2022年5月16日付の日本経済新聞に、「円安に揺れる日本経済」の特集記事が掲載されています。
資源価格上昇との共振、打撃 円安に揺れる日本経済
1.円安が経済に及ぼす影響
輸入については円安分がそのまま円ベースの輸入価格の上昇となり、国内企業のコストアップ要因となることから、国内物価が上昇する(輸入インフレの発生)。
物価の上昇は、家計の実質所得を減少させて家計消費を抑制し、円安は生産者部門、特に輸出関連産業にとってプラスだが、輸入関連産業や家計にとってはマイナスとなる。
2.悪い円安論の背景
2013年(前回)の円安と比較すると、2022年以降(今回)の円安局面では、エネルギー価格が大幅に上昇し、輸入価格が輸出価格を大きく上回っている。
前回は原油価格が安定していたため、円安の効果が素直に表れ、輸出関連製造業の収益は好転し、輸入価格の上昇で物価もマイナス領域から抜け出せたが、今回は原油価格が大幅に上昇したため、輸出産業もコストアップに苦しみ、物価も上昇しつつある。悪い円安論が表面化したのは、円安の進行そのものではなく、それがエネルギー価格上昇と相まって輸入インフレをもたらしているためである。
今回寄稿された小峰隆夫・大正大学教授から以下を提言されています。
1.デフレからの脱却を最優先する姿勢から、輸入インフレ対応への政策姿勢の転換
金融政策は長期金利の変動を実勢に近づけ、政府の物価対策は輸入エネルギー価格の上昇を、財政で抑制するのは長くは続けられないので、コストアップを素直に価格に反映させ、省エネ型の経済構造を目指すべき。
2.長期的な視点から為替レートに対する姿勢の見直し
長期的な視点から、日本の経済力、付加価値生産力が高まり、それを反映して円高に進むことを目指すべき。
こみね・たかお 47年生まれ。東京大経卒、経済企画庁へ。専門は日本経済論、経済政策論
(一)
posted by resultsjp at 15:12|
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