2021年02月25日

コロナ禍における教育危機

日本リザルツはGPEの応援団をしています。今日は心配なニュースが飛びこんできました。
世界銀行のプレスリリースによりますと、低所得国の3分の2で教育に関する費用が削られてしまっているということです。
プレスリリースはこちらを参照:https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2021/02/22/two-thirds-of-poorer-countries-are-cutting-education-budgets-due-to-covid-19

以下が仮訳になります。
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COVID-19の影響で貧困国の3分の2が教育予算を削減している:
ワシントン/パリ、2021年2月22日 - 教育予算は、特に貧しい国々において、COVID-19によってもたらされた課題に比例して調整されていない。 世界銀行とユネスコの教育ファイナンス・ウォッチ(EFW)が新たに発表したところによると、追加の資金需要があるにもかかわらず、低所得国・低中所得国の3分の2は、COVID-19の流行が始まって以来、実際に公教育予算を削減している。

それに比べて、高中所得国・高所得国の3分の1しか予算を削減していない。 これまでのところ、これらの予算削減は比較的小規模であったが、パンデミックが経済的に打撃を与え続け、財政状態が悪化しているため、今後の予算削減はより大きなものになる恐れがある。これらの異なる傾向は、低所得国と高所得国の間に見られる支出の格差がすでに大きく拡大していることを示唆している。

新たな報告によると、COVID-19が大流行する前の2018-19年、子どもや青少年の教育に対する毎年の支出額は、低所得国では毎年48米ドルであったのに対し、高所得国は、8,501米ドル相当だった。COVID-19は、富裕国と貧困国の間のこの巨大な一人当たりの教育支出の格差を広げているに過ぎない。

EFWは、教育財政の課題は資源の動員だけではなく、資金調達の有効性を高めることにもあると強調している。残念ながら、近年公教育支出が増加しているものの、必ずしも教育成果の改善につながっているとはいい難い。教育へのアクセスは改善されたものの、学習貧困率(10歳児が年齢に応じた短い文章を読むことができない割合)は、COVID-19前の低・中所得国では53%であったのに対し、高所得国ではわずか9%にとどまっていた。 COVID-19に関連した学校閉鎖は、この53%の割合を63%にまで高める可能性がある。

世界銀行人間開発担当副総裁のマムタ・ムルティは、「今こそ、各国がパンデミックにより生じた学習損失を回復させ、リメディアル教育に投資し、この機会を活用して、より効果的で、公平で、回復力のある制度を構築することが必要な、決定的な瞬間です。COVID-19以前に存在していた学習貧困の危機はさらに深刻化しており、その影響がどれほど不平等なものであるかについても懸念しています。各国と国際開発コミュニティは、さらなる教育制度へのより良い投資を行い、支出と学習およびその他の人的資本の成果との連携を強化しなければなりません。」と述べた。

EFWは、世界の教育への支出は過去10年間で増加してきたが、パンデミックの影響でこの増加傾向が中断される可能性があると指摘している。教育への資金は、低所得国・低中所得国で最も急速に増加しており、SDGsの達成に必要な資金と現在の配分との間の差が最も大きくなっている。中期的な政府財政の悪化は、教育に優先順位をつけるための協調的な努力がなければ、教育に必要な国内資源を動員する見通しが悪化することを示唆している。

教育支援は過去10年間で21%増加している。支出は2000年代に急速に増加し、大規模な金融危機の余波で2010年から2014年の間に減少した。しかし、2014年以降、教育への援助は30%増加し、2019年には159億米ドルという記録的な最高水準に達した。しかし、財政制約、他のセクターのニーズ、学生の移動パターンの変化などから、教育への外部援助が最も必要とされている時期に減少する可能性があることが示唆される。

ユネスコのステファニア・ジャンニーニ事務局長補は、「世界で最も貧しい人々の教育機会を支援するためには、外部からの資金調達が鍵となります。しかし、援助国は、援助から国内の優先事項に予算をシフトさせる可能性が高く、既に開始している国もあります。保健やその他の緊急事態もまた、資金の奪い合いになっています。教育援助に依存している国々にとっては、厳しい環境が予想されます。ユネスコは、2020年のピーク時から20億米ドル減少し、さらにこの先6年間は2018年の水準に戻らない可能性があると試算しています。」と述べた。

