
日本リザルツのオフィスに出回っていた「超一流の雑談力」という本です。
この本では出会った瞬間に距離を進める一流の雑談術ということが説かれています。
多くの内容にそれまで直感的に感じていたことが文章で示され、とても共感しました。
因みにこの本は今ベストセラーだそうです。

うーん、世の中、悩んで辿り着くところは一緒なのかもしれませんね。
募金活動は、ある意味、自分を知る良い機会にもなっていたかもしれません。
色々教えてくれたつなみ募金に感謝です。
(和邇)
posted by resultsjp at 00:13| Comment(2) | 情報