日本リザルツ応援団、建築専門家の藤波慎吾様にご作成いただいた大凧
GGG+フォーラムは今回で9回目の開催となりました。
私が見て感じたこれまでのフォーラムと異なるのは、先人から学ぶということを強調した点と、学生などの若い世代を全面に押し出した点だと思います。
第1部は、「国際人道税の志(金子宏先生を偲んで)」というテーマで、租税法の創設者である金子宏先生の功績を踏まえ、国際連帯税の元となった国際人道税に立ち返った議論が行われました。金子先生は現代税制の所得税・法人税の基礎研究に誰よりも早くから取りかかられ、後に財務官僚や金融界などで活躍する学生の人材育成にも尽力されました。2018年に文化勲章を受章されました。
実は、第4部でご発言いただいた財務省財務官の神田眞人様は大学時代に金子先生のゼミで学ばれたそうです。神田様には第4部の冒頭で「このままだと人類がバラバラになってしまうが、一方でまだまだ人類は前に進むことができる」と人類存続に関して、自身の責任について非常に力強いスピーチをされ、場内を圧巻しました。尚、神田様は昨年末からの為替介入など激務が続いており、お話の中では、この1か月、3時間以上寝ていないというウラ話も飛び出しました。神田様の師である金子宏先生が人類益の発想に基づく国際人道税を提唱されたことが、今、神田様が人類存続という視点に立って公務を全うされていることにつながっているのだと感銘を受けました。
第2部のパンデミックセッションは、副題に「島尾忠男先生を偲んで」と冠された通り、結核疫学における先駆者、結核予防会名誉顧問の島尾忠男先生の志について学びました。島尾忠男先生は日本リザルツの理事長も務められたことがあります。
島尾忠男先生と秋野公造副大臣の著書:まだ終わっていない弱者の病・結核
第2部でGHITファンドの國井修CEOは「島尾先生から、グローバルで戦う、最新の技術、知識をアップデートする、ビジョンを持つ、この3点を教えていただき、胸に刻んでいる」と発言されました。長年感染症抑止の最前線で活躍される國井先生の原点に島尾先生の言葉があったことを知り、その影響力の強さを実感しました。
白須理事長、山本尚子前WHO事務局長補、GHIT ファンド國井修CEO
第3部の栄養セッションは、日本栄養士会会長の中村丁次先生にモデレーターを務めていただきました。現在の日本の栄養政策の基盤を作られた中村先生からは、「Japan Nutrition」=日本の栄養政策の変遷とその功績についてお話をいただきました。
国際連帯税、結核、栄養と分野は違いますが、取り組みや志の原点がどこにあったのかを知ることは非常に重要です。今、行っている活動の全ては先人たちの努力があってこそ成り立っているということを認識することで、未来につながる道が続くのではないかと感じます。
会場での書籍販売:左から、食卓から地球を変える、天井のない監獄 ガザの声を聴け!、人口問題と人類の課題
左から、まだ終わっていない弱者の病・結核、ガザ 戦争しか知らないこどもたち
そうした先人、先駆者の思いや志を、若い世代がしっかりと受け継いでいくという意味も込めて開催されたのが、第6部です。ここでは、「学生との未来への対話」と題し、学生中心のセッションが行われました。
2020年12月のGGG+小フォーラムでも、何名かの学生に発言していただく機会がありましたが、今回は100名を超える学生の皆様にお越しいただき、社会課題に対する忌憚なき意見を専門家の方に届けていただきました。
学生は、社会を担う一構成員だという意識を持ちにくいかもしれません。しかし、社会課題の解決を仕事にする人たちと学生との意見交換は、共に行動を起こせると思うきっかけになったのではないかと感じています。
先人から志を継承し、若い世代へとそのバトンを渡していくといった点からも、以前よりも増して、将来世代への責任を果たそうとする9回目のGGG+フォーラムとなったのではないかと思います。
昼食のカレー、唐揚げ、稲荷ずしなど
今回の会合の準備、運営は大学生インターンの赤沼さんと渡邊さんが中心となって行われました。イベント準備を通じて変わっていくお二人の姿に、私も日本リザルツで働き始めた頃の初志を大切にしていこうと決意を新たにいたしました。
いつも温かく見守っていただいている皆様には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。将来世代への責任を持つ会合として、今後もGGG+フォーラムを続けてまいりたいと思います。
今後ともご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
そのっち