EFWは世界銀行とユネスコのグローバル教育モニタリング報告書チームによる共同作業によるものである。 EFW は、ユネスコ統計局による支出データの主な発表に続いて、毎年作成される。 EFWは、教育資金のすべての財源に関して入手可能な最高のデータを集め、教育資金の水準と使途に関する情報を改善するための取り組みを監視することを目的としている。しかし、政府、家計、援助、教育への支出に関する質の高いタイムリーな情報は、全ての国で容易に入手できるわけではない。このことは、各国が失敗を許されない時期に計画を立てたり、監視したりすることを妨げている。
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新型コロナウイルス問題が長期化する中、全ての子どもたちが教育を受けられるよう、更なる取り組みが必要ですね。(ぽにょ)
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2021年02月23日

G7首脳会合振り返り:資金不足、新コロナワクチン債と国際連帯税で充当を

2月19日世界的なコロナ対策を主要議題にしてG7首脳会議が開催されました。成果としては、米国がWHO(国際保健機関)に復帰し、コロナ対策の国際的枠組みであるACTアクセラレータ等にも参加したことです。

課題は、ワクチンを含む国際的なコロナ対策費用がG7ではとうてい賄いきれないことです。首脳会議声明ではACTアクセラレータ(含むワクチン支援)にG7全体で総額75億ドル(約7900億円)拠出するとさらっと述べていますが、これではACTアクセラレータが求めている必要資金には遠く及びません。

●首脳会議声明とACTアクセラレータの資金不足は270億ドル

声明をまとめると以下の2点。
@ワクチン・治療・診断への安価かつ公平なアクセスを促す「ACTアクセラレータ」、ならびにワクチン共有の国際的枠組みCOVAX(コバックス)を支持し、G7全体で総額75億ドル(約7900億円)拠出
A将来のパンデミックに対する強力な防衛のために、財源の確保や迅速に対応できるメカニズムなどの国際的な保健条約が必要

ところで、WHOはACTアクセラレータ(含む、ワクチン)の予算につき、270億ドル(約2兆9000億円)不足と試算していますので、75億ドル程度ではまったく足りないのは明白です。そのためでもしょうか、COVAXは昨年の段階でワクチン接種20億回分をめざすとしていましたが、それが今年に入り1月段階では18億回分が目標となり、今回13億回分と縮小されました。

18億回分目標時は、92カ国の貧困国・低所得国に供給すると言っていました。これだけですと対象国の総人口の約27%への接種にしかなりません。それが今回さらに減ってしまいます。そもそも当初の目標の20億回分が少なすぎではないでしょうか。1人1回としても80億回分くらいは必要なはずです。

●中国とG7の「国際公共財」、同じ言葉を使っても…

G7会合の2日前の17日、国連安全保障理事会が開かれ、ここで国連事務総長のグテーレス氏は「世界全体でこれまでに実施されたワクチン接種のうち75%は、わずか10カ国で実施されたに過ぎない、130カ国ではまだまったく接種が行われていない」と述べ、「ワクチンの公平性は、国際社会のモラルが試される最大の課題だ」と訴えました。今日では中国製のワクチンが途上国にも入りつつあるので、接種国は数としては増えているようです。

その中国ですが、53の途上国・地域にワクチンを「無償で」援助を実施し始めました。習近平国家主席は中国ワクチンを「国際公共財」とすると宣言しています(2月21日付毎日新聞)。ロシアも独自に動き始めています。中国ワクチンは情報公開の面で課題があると言われ、またワクチン提供が外交政策として使われているという問題点があります。が、G7も先の首脳声明でワクチン等を「国際公共財」と言いながら、各国はワクチンナショナリズムに陥っています。その結果、COVAX等への支援は十分ではなく、従ってまだワクチンを途上国に届けていないからです。

