2018年05月06日

EU長期財政計画でのFTTと10カ国FTT、日本での国際連帯税

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EU(欧州連合)では再び金融取引税(FTT)の議論が活発になってきたようです。この議論は二つの方面で行われています。ひとつは英国離脱後の備えてのEU財政に関しての議論、もうひとつはEU10カ国での先行導入問題に関しての議論です。このような欧州情勢と日本での国際連帯税について報告します。

1、欧州連合(EU)での長期財政計画案議論

前者につき、2021年からはじまる7年間の次期長期財政(多年次財政枠組み)に関して、欧州議会はすでに1月の段階で「自主財源による欧州連合システム改革(on reform of the European Union’s system of own resources)」という報告書を出しています[1]。同報告書では、VAT制度改革、共通連結法人税課税ベース(CCCTB)導入等の法人税改正、欧州レベルでの金融取引税、デジタル分野の企業に対する特別課税、環境税など、EUの新たな税収源を提案しています。

また、草案を提出する欧州委員会も、実は昨年6月の段階で、独自財源のオプションのひとつとして金融取引税を挙げていました[2]。ところが、去る5月2日に「未来のための欧州財政」[3]と題して欧州委員会草案が出されましたが、そこには金融取引税が入っていません。上記CCCTBと環境税(排出権取引への課税)が入っており、加えて非再生プラスチック包装廃棄物への課税が入っています[4]。

どうして金融取引税が抜けたのかは提案内容を読み込まないとなりません。またデジタル分野の企業に対する特別課税についても。ともあれ、この2021年からの長期財源については2019年いっぱい議論されていくことになりますので、欧州議会の議論との関係など事態の推移を見守っていきたいと思います。

[1]【EUReporter】#Long-Term Budget: MEPs want EU to have more own resources
[2]【commission】EU財務の将来に関するリサーチ・ペーパー(2017年6月28日) 
[3]【commission】EU Budget for the future 
[4]【commission】MODERNISING THE EU BUDGET’S REVENUE SIDE

2、欧州10カ国FTT議論>今月末から再交渉

後者(EU10カ国FTT)については、2016年10月以降交渉が止まっていましたが、Bloomberg Taxの報道によれば今月末から交渉を再開するようです。  

問題は、「新ドイツ連立政権がFTTへの強いコミットメントがあるかどうか、あれば確実に前進できる」と見られており、とりわけ新財務相となったオーラフ・ショルツ氏の手腕によるところが大きいようです。が、同報道ではショルツ氏はSPD(社会民主党)でも保守的でありあまり熱心ではないようだ、と研究者の話を紹介しています[5]。

そのショルツ氏ですが、財務相就任直後、次のようにFTTに関する意欲を述べていました。「欧州での金融取引税キャンペーンを再び行うが、これは(そもそも)過去の大連立政権の合意であった。が、一部のユーロ圏の意欲の欠如とドイツ財務相(ショイブレ前財務相のこと)のおかげで失敗してしまった」、と[6]。南ドイツ新聞報道の通りであれば、政治信条が保守的であってもFTTには前向きであるようにも思えますが、いかがなものでしょうか。

[5]【Bloomberg】EU to Restart Financial Transactions Tax Negotiations
[6]【南ドイツ新聞】Scholz: Deutschland muss mehr zahlen

3、FTTはSDGs財源のための有力なツールに>フランスの事例を見る

以上のように、ドイツで新連立政権が誕生してから欧州でようやくFTTの議論が活発化しそうな事態になってきました。現在、グローバル連帯税フォーラム(以下、フォーラムと略)で欧州FTTに関するセミナー等を行ってくれている津田久美子氏(北海道大学大学院)が調査研究でベルギーに滞在していますので、ブリュッセルやドイツ、フランスなどの最新情報について、帰国され次第報告していただく予定になっています。

ところで、フォーラムがFTTに拘るのは、その税収が世界の貧困や気候変動対策など地球規模課題解決のための資金として、今日的に言えば持続可能な開発目標(SDGs)の達成のための資金として役立つからです。

昨年末フランスで気候変動サミットが開催されましたが、開催に先立ち、フランスのルメール財務相など同国の閣僚4人が「金融取引税を導入すれば、2020年までに年間最大50億ユーロ(59億ドル=6300億円)を調達でき、それを気候変動対策の原資できる」としてFTT推進を訴えました[7]。 

