2022年12月31日

故ペレ氏から学ぶ「ロダン」すること

サッカーの元ブラジル代表で「王様」と呼ばれたペレ氏が29日、サンパウロの病院で亡くなりました。82歳でした。ペレ選手は19586270年のワールドカップ(W杯)で史上唯一の3度優勝を経験したレジェンドです。ケニアでも大きなニュースになっていました。

https://www.businessdailyafrica.com/bd/news/world/brazilian-football-legend-pele-dead-at-82-4070492


ケニアというとマラソン五輪金メダリストのキプチョゲ選手のイメージから、陸上が強い印象がありますが、一番好きなスポーツと聞くと、みなさん「サッカー」と答えます。もともとイギリス植民地なので、プレミアリーグが大好き。みなさん、お気に入りのチームがあります。


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バスのペイントに有名な選手やチームが描かれます(イメージ図)。大体、マンチェスターユナイテッド派かチェルシー派で別れて、ファン同士で大喧嘩になります。


さて、今年のワールドカップでアフリカ勢では初めて、モロッコがベスト4入りを果たしました。ケニアでは毎日のように各ショッピングセンターでPV(パブリックビューイング)が行われ、TVではすべての試合が生中継されていました。モロッコはサブサハラ・アフリカからは少し離れた場所ですが、ケニアのみなさんも大層喜んでいらっしゃいました。


そんなサッカー好きのケニアですが、実は、政府による不当かつ包括的な影響力を理由に、アフリカ大陸の統括組織であるFKFから活動停止処分を受け、代表チームは長らく国際試合への参加ができなくなっていました。

https://fussball.jp/etc/2022/11/222170.html


ワールドカップに前後して、スポーツ大臣を務めるアバブ・ナムワンバ氏とFIFAの間で、禁止令が解かれたことが確認され、晴れて国際大会に参加できるようになりました。「ケニアが国際サッカー界に復帰することへの喜びをここに評したい」と、ナワムンバ大臣は喜んでいらっしゃいました。


さて、そんなペレ氏が残した名言の1つに「Everything is practice (全ては練習の中にある)」という言葉があります。「天才」と称されたサッカープレイヤーですが、きっとその裏には見えない数々の努力の積み重ねがあったのだと思います。

現に、彼の残した言葉にはこんなものもあります。

Success is no accident. It is hard work, perseverance, learning, studying, sacrifice and most of all, love of what you are doing or learning to do(成功は決して偶然ではない。勤勉、忍耐、知識、学び、犠牲、そして何よりも自分が取り組んでいることへの愛情が必要だ)」


さきほど、寅さんのお話と白須理事長の「ロダンする」という言葉の意味の関係性がブログに載っていました。

http://resultsjp.sblo.jp/article/190035642.html

これはアイデアがその場の思い付きですぐ閃くわけではないことを意味しています。ペレ氏も白須理事長もそうですが、嫌なことや難しいことから逃げずに、正面から向き合い、絶えず考えることからすべてが始まるというではないかと感じました。

(ぽ)

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なぜ勉強するのか?:寅さんに学ぶ勉強の意義

どうして勉強するのか。どうして大学に行くのか。こんな質問を子どもに投げかけられたら、皆さんはどう答えますか?


30日の日経新聞の春秋に、往年の名作「男はつらいよ」シリーズの寅さんの名言が紹介されていました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67266980Z21C22A2MM8000/


満男くんという男の子が寅さんに、

「おじさん、大学へ行くのは何のためだ」と聞きます。


その質問に寅さんはこう答えます。

「長い間生きてりゃあ、いろんなことにぶつかるだろ。そんなとき、勉強したやつは自分の頭できちーんと筋道を立てて、どうしたらいいか考えることができる」


「男はつらいよ」シリーズを私は見たことがありませんが、寅さんのこの言葉は、非常にしっくりくる完璧な答えだと思いました。


勉強も何事も、ただがむしゃらにしていると、何のためにやっているのか、という本来の目的を見失うことがあります。そうすると、よい会社に入るためとか、すぐに役立つ技能を得るためといった学問の本質から離れた表面的な目的感となり、学識に追いつかなくなっていきます。