ジョンソン英首相に至っては「余剰ワクチンの大半を貧困国に寄付する」(2月20日付BBC放送)と言っています。つまり自国で接種し終わって余ったら途上国に寄付する、と言っているに等しい言い方です。これは途上国を侮辱していることにならないでしょうか。

●どう資金不足を解消するか?新コロナワクチン債と国際連帯税で

もとよりワクチンはきちっと情報公開され安全性が担保され、しかも外交の道具に使わない方がずっとよいと思います。もともとACTアクセラレータとCOVAXはWHO主導により国際保健機関、そして先進国(EU、欧州6か国、日本が提案国)によって設立されたもので、この点を払しょくしているはずでした。しかし、当初米国が参加していないこともあり、先進国が十分に資金を拠出しないこと、そして各国ともワクチン争奪戦に血道をあげていたことから、大幅に遅れをとったと言えます。

ともあれ、G7はじめ先進国が極力早めにワクチンを貧困国・途上国に提供することですが、WHOも言うように、まず医療従事者や高齢疾患者に届けることが必要です。そのためには、高所得国の健康な若者たちへの接種分を回すことが考えられます。とくに1人当り9回分を確保しているカナダ、同7回分を確保している英国は大幅にCOVAXに提供すべきです。

資金不足を大急ぎで解消するには、コロナ対策でばく大な借金を負っている先進国のODA(政府開発援助)はそうそう期待できません。従って、G7は共同して10年物の2兆円規模の新(コロナ)ワクチン債(*)を金融市場で発行し、その償還について共同の国際連帯税を実施し(金融取引税やデジタルサービス税等)、それによる税収で賄う、というものです。つまり、1年以内に債券で資金を作り、2~3年以内に共同で実施する国際連帯税の税目を決定し、10年目に償還するというプロセスです。

先の首脳会議の声明で、「将来のパンデミックに対して財源の確保などの国際的な保健条約の必要」を謳っていますが、将来ではなく、今すぐ上記スキームを実施しつつ、共通の課税ベースを有した税制として条約化していくことが望ましいと言えます。例えば、外国為替取引に0.005%課税するとか。

他に問題は、ワクチンや治療薬等の特許権保護規定の問題があります。その規定の適用を除外するよう途上国やNGOは求めていますが、WTOでは結論が出ていません。ワクチン等が「国際公共財」であるとするなら、各製薬会社は極力価格を下げること(原価近くまで)が求められると思います。

(*)すでに「予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)」がワクチン債を発行しており、ワクチン開発資金として「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」に供給されています。従って、G7が新たに債券を発行するとすれば、ACTアクセラレータに向けてのものとなりますが、分かりやすい形で「新コロナワクチン債」と名付けることにします。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)


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2021年02月21日

G7首脳テレビ会議が開催

2月19日、G7首脳テレビ会議が開かれ、日本からは菅総理大臣が出席されました。
会議後の首脳声明では「21年を多国間主義のための転換点とする」と明記され、新型コロナに立ち向かうための公平なワクチン確保と普及に向けて国際連携を強めていくことが確認されました。
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この中では、ワクチンを共同購入して低所得国にも公平に分配する枠組み「COVAXファシリティー」などに資金を連携して拠出するということで、G7の拠出総額は75億ドル(約7900億円)になると発表されました。バイデン新政権に移行し、COVAXへの正式参加を決めた米国は最大で40億ドルを拠出、日本は2億ドルEUも5億ユーロ(約640億円)を支援すると表明しました。また、英国は国内の余剰ワクチンをCOVAXに供給するということです。

会議のわかりやすい様子はこちらを参照:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM19DQN0Z10C21A2000000/

