2021年12月23日

外務省経済局審議官飯田慎一氏 中央大学での講義について

 先々月に、残念ながらご逝去された元外務省経済局審議官の飯田慎一様が、以前中央大学で行った「日本の外交における人間の安全保障の視点」という講義について紹介させていただきます。

 講義では、国際会議における交渉の中で、G7の強硬な反対にあって「人間の安全保障」と「保護する責任」を切り離さざるを得なかった経験を取り上げ、その中で、実務家は、学者とは違い、100点を目指すのではなく、50点より上を目指し、60点、70点とれれば上出来という姿勢で事態の打開に取り組むことの重要性を指摘されました。
 また飯田様は、イギリスのサイクス・ピコ協定とバルフォア宣言を例に、二枚舌外交といわれる事柄に対しても、イギリス外務省内では整合性のある説明が存在するため、各国が国際会議、国際社会の中においても、自国の利権を守ろうとする実態を紹介されました。飯田様は外交の実態を示すため「外交官は嘘をつかずに嘘をつく人種である」という表現をされていたのが印象的でした。
 学生からは「人間の安全保障を主張してきている割に、日本はあまり難民を受け入れていない。これも、外交官は嘘をつかずに嘘をつくということか?」など、鋭い質問があり、「21歳でそこまで言えれば頼もしい。是非外務省に入って欲しい」など、未来のある若者に期待を寄せる発言がありました。飯田様が話された内容は詳細に記述されていませんでしたが、例えば現在も日本で議論されている難民の受け入れの課題も念頭にはあったのではないかと思います。

 飯田様の指摘されていることは、「栄養改善の議論」も同じような側面を持っているのではないかと思います。現在の支援の在り方は、「いたずらな食料支援⇒脆弱な地域の人口増の助長⇒飢餓の連鎖とともに地球のキャパシティの限界への加速度的な到達」という、負の連鎖を引き起こす一面があるかもしれません。今後は、人間の安全保障にとどまらず、「個人の安全保障」と「国家の安全保障」そして「地球の安全保障」、全ての両立が求められるのだと思います。これが私達に残された「重たい宿題」なのではないでしょうか。
 個人の自立、地域の自立、国家の自立までは、目の前にある自らの課題ですが、地球の問題については、個の自立ではなく、時間を超えた精神的な概念であり、世界中の人々が協働するための価値観、ビジョンの共有が必要になってきます。

 このような大きな課題を国家間で交渉するということ自体が極めて難しいことであり、交渉の最前線で活躍された飯田様のご苦労を思うと、なんと惜しい人材を失ってしまったのかと悔やまれます。改めまして飯田様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

突撃戦隊栄養レンジャー・パープルさんから情報をいただきました(園)
posted by resultsjp at 07:53| Comment(1) | 情報