白須理事長はよく、「ロダンに」と言われます。(彫刻家ロダンの代表作・「考える人」になぞらえて)

白須理事長のいう「ロダン」とは、自分の頭で考え続け、答えを模索し続けることを意味しているのではないかと考えています。


寅さんのいう、きちーんと筋道を立てて考えるということと、白須理事長のいう「ロダン」は相通ずるものがあるように感じます。

私は今、何のために、大学で学問を深め、日本リザルツで様々なことを学ばせて頂いているのか、もっと考え続けていきたいです。


今年もいよいよ大晦日、1年の最後の日を迎えました。

来年は、ロダンに生きられる1年となりますように。

皆さんも、良いお年をお迎えください。




おすぎ

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2022年12月30日

ケニアのメリークリスマス(+駐在員の医療事情)

日本ではお正月に家族と過ごされる方が多いですが、ケニアではキリスト教徒の方が8割以上を占めるので、クリスマスが重要な祝日です。

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11月下旬のブラックフライデーが終わると各地でクリスマスツリーなどの装飾が目立つようになります。

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駐在員御用達のショッピングセンターに行くと、富裕層の子どもたちが楽しそうに遊んでいました。


ケニアの冬休みですが、12月半ばの独立記念日を過ぎると行政機関は開店休業状態になります。ナイロビに出てきている方はほとんどが出稼ぎ。皆さん、実家に帰ります。そしてクリスマスには親戚が集まって、ヤギや牛を絞め、丸焼きにしてお祝いするのが恒例行事だといいます。


そんなこんなで楽しいクリスマス休暇なはずなのです。

が、肝心の筆者は体調を崩し、救急外来にお世話になることに…


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やってきたのはカンゲミヘルスセンターではなく、ナイロビ病院です。

ナイロビは交通事情は悪く、救急車を呼んでもすぐ来ないので、自分でタクシーを呼んで、病院に行きます。

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これがナイロビ病院。見た目はショッピングセンター並みに豪華です。

公立のヘルスセンターは医療体制が脆弱のため、外国人の駐在員のみなさんは私立病院を受診する方がほとんどです。他にもいくつか大きな私立病院があります。

ケニアの医療事情はサブサハラ・アフリカの中では高水準のため、周辺諸国からもVIPが外来や入院しにきます。

「コロナはない」と言って物議を醸したタンザニアの故マグフリ大統領が亡くなる直前まで治療を受けていたという噂なのが、このナイロビ病院です。

https://www.bbc.com/japanese/56438903



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病院のHPより。こんな個室もあります。

といっても、これはアフリカにおいて高水準という話。日本や先進国レベルの医療サービスは期待できません。

ケニアは12月に入り、季節外れの大雨と寒さが続いています。

この日は振替休日だったのですが、朝8時に来ると、長蛇の列ができていました。

筆者は先月も新型コロナウイルスとマラリア、結核の検査をしたばかり。コロナは簡易検査ですぐ結果がでますが、マラリアの血液検査は5日(注:簡易迅速診断キットによる診断はすぐに出る)、結核はGene-Xpertの台数に限りが出るので、なんと1週間も時間がかかりました。ケニア保健省はすでに国策として、ケニアでTB-LAMPの使用を開始していますが、スラム街やリモートエリアにある公立のヘルスセンターがメイン。TB-LAMPがここにあればと悔やむばかりです。


この日も診断キットでマラリアの検査をします。結果は陰性でしたが、なんと、こちらの蚊にアレルギーがあるそうで、飲み薬と塗り薬を処方されました。

こうした私立病院の一般の外来診察費は5,000円以上、それに初診代が同じくらいかかります。CTX線撮影、血液検査が加わると2万円以上します。一般のケニアの皆さんの平均所得は月3万円ほどなので、どれだけ高額かよくわかると思います。