そのフランスですが、航空券連帯税に続いて、2012年独自のFTTを導入しました。具体的には、「時価総額10億ユーロ以上の国内株式の購入に0.2%を課税する」というものですが、昨年1月より0.3%に引き上げられました(本年よりデイトレーディングにまで拡大する予定でしたが断念した)。2017年の税収は14億ユーロ(1800億円)で、その半分ほどがアフリカ支援等地球規模課題に使われているようです。

[7]【ロイター】フランス、欧州の金融取引税導入を推進へ

4、日本では国際連帯税を>航空券連帯税や独自FTTなどの実施が可能

日本では、2009年より外務省が税制改正要望として国際連帯税の新設を要望してきました。2012年8月にはいわゆる「税制抜本改革法」[8]が国会で成立し、その中で「…国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること」ということが法律として決められました(第7条第7号)。

しかし、これ以降政府はまったく検討を怠たり、毎年度の税制改正大綱から国際連帯税に関する文言を盛り込んでいません。そして前年度には、国民的議論はもとより自民党内ですら十分な議論もなく、大急ぎで国際観光旅客税(出国税、以下旅客税と略)を国会で成立させてしまいました(十分な議論を行い、また税収を連帯税的要素に拠出するものであれば出国税に反対するものではないが)。

当然国際連帯税のうちの航空券連帯税は旅客税と同じく国際線の飛行機が出国するときに課すものですから、旅客税が導入されてしまえば、さらにその上に連帯税を加えるというのは厳しいと言えるでしょう。しかし、お隣韓国では観光のための出国税(出国納付金)も連帯税(国際疾病撲滅基金)も徴収していますし、主要国の空港税・料金はおしなべて高いので、旅客税1000円を加えても日本の空港税・料金はまだまだ安いのです。従って、旅客税プラス連帯税という選択肢は十分ありえると言えます。

また、連帯税は経済のグローバル化により国境を越えて活動している経済主体に課税するという性格上、航空券(運賃)への課税だけではなく、航空や船舶の輸送(燃料)への課税についても国際的に議論されており、上記のように金融取引への課税もあります。まだ検討の段階ですが、当然ながら電子商取引への課税も考えることができます。

このような中で、去る4月25日、河野太郎外務大臣がシリア支援国会合で「国際的な税」の必要性を訴えました[9]。が、その必要な税につき直ちに実現するというのではなく、「いつかの時点で国際社会は作り上げる必要があります」というもの。確かに国際協定で決められるような(共通)税制はいまだ実現していませんが、その萌芽は至る所にあります。航空券税は14カ国で実施され、欧州FTTは10カ国で実施方を交渉しています。何よりも気候変動対策のとくに適応資金については、まだ実現されていませんが、共通税制の可能性を探ってきた経緯があります(炭素税やFTT)。またフランスは独自FTTを実施し税収の相当部分を地球規模課題に使用しています。

日本でも(当面一国でも)航空券税や独自FTTを実施することは可能ですので、未来の国際社会に期待するのではなく、河野外務大臣は国際的な税に関しての国際的イニシアティブを発揮していただきたいものです。

[8]正式名:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」 
【外務省】シリア及び地域の支援に関するブリュッセル会合 河野外務大臣ステートメント

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

posted by resultsjp at 22:28| Comment(4) | 国際連帯税の推進

第51回アジア開発銀行(ADB)年次総会における麻生副総理兼財務大臣総務演説

 5月3日から6日まで、フィリピンのマニラで、第51回アジア開発銀行(ADB)年次総会が開催されました。
5日に行われた麻生副総理兼財務大臣総務演説のうち、保健部分を抜粋し、下記に紹介いたします。
なお、保健については、「2.アジア・太平洋地域の発展と日本・ADB の役割 」の中の「総論、インフラ、防災、保健、債務持続性」の4項目となっています。      MK           
                     記
                  
