2015年10月01日

シリアに住むパレスチナ難民の再難民化 - 悲劇を繰り返さないために

シリアなどから欧州を目指す難民の姿が、連日報道されています。
2011年1月から続くシリア内戦を逃れた「シリア難民」ですが、その中に多くの「パレスチナ難民」が存在することをご存知でしょうか。

イスラエルが建国した1948年に故郷を追われて難民となったパレスチナの人々は、以来、その子孫の代となった現在まで難民として暮らしています。
パレスチナ自治区のガザやヨルダン川西岸の他に、ヨルダン、レバノン、そしてシリアなどの周辺諸国に逃れ、いつか故郷に帰る日を夢見て生きてきました。

そして今、シリアで暮らすパレスチナ難民が、さらに現在の住み家を追われています。

難民の再難民化。

この非常事態に、国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長より、報告書が届きました。

清田先生は、ハフィントンポスト紙が、難民が鞄に何を詰めて避難したのか(Refugees Reveal The Contents Of The Bags They Flee With)を紹介した記事の中に、小さな鞄に「母子保健手帳」を持って逃げた20歳の女性が紹介されていたことを引用しています。
母子保健手帳は、日本の経験と知識を生かし、UNRWAが日本の支援によってすべてのパレスチナ難民に配布しました。

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「この写真を見た時、強く心を動かされ、非常に複雑な思いがした。
彼女が持つ唯一の鞄の中に、10ヶ月の娘さんの母子手帳を入れて下さった事は本当にありがたい。
我々の活動の証、いや勲章だ、という職員もいた。

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それとともに、彼女がどのような思いで母子手帳を選んだのか、あるいは、どのような思いで避難する前に唯一の鞄に入れるものを選んだのか、それを思うと胸が張り裂けそうである。
そして、その鞄を持ち、10ヶ月の娘さんとご主人との避難中の苦悩を考えると言葉はない。」

(写真:ハフィントンポスト紙より:http://www.huffingtonpost.co.uk/2015/09/08/syrian-refugees-reveal-contents-bags-flee-with_n_8102292.html


しかし、うれしいこともありました。

安倍総理が、日本時間9月30日未明に行った第70回国連総会での一般討論演説の中で、シリア・イラクの難民・国内避難民に支援に、昨年実績の3倍となる約8.1億ドルを表明しました。

そして、その演説の中で、清田先生が紹介したパレスチナ難民のことをお話くださったのです。

以下、引用。

嬰児(みどりご)をもつ母ならば,その健やかな成長を,それのみを願うことができる環境を,日本は作りたいと念じます。

 そう考えていたとき,一枚の写真に出会いました。ある難民女性の,カバンの中身を写した写真です。

 手荷物をたった一つだけ持って難を逃れるとき,人はカバンに,何を詰め込むのか。

 ダマスカス南方にあるパレスチナ難民キャンプを逃れ,ゴムボートで地中海を渡った二十歳(はたち)の女性,アベーサ(Aboessa)は,多くを持ち出せませんでした。

 写真に写っているのは,生後10ヵ月の,娘のものばかりです。

 靴下の替えが一足。一つの帽子と一ビンのベビーフード。眺めるうち,私の目は,ノートのような何かに釘付けになりました。

 ビニールで大切に包み,水がかかっても大丈夫なようにしてあるノートをよく見ると,それは,私たちがシリアの難民キャンプで配った「母子健康手帳」だったのです。

 日本では,懐妊を知った女性は手帳を貰います。母子の健康を長く記録するノートで「母子健康手帳」といい,この制度は70年以上続いています。

 手帳が書き留めた身長や体重を見て,わが子の成長に目を細める母のうち一体誰が,その同じ子が,成長したのち,恐怖の使徒となるのを望むでしょう。

 手帳は母の,「わが子よ,健やかなれ」と願う,祈りの記録です。それは力を帯びる。この子に,命を粗末にはさせじと,母親に念じさせる力です。

 絶望や恐怖を生む土壌を,母の愛で変えたいと願えばこそ,私たちは,パレスチナや,シリア,ヨルダンの難民キャンプで,母子健康手帳を配ってきました。

 そんな願いのこもった手帳を,脱出行(こう)のさなか,大切に持ち続けた女性が確かにいた。

 一人,ひとりを強くすることを目指す「人間の安全保障」の思想が,悲しくも,雄弁な結実を生んだことに,私は打たれたのであります。


(外務省ホームページより:http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page4_001404.html