さらに大変なのは入院した時です。まず、7万円くらいの前払いを要求される上、個室の料金は1泊で1万5,000円くらいします。そのため、周りの人が入院するとケニアでは親戚や知り合いに借金をするケースが増えます。

尚、ケニアはグローバルファンドのレシピエントで結核やマラリアの診断・治療薬や機材を受注していますが、私立病院の検査費用は実費請求のようです。


薬も全て輸入品のため、日本と比べても高額です。抗生物質や解熱剤の飲み薬は5日分で2,000円、塗り薬も1,000円ほどしました。クレジットカード決済ができるのが唯一の救いです。


ケニアには日本のような「国民皆保険」はなく、公的な医療保険制度(NHIF)がありますが、加入率は2割程度と非常に低いの現状です。そこで、様々な民間の保険会社がサービスを提供しています。ケニアの民間の健康保険と日本の保険と違うところは、薬代も保険で賄われるほか、プランによっては歯科医療やコンタクトレンズの処方も民間の保険で賄うことができます。ただ、民間保険に入るのには最低でも5万円かかるので、入れるのは一部の富裕層だけです。


日本の皆保険制度がいかに恵まれているか、改めて実感した2022年のクリスマスでした。 

最後までトホホな2022年でしたが、皆さんもお体には気を付けて、良いお年をお迎えください。

(ぽ)

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2022年12月29日

「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブ>金融取引に課税を!始まる

●気候変動対策資金のため欧州・アフリカ等でFTT要求署名行われる

先にCOP27での「損失と被害(L&D)」など気候変動対策資金創設のため、ピエール・ラルートゥルー欧州議会議員、フォーチュン・チャルムビラ汎アフリカ議会議長、ローレンス・トゥビアナ欧州気候基金理事長などが金融取引税(FTTFinancial Transaction Tax)の創設を訴える書簡を仏紙『ルモンド』に発表したことをお知らせしました(注1)。

その後、前記の3人を含む10人による呼びかけで、「気候変動対策資金を調達するために、今こそ投機への課税を」という署名活動が行われました(注210人の名前は下記に)。この署名には、欧州連合11ヵ国の欧州議会議員ならびにアフリカ、アジア、ラテンアメリカの 20 カ国の国会議員の計65 人が名を連ねました。ほかに気候科学者、NGO、政治家、宗教者なども署名しています。宗教者と言えば、上智大学の副学長でもあったジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿兼ルクセンブルク大司教も署名しています。

署名内容は次の通りです。

*グローバル・サウス(南の国々)への気候変動による損失と損害等に対処するために、圧倒的に足りない「お金」が問題の核心であること

*その資金調達のために過剰なほどの水準にある金融取引への課税が有効であること

*欧州レベルで0.1%という税率で570億ユーロの税収が得られ、その収益の大部分を欧州とアフリカにおける気候変動対策に直接振り向けること

●「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブと6月パリ気候資金サミット

この署名活動は、ラルートゥルー議員を軸に始められましたが、同議員側は「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブとして全欧州規模の取り組みにすべく、英Stamp Out Povertyのデービット・ヒルマン氏らの国際FTT会合グループと連絡を取りました。結果、同グループとしてもこのイニシアチブ(当面署名活動)を全力で推進していくことになりました

次の目標は、6月仏マクロン大統領とバルバドスのミア・モトリー首相との共催によりパリで開催される「最も脆弱な国々への資金メカニズムのための気候サミット」(仮称)です。情報によれば、フランスは現在、収入源についての答えを持っておらず、マクロン大統領は資金調達方法を探しており、アイデアを受け入れる姿勢を見せているとのことで、FTTにとって重要な機会となることです。そして、同国はL&Dとエネルギー転換という課題に対応するために気候担当大使という新しい役職を設けたとのことです。

●トービン税をG20サミットの議題に(インドNGO等)、当然G7広島サミットでも

今後のFTT(またはTobin Tax)実現の展望ですが、今日もっとも切実な地球規模課題としての気候変動やコロナ感染症の対策資金として国際社会が共同して拠出する仕組みを創設することが望まれます。ただその仕組みが各国の割当てで賄うというこれまでの方法では限界があります。