また、外務省のHPによりますと、菅総理大臣は以下の発言を行ったということです(以下抜粋):
1.菅総理大臣より、G7首脳テレビ会議に初めて出席し、G7首脳との間で、新型コロナに対するワクチンの公平な普及、将来の感染症への備えに向けた国際協力等について活発な意見交換を行いました。G7首脳間で、ポストコロナの国際秩序づくりにおけるG7の連携が確認されました。
2.菅総理大臣より、就任後一貫して国民の「命」と「暮らし」を守るとの強い思いの下、経験から多くを学び、最善と考えられる対策を講じ、明らかな効果が出ていることを紹介しました。ワクチンは更なる感染収束に向けた決め手であり、公平なアクセスの確保や、ワクチンの普及を加速していくことが重要である旨指摘した上で、日本はCOVAXファシリティを重視し、その途上国支援の枠組みへの拠出を増額し、合計2億ドルを拠出することを表明した点を強調しました。
3.菅総理大臣より、中国との関係について主張すべきは主張し、中国側の具体的な行動を求めていくとの日本の基本的な考え方を説明しました。また、東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更の試みについての我が国の懸念についてもしっかりと伝えました。
4.菅総理大臣より、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する決意を述べ、安全・安心な大会を実現するために、IOCとも協力し、準備を進めていく旨発言しました。日本の決意に対し、G7首脳からの支持を得て、この点が首脳声明に明記されました。

G7首脳テレビ会議はこちらを参照:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/page1_000934.html

そもそも、COVAXは昨年、白須代表が小此木八郎現国家公安委員長とともに当時官房長官だった菅総理大臣の元を訪問し、説明を行ったことがきっかけで、日本政府が世界に先駆けて参加を表明し、現在のモメンタム拡大につながっています。COVAX発足当初からお力添えを下さった小此木先生のご尽力に本当に感謝しております。

また、日本リザルツは東京オリンピック・パラリンピックに合わせて開かれる東京栄養サミットに向けたアドボカシーを続けています。オリ・パラはもちろん、栄養サミットの成功に向けてG7各国と連携を強化していければと思います。
(ぴんく)
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ケニアでもプロジェクトが進んでいます

現在、ケニアでは主に以下の取り組みが進んでいます。公益財団法人テルモ生命科学振興財団の支援のもと、旧結核検査所のリノベーションを始めています。特に身体の不自由な方が使いやすい施設にできるよう、バリアフリー化をする予定です。
また、学校再開に伴い、子どもたちへの栄養教育のプロジェクトの開始に向けた協議も進めています。こちらは公益財団法人味の素ファンデーションからご協力をいただいています。教育省の事務次官へのご説明も済み、承認を待っているところです。
ただ、コロナはまだまだ深刻な問題なので、安全第一で進めていきます。
(ぽにょ)
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2021年02月17日

プロジェクトR(リザルツ):最新の活動報告、完成までの道

最新の日本リザルツの活動報告が完成し、ようやく国会議員の先生方へお届けすることができました。
今日は、その完成までの道のりをご紹介させていただきます。

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すごい量ですね。
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宛名も1つ1つ手書きで心を込めて書いております。
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中には手書きのメッセージを入れています。900枚以上の手書きメッセージを用意できたのは、ボランティアさんのお陰です。お休みに準備をしてくださった門井ボランティアさん、そして有志の皆様、本当に感謝しています。

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続いて、こちらは今霞が関界隈で出回っている栄養提言書です。

栄養提言書、議事録の表紙、そしてレイアウトや印刷にあたっては、印刷業者の方が、何度も何度も日本リザルツオフィスへご来所され、ボランティアで作業をして下さいました。快くご指導、ご協力を下さった印刷業者さん、本当にありがとうございました。

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そして、2月15日。ついにオフィスに議事録が届きました。
なんという段ボールの量でしょう。ちなみに38箱来たそうです。
バレンタインデー直後ですが、中に入っているのはチョコレートではなく、議事録です。

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GGG+小フォーラムの表紙です。イボンヌさんのお写真を使い、インパクトがあるデザインになっています。

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日本リザルツと親交があるネイチャー誌の日本語版の記事も、一緒に配布しました。

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2021年バージョンのODA改革に関する新しいアドボカシーペーパーも同封しました。

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UNRWAの資料もお届けしました。コロナ禍でパレスチナ難民の医療支援の指揮をとっていらっしゃるのは、日本人医師、清田明宏先生です。

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最後は準備風景です。無事に全ての資料がお届けできたのは、応援団の方々のご協力のお陰です。
本当にほんとうにありがとうございました!

お届けした資料が、国会議員の皆さまの心に響きますように。(Nom)
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