先月、総務省から、日本の総人口(2021年10月時点)が1年間で64万4千人減ったという統計が発表されました。
これを受けて、テスラCEOであるマスク氏からは、「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り日本はいずれ存在しなくなるだろう」といった警告がツイートされていました。
日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は2020年、コロナ禍の影響があり1.33%と低く、出生率が1.3%を下回った2003-05年の超少子化時代の値に近づきました。コロナ禍のステイホーム習慣で出会いの機会が減り、婚姻数が減ったのは明確ですが、出生率減の傾向はコロナ前から顕著にみられました。
2015年までの出生率の減少率は平均1.1%で推移していたものの、16年以降3.5%に増加しました。専門家は、子育て環境が十分に整ってないという従来の少子化背景に加え、子どもを持つという若者の意欲が下がったことを理由に挙げています。出生意欲減少には若い世代の就労、収入が減り、結婚をイメージしづらい現状があるといいます。
また、これは女性の労働にも大きく関連していると言えます。
ここ数年、「M字カーブ」(年齢層別にみた女性労働率グラフ)が解消傾向にあると言われています。その理由の一つには、キャリアを重視する女性が増えたことが挙げられますが、これは一方で結婚や子どもを持つことをイメージしづらくなることにつながっている可能性もあります。また、女性の労働者が増えた他の要因には非正規雇用が増えたことが背景にあるということです。これは一度子育てにより仕事を離れた後、正社員として雇う会社が少ないということも示唆していると感じます。
少子化問題は女性の労働環境に密接に関わっています。子育てと女性の仕事が両立できる環境づくりとして、育児休暇や保育園の推奨、またリモートワークが可能な仕事環境づくり等の対策が、少子化問題を真剣に考えていく上で大切なのではないかと考えます。
(杉)