2.アジア・太平洋地域の発展と日本・ADB の役割

<保健>
 質の高い医療や保健サービスの確保は、経済的安定と国の発展の礎であり、日本は、途上国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を重視しています。この観点から、昨年 12 月、ADB からもハイレベルの参加者を得て「UHC フォーラム」を東京で開催し、持続可能な保健財政システム確立のために財務大臣の果たす役割の重要性を確認しました。世界に先んじて UHC を実現した日本は、超高齢社会を迎える中で培った知見も活用しつつ、今後とも国際的な議論をリードしてまいります。
 また、UHC に加え、公衆衛生危機への対応も極めて重要であり、アジア開発基金第12次増資(ADF12)において設けられた地域保健枠が着実に活用されていることを歓迎します。昨年の横浜総会の際に、ヘルス・セキュリティと UHC の推進に向けて、ADBとJICAの間で協力覚書(MOU)が締結されました。この MOU に基づいてラオスやモンゴル等の国々で具体的な取組みが開始されていることを歓迎するとともに、これも契機に、ADBが保健分野での関与を強化していくことを期待します。
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春日部大凧祭り(スポンサー凧)

今年の春日部の大凧祭りは、5月5日の1日のみの開催となりました。このため、大凧や地元の凧を優先し、スポンサー凧や結核凧は、空に舞い上がる代わりに展示されることになりました。大凧を見学に来られた観客の皆様は、思い思いのデザインの凧を近くで見入っておられました。来年は、大凧と並んで空高く揚がることを祈っています。    MK
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Beautiful Mother Park 2018 @ YOKOHAMA

日本リザルツの浅野茂隆理事長は、昨日5日(土)に、みなとみらい 日本丸メモリアルパークで開催された「Beautiful Mother Park 2018 @ YOKOHAMA」のオープニングセレモニーでのテープカットに参加されました。

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浅野理事長は左から3人目

このイベントでは「スクスク子育てプロジェクト」として、「スナノミ症からアフリカの子どもたちを救え!」のタイトルのもと、日本リザルツが行っている中古靴(スニーカー)をアフリカに届ける運動を応援してくださっている公明党さんのブースもあります。ブースに立ち寄ると、靴を手にした親子連れの方達にお会いしました。

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又、テープカットには公明党の佐々木さやか議員も参加されており、浅野理事長ともお話しをされていました。

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皆様に支えられて運動靴は続々と集まっており、リザルツ事務所には箱詰めされた運動靴が山のようになっています。一日でも早くアフリカの子どもたちに届けたいです!(か)



posted by resultsjp at 17:27| Comment(4) | 情報

森元様にお会いしてきました!

日本リザルツが力を入れて取り組んでいるのが、栄養改善です。
先日、ケニアで食料安全保障について取り組む森元泰行さんについて、公明新聞の連載で取り上げさせていただきました。

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森元さんがケニアに戻られたということで、アブタさんと森元さんのオフィスを訪問しました。

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施設はナイロビ郊外にあり、豊かな自然に囲まれています。国連機関内にあるため、セキュリティも万全。立派な会議室もあります。

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森元さんにお会いするのが初めてだったアブタさん。
日本の知見を活かし、草の根で活動する森元さんに大変感銘を受けていました。
ケニアの政治家の卵アブタさん。今回の面会をヒントに、是非、ケニアの栄養政策改善について、すてきな政策提言をしていただけることを楽しみにしています。
(はるか)
posted by resultsjp at 16:05| Comment(4) | 情報

きれいなカンゲミ地区を目指して

日本リザルツはケニア・ナイロビのスラム街、カンゲミ地区で結核抑止プロジェクトを実施しています。
ケニアには、定期清掃活動の習慣がありません。
カンゲミ地区でも至るところにごみの山が見受けられます。

この状況を何とかしたい!
ということで、日本リザルツケニア事務所は職員一丸となって、清掃活動を毎日実施しております。

ヒルダさん、アブタさんとは、カンゲミヘルスセンターの清掃活動を実施しています。
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CHVリーダーのジョイスさんもお手伝いしてくださいました。

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ケニアには「ごみをごみ箱に捨てる」という習慣がありません。
周囲のごみを全て拾い、アブタさんと一緒に、「ポイ捨て禁止」の張り紙も掲示しました。

看護師のマギーさんと栄養士のシコさんは、フィールドワーク中にコミュニティの清掃活動をしてくださっています。
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こちらは日本リザルツがCHVミーティングなどで利用する教会です。
ごみがあちらこちらに散乱していましたが、きれいになりました。

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道路の清掃も行います。
こうした地道な活動が、徐々に広がり、地域のみなさんに清掃活動の大切さを知ってもらえるよう、困難に負けず、日本リザルツケニア事務所はこの活動を続けていきたいと思います。
(はるか)
posted by resultsjp at 13:28| Comment(4) | 情報