2022年5月22日付の日本経済新聞1面に、「東南ア、影薄まる日本」の特集記事が掲載されています。
先日(5月14日)にアメリカ政府はASEAN(東南アジア諸国連合)*1との特別首脳会議を開き、中国への対抗を念頭に各国との関係強化を訴えていました。
片や日本とASEANとの関係は、貿易額では日本は2008年までアメリカと首位を争ったが2009年には中国に抜かれ、2021年は3倍近い差を付けられた。2003年には3倍だった韓国との差も1.3倍まで縮まっています。
単年の直接投資*2は、2012年に148億5200万ドル(約1.9兆円)で、アメリカに次ぐ3位だったが、2020年は85億2000万ドル(約1.1兆円)で6位に沈んでいます。
ASEANへの訪問者のシェアは、日本が2012年の16%から2020年にはコロナ禍の影響もありますが10%に低下しています。
また、ASEAN加盟国の識者への意識調査では、最も経済影響力がある国について日本と答えた人の割合は2022年に2.6%と、2019年の6.2%から減少し、トップの中国の77%に遠く及ばない状況にあり、日本の存在感は著しく凋落しています。
日本は1999年〜2019年の政府開発援助(ODA)支出純額の15%をASEANに供与。中国は自国からの資機材調達を条件にする「ひも付き援助」を多用するが、日本はひも付きとはせず各国を支えるなど、経済協力を通じ東南アジアの国づくりに貢献してきました。
日本はアメリカとの同盟を基軸にアジア外交を組み立てており、ウクライナ危機で東南アジアの地政学的な重要性が高まるなか、日本の存在感の低下は外交力に響くだけに、対ASEAN関係の再構築が急務となっています。
もともと東南アジアには華僑がおられ、また、中国と国境を接した国も多く、中国が進出しやすい環境にはありますが、過去の投資蓄積で優位を保っている今、ASEAN外交政策の転換が求められているものと考えます。
*1ASEAN(東南アジア諸国連合):外務省
*2直接投資:日本経済新聞
(一)
posted by resultsjp at 15:10|
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