先週、インドでG20外務大臣会合が開かれていました。
残念ながら、2月末のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に続き、今回の会合でも共同声明の採択は見送られました。
合意できなかった部分ですが、ロシアによるウクライナ侵攻に関する記述についてで、
・ウクライナにおける戦争を強く非難し、この戦争が人的被害をもたらし、世界経済を悪化させていること
・核兵器の使用又はその威嚇は許されないこと
上記の2つの項目に関して、ロシアと中国の反対があったと、インドの外相が明らかにしています。
成果文書全文はこちらを参照(英語)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100467828.pdf
気になるのは、食料システムに関する議論です。実はロシアとウクライナは農業大国。特に小麦やとうもろこしなどは世界輸出の大半を占めていました。ウクライナ侵攻後、ロシア軍が黒海に面したウクライナの港を封鎖したため、ウクライナからの穀物輸出が一時的にできなくなりました。これがきっかけで世界各国で食料価格が高騰。国連とトルコの仲介で、両国の間で合意が成立し、穀物輸出が再開されましたが、依然として価格は高騰したままです。この合意は今月18日に期限を迎えますが、ロシアのラブロフ外相は「ウクライナの穀物の大部分は、貧しい国ではなく、低価格でヨーロッパに運搬されている」と非難。今後の更新について「ロシア側の生産者の利益が考慮される場合にかぎり、可能になる」とし、明言を避けました。
詳細はこちらの報道を参照:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230302/k10013996541000.html
NHKの詳しい解説はこちらを参照:
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/479721.html
日本からは山田賢司外務副大臣が出席しました。山田副大臣は、「日本としても、アジアや中東、アフリカ諸国に対する緊急食料支援を含め、グローバルな食料安全保障への支援として、近々、5000万ドルの貢献を決定する予定」と食料システム問題に対処することを明言しました。
外務省のG20外相会合(概要)サイト:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009628.html
食料価格の高騰で苦労しているのは貧しいアフリカの人たちです。世界銀行の最新の報告によると、サブサハラ・アフリカの4分の1以上の国で、すでに食料インフレ率が20%を超えており、1億4,000万人超に深刻な影響を及ぼしています。一日も早く事態が収拾することを願っています。
JETROのレポートはこちらを参照:
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/c05cbbaf4bea95cf.html
(ぽ)