では、どうするか? 世界には手つかずの膨大なリソースが存在します。それは外国為替取引に使用されるお金で、「1日当たり」世界で7.5兆ドル(約1050兆円)もの資金が取引されています。この取引には付加価値税(所費税)が課せられていません。しかもこの取引の9割方はマネーゲーム(投機)のための取引と言われ、先日の超円安のようにヘッジファンド等の投機筋が暗躍しているのです。

この外国為替取引に課税するのがトービン(通貨取引)税です。私たちはまずG7広島サミットに向けて、欧州のFTTイニシアチブ運動と連携し、通貨取引税を軸とする国際連帯税の共同実施を求めて活動を強めていくことです。なお、先述した国際FTTグループには米国のパブリック・シチズンなどのNGOやシンクタンクも参加しているので、米国でも活動が展開していくことになるでしょう。

また9月にはインド・ニューデリーでG20サミットが開催されます。これに向けインドの有力なNGO等が気候LD資金としての金融取引税(トービン税)をサミットの主要議題に上げよ、との主張がはじまりつつあります(注3)。

このように国際連帯税として金融取引税を求める声は文字通りワールドワイドで高まりつつあります。2023年を希望の年とするために、まずは一国規模で考えるのではなく、世界規模で人々の生活と命を守るために、気候変動や感染症対策のための資金創設のために奮闘していきましょう。

10人の最初の署名者(呼びかけ人)】
・フォーチュン・チャルムビラ(Fortune CHARUMBIRA - 汎アフリカ議会議長、ジンバブエ

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・ジョゼ・ラモス=ホルタ(José Ramos-Horta - 東ティモール民主共和国大統領
・ローレンス・トゥビアナ(Laurence TUBIANA - 欧州気候基金理事長、パリ協定の交渉担当者

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・ピエール・ラルートゥルー(Pierre LARROUTUROU - 欧州議会議員、2021EU予算に関する一般報告者
・ジャン・ジュゼル(Jean JOUZEL - 気候学者、元IPCC副議長
・カコ・ヌブクポ Kako NUBUKPO- トーゴの元大臣、西アフリカ経済通貨同盟(WAEMU)農業・水資源・環境担当委員、トーゴ
Dr. Sanjay JAISWAL - インド国会議員 (Lok Sabha)
・カリム・ダーウィッシュ(Karim DARWISH - エジプト国会議員、外務委員会委員長
・バントゥーボンケ・ハリントン・ホロミサ(Bantu Bonke Harrington HOLOMISA I - 南アフリカ共和国国会議員、前ネルソン・マンデラ政府の大臣
・パトリック・テン・ブリンク(Patrick Ten BRINK - 欧州環境局事務局長


(注1)欧州での金融取引税議論>「損失と被害」資金、欧州議会での「復興基金」財源


(注2)気候変動対策の資金を調達するために、今こそ投機への課税を行う時


(注3)気候「損失と被害」資金のためにトービン税を@ A


(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

posted by resultsjp at 12:21| Comment(1) | 国際連帯税の推進

2022年12月27日

追悼:ビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(日本ベクトン・ディッキンソン)

埼玉県飯能市美杉台の住宅の敷地で、この家に住むアメリカ国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさんと妻の森田泉さん、それに、夫婦の長女で都内に住む会社員の、森田ソフィアナ恵さんが頭などを鈍器で殴られて殺害される事件が起きました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221225/k10013934431000.html

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935601000.html


亡くなられたビショップさんは40年以上に渡って、日本やアジアに在住。医薬品や医療機器メーカーの日本支社などでお仕事をされており、日本ベクトン・ディッキンソンに勤務されていた際、白須理事長も大変お世話になったそうです。「優しい方だったのに」とショックを受けていました。


ビショップさんとそのご家族のご冥福をお祈りします。

(ぽ)

posted by resultsjp at 16:41| Comment(1) | 情報