3月14日、「2022年版開発協力白書 日本の国際協力」が公表されました。
資料はこちらからDLできます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html
冒頭でウクライナ情勢を受けた日本の取り組みについて特集し、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、日本が決めた関連支援(総額約16億ドル)を紹介しています。
もう一つ注目したいのが、今回はじめて「グローバルサウス」に関する問題について言及し、アジア、中東、アフリカなどへの支援強化を打ち出したことです。
グローバルサウスは、南半球を中心とした新興・途上国をまとめて指す言葉です。グローバルノース=先進国との対照で使われる表現ですが、地理的に南に位置するとは限りません。一般的にはアジア、アフリカ、中南米諸国を指します。
なぜ、グローバルサウスが注目されるようになったのか。きっかけはロシアによるウクライナ侵攻です。欧米諸国と日本対ロシア・中国との間で意見の対立があり、国連総会の機能不全やG20で共同宣言が出ないなどが世界の分断が進んでいるのは皆さんもご存知かと思います。グローバルサウス諸国は中・ロとの関係を維持するため、中立的な立場を取る国もあり、国連総会でロシア非難決議を棄権した国も多く、関係性の見直しの声が上がったのです。
時事通信の報道はこちらを参照:
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400271&g=pol
グローバルサウスについて(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030400326&g=pol
林芳正外務大臣の会見(14日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_001076.html
これに関連して、現在開発協力大綱の改定に向けた作業が進んでいますが、自民党と公明党がすでに外務大臣に提言を出しています。
公明新聞の報道はこちらを参照:
https://www.komei.or.jp/komeinews/p284509/
特に昨日提出された公明党の提言内には、国際保健部分に「市民社会、NGO による国際保健分野の現場での取組、能力強化、政策提言、啓発普及など、特にソフト面をはじめとする支援を拡大すること」という文言が入り、現場のニーズに即した支援を重んじる表現がありました。また、ODA使途部分にも「自然災害時などの人道支援においては、NGO などに対する“使途を限定しない”柔軟な資金拠出を可能とすること」という文言が入っています。
一方、7日に出された自民党の提言を見てみましょう。
前文で「わが国自身の外交力と防衛力双方を車の両輪として一層強化すること」とし、安全保障のために外交力強化が必要で、ODAはそのための「戦略的」なツールであることを強調しています。こちらは人間の安全保障という観点が強い印象を受けました。
全文はこちらからお読みいただけます:
https://www.jimin.jp/news/policy/205421.html
日本リザルツは予てより「機動的な予算確保」に関して、積み木ペーパーを作成し、アドボカシーを続けてきました。
積み木ペーパー(左)
積み木ペーパー(右)
過去のブログはこちらを参照:
http://resultsjp.sblo.jp/article/190188443.html
http://resultsjp.sblo.jp/article/190175734.html
改定作業は大詰めを迎えていますので、我々も議論の変遷をしっかりウォッチしていきたