2022年05月23日

【チャートは語る】東南アジア、影薄まる日本 貿易額は中国の3分の1:日本経済新聞

2022年5月22日付の日本経済新聞1面に、「東南ア、影薄まる日本」の特集記事が掲載されています。

先日(5月14日)にアメリカ政府はASEAN(東南アジア諸国連合)*1との特別首脳会議を開き、中国への対抗を念頭に各国との関係強化を訴えていました。
片や日本とASEANとの関係は、貿易額では日本は2008年までアメリカと首位を争ったが2009年には中国に抜かれ、2021年は3倍近い差を付けられた。2003年には3倍だった韓国との差も1.3倍まで縮まっています。
単年の直接投資*2は、2012年に148億5200万ドル(約1.9兆円)で、アメリカに次ぐ3位だったが、2020年は85億2000万ドル(約1.1兆円)で6位に沈んでいます。
ASEANへの訪問者のシェアは、日本が2012年の16%から2020年にはコロナ禍の影響もありますが10%に低下しています。
また、ASEAN加盟国の識者への意識調査では、最も経済影響力がある国について日本と答えた人の割合は2022年に2.6%と、2019年の6.2%から減少し、トップの中国の77%に遠く及ばない状況にあり、日本の存在感は著しく凋落しています。
図表日経20220522.jpg
日本は1999年〜2019年の政府開発援助(ODA)支出純額の15%をASEANに供与。中国は自国からの資機材調達を条件にする「ひも付き援助」を多用するが、日本はひも付きとはせず各国を支えるなど、経済協力を通じ東南アジアの国づくりに貢献してきました。
日本はアメリカとの同盟を基軸にアジア外交を組み立てており、ウクライナ危機で東南アジアの地政学的な重要性が高まるなか、日本の存在感の低下は外交力に響くだけに、対ASEAN関係の再構築が急務となっています。

もともと東南アジアには華僑がおられ、また、中国と国境を接した国も多く、中国が進出しやすい環境にはありますが、過去の投資蓄積で優位を保っている今、ASEAN外交政策の転換が求められているものと考えます。

*1ASEAN(東南アジア諸国連合):外務省
ASEAN.jpg

*2直接投資:日本経済新聞
https___imgix-proxy.n8s.jp_DSKKZO6101478022052022EA2000-2.jpg


(一)
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2022年05月22日

世界銀行による大学生向け公開講座の紹介

東京大学公共政策大学院で世界銀行グループの幹部による講義がオンラインで開催されています。世界銀行の本部があるワシントンやその他の地域からオンラインで第一線の専門家の方が、途上国支援の現状と世銀の役割、今後の課題についてレクチャ―してくださいます。


この件について、なんと財務副大臣の岡本三成先生もツイートされていました!

岡本三成財務副大臣のTweetはこちらを参照:

https://twitter.com/okamoto3nari/status/1527589951419953153?cxt=HHwWgsC9jfS9i7MqAAAA


講義は全6回で他大学の学生さんにも公開されています(英語)。

関心のあるものだけでも聴講が可能とのことです。


以下のサイトから登録できます。

東京大学公共政策大学院のリンクはこちら:

http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/events/2022-04-27-35059/


*登録の際には、お名前、大学名、メールアドレスをお書きください。また、どの大学のルート(東京大学経由又は京都大学経由)でこの講義のことをお知りになったのかを「その他」の欄に必ず記載してください。


1人でも多くの学生さんの参加を期待しています。

(ぷりん)

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2022年05月19日

オリガルヒ制裁にはタックスヘイブン対策と金融資本台帳が必要だ!

日本ではまったく報道されませんでしたが、420日に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会合に向け、「国際法人課税改革のための独立委員会(ICRICT)」が公開書簡を公開しました。ICRICTとはノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツや著書『21世紀の資本』のトマ・ピケティ、タックスヘイブン研究のガブリエル・ズックマンたちによって創設された公正なグローバル税制を求める非政府組織です。


そのICRICTが公表した書簡は「隠された富を対象としたグローバルな資産登録が必要な時だ」というもの。この書簡につき、419日付の英ガーディアン紙が「G20閣僚はオリガルヒへの取り締まりをタックスヘイブン対策に活用するよう促された」と題して報道していますので、紹介します。本文の前に、2,3の背景説明を行います。

 

(以下は、こちらでお読みください)

1、オリガルヒと「ロンドングラード」

2、タックスヘイブン対策、金融資産台帳作成が必須

3、日本ではまず預金通帳の名寄せを行い、マイナンバーとリンクさせ金融資産台帳作成へ

4、ガーディアン紙の報道


4月20日会合をボイコットする米国等の財務相.JPG

※写真は、4月20日のG20財務相・中央銀行総裁会議で、会議の一部をボイコットする米国やEUの財務相ら(カナダ政府/ AFP)

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 19:33| Comment(1) | 国際連帯税の推進

世界の感染症

新型コロナの長期的な影響はもちろん、低・中所得国の、世界三大感染症のエイズ・結核・マラリアの増加を危惧しています。

グローバルファンド事務局長のピーター・サンズ氏は「ロシアのウクライナ侵攻が感染症の拡大に及ぼす影響を心配している。ウクライナでは以前からエイズや薬剤耐性を持つ結核菌による感染症拡大がおきている。薬剤耐性結核はやっかいな病気で、致死率が約50%に及び、検査・治療ができているのは、感染者の3分の1にすぎない。結核は、混乱や人々の移動があるときに広がる」と指摘しています。

新型コロナの余波でエイズ、結核、マラリアの三大感染症の検査治療が、開発途上国で十分にできていません。さらにウクライナ侵攻により、病院の破壊、医療従事者不足や治療薬も不足しています。

グローバルファンドや、WHO、様々なパートナーとの協力・連携が必要です。特に資金、人材確保、医療の充足による三大感染症への対策が必要だと思いました。今後、再び感染症が増加しないような支援が実現できることを望みます。

さらに、世界の結核まん延国への課題への取り組みが必要だと思っております。

参考:http://resultsjp.sblo.jp/article/181868344.html (グローバル・ファンドからの支援と日本リザルツ)

(k)

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2022年05月18日

新たなグローバリゼーションの到来

最近、メディアで「ディグローバリゼーション」という言葉を目にします。
日経新聞の核心の解説によれば、資産運用会社米ブラックロックのラリー・フィンク氏は「グローバリゼーションは終わった」と発言し、他の米シンクタンクからもグローバリゼーションの行き詰まりを分析した論文が出されているようです。
グローバル化した世界では、ヒト、モノ、カネが自由に往来し、貿易の自由化も進み、企業が生産拠点を賃金の低い効率的な国や地域へと移してきました。BRICsと呼ばれるロシア、インド、中国、ブラジルはそのグローバル化の中で発展を遂げてきました。

しかし、米中対立、新型コロナウイルス、ウクライナ危機の環境変化の中でグローバリゼーションは変異を遂げていると言われます。マスクの供給不安定から始まり、エネルギーや食料の供給不足と価格高騰を経験しました。貿易は、コストや効率重視から、安全保障に配慮したサプライチェーンを重視しています。企業は、価格削減から、危機に対応できるリスク削減の手法へと移りつつあります。現に米企業テスラは中国とアメリカで供給網を分離し始めました。
また、グローバルガバナンスにおいても、G7や英豪米のAUKUS、日豪印米のQuadなど部分連合の動きにより、グローバリゼーションの展開は今後多層的になっていくようです。

様々な対立や危機により一層世界のまとまりが複雑化していることがよくわかります。
さらなる分断を生む方向ではなく、このグローバリゼーションが良い形で形成されていかなければならないと感じます。
今後も世界情勢、特に紛争地域や脆弱な国の今後の発展に注視していきたいと思います。

参考:日経新聞 
(杉)
posted by resultsjp at 18:23| Comment(1) | 情報