2019年01月14日

欧州10か国金融取引税再起動か?>共通予算(財政)の第一歩へ!

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ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領の政治的な求心力は低下していますが、昨年6月の両首脳会合で2021年以降中期のユーロ圏財政確立のための一手段として金融取引税(FTT)導入も射程に入れ合意していました。しかし、その後準備が遅れていまして、ようやくここにきて「両国はユーロ圏を強化するための努力の一環として、7年以上もの間続いてきた税の交渉に弾みをつけようとし…新しいドラフトを作成した」(下記、ブルームバーグ)ようです。

内容は、現在フランスが実施している株式取引税をベースに制度設計を考えているようで、具体的には「時価総額が10億ユーロ(12億ドル)を超える企業の株式」取引(購入)に0.2%課税するというもの。また税収はFTT参加国で一定程度分配し、小規模国も利益を得るようにするようです。

【bloomberg】Germany, France Push for 0.2% Tax on European Stock Trades

昨年6月の独仏首脳案では、欧州改革の一環としてのユーロ圏財源確立のためのFTTでしたが、今回の新しい案ではまず2013年にFTTが合意された10か国(当初11か国)で実施していくというもののようです。

欧州委員会による欧州FTT提案は最初が2011年でしたから(*)、それから時間的に8年ほども経とうとしています。また、今回の案では、取引額が最も多く、したがって税収が最も上がるはずのデリバティブ取引が外されていますので、かなり小型のFTTになろうかと思います。またFTTによる税収は財源補填が主目的ですから、国際連帯税のような役割を負ってもらうまでにはいかないいようです(各国の開発大臣クラスからそういう要望も上がっていますが)。金融セクター、とくに欧州の大銀行はどこもデリバティブ取引が最大の収入源ですから、相当の抵抗があったと思われます。

(*)2011年欧州委員会提案とその後:全欧州規模で、株・債券・デリバティブ取引に課税するという内容。が、英国等の反対でとん挫してしまい、2013年「強化された協力」手続きを用いて11か国で先行実施するということになった。

ともあれ、まずは実施することを優先して低率の株式取引税から行っていくというのが独仏当局の考えのようです。小型FTTでも各国が課税主権の壁を越え、共通の税制を敷くことになれば(しかもその税収の一部をシェアし合う)、共通予算(財政)の第一歩になるということで税収以上に意義のあるシステムになるでしょう。注目していきましょう!

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 11:27| Comment(3) | 国際連帯税の推進