私は昨日、清田先生の資料などを持ち、国会議員の先生方を訪れました。

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多くの方々が、難民問題に関心を持ってくださり、話を聞いてくださいました。
本当にありがとうございます。

引き続き、パレスチナ難民問題へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

(吉田)
posted by resultsjp at 20:29| Comment(2) | UNRWA

【ご案内】第5回サンキューセミナー「財政運営を通してみるグローバル経済への対応」 

爆弾低気圧が近づき、よどんだ天気になってきました。
週末のグローバルフェスタは晴天を迎えられるといいですね!

さて、以前ご案内した第5回サンキューセミナーがいよいよ迫ってきました。第1回で大好評をいただいた太田充氏を講演者にお招きすることもあり、すでに多くの方から申し込みをいただいています。日本政府の財政運営や世界市場における日本経済の在り方、日本企業やNGOとの関係についても直接お話を聞く貴重な機会となっています。まだまだ申し込みを受け付けておりますので、ぜひご参加ください!

【ご案内】10/13(火)第5回NGOサンキューセミナー「財政運営を通してみるグローバル経済への対応」


【ご案内】第5回NGOサンキューセミナー (通算第10回)

「財政運営を通してみるグローバル経済への対応」

ゲストスピーカー:太田 充 氏(財務省大臣官房総括審議官)

■日時:2015年10月13日(火)12:00〜13:30
■会場:日本リザルツ事務所(千代田区霞が関3-6-14 三久ビル5F)
■アクセス:https://goo.gl/maps/hMOtc
      東京メトロ 国会議事堂前駅 徒歩4分 溜池山王駅 徒歩5分
主催:特定非営利活動法人 日本リザルツ    
共催:動く→動かす(GCAP Japan)

中国経済及び上海株式市場に端を発する最近のグローバルな金融マーケットの変動は、金融市場だけでなく実体経済にも影響を及ぼし、全世界の人々の生活にも大きな影響を与えかねません。こうした金融マーケットにGDPの2倍にもなる国債を発行している我が国として、その財政運営は国際的にも注視されます。

今回のセミナーでは、これまで社会保障予算や税制改正、更には官邸での勤務などに携わってきた太田氏のご経験等を踏まえ、財政・経済運営の視点から、日本国、日本企業、日本国民としてグローバル経済にどう対応していけばよいのか、皆さんとともに考えてみたいと思います。

多くの皆様のお申込みを、職員一同心よりお待ちしております。

【サンキューセミナーとは?】
2014年1月より5回に亘って開催し、大好評頂いた「予算勉強会」。太田総括審議官には第1回において講師をしていただき、予算編成の仕組みなどをお話し頂きました。その後、政界・財界・官界のリーダーや、国際援助の舞台で活躍されるリソース・パーソンたちとの積極的な交流の機会を提供することを目的に始まったのが、このNGOサンキューセミナーです。ランチタイムの勉強会ですので、お弁当を各自持参ください。

【お申込み方法】
お手数ですが、下記登録フォームよりお申込みください。
http://goo.gl/forms/p9EUzc66k6

【略歴:太田 充 氏】
1983年 大蔵省入省
2005年 財務省主計局主計官
2009年 主計局総務課長
2011年 主計局次長、内閣総理大臣秘書官
2012年 大臣官房審議官(主税局担当)
2013年 主計局次長
2015年 大臣官房総括審議官(〜現在)

【お問い合わせ】
特定非営利活動法人 日本リザルツ  
担当:高木 晶弘
Tel: (03) 6268-8744 / Fax: (03) 3597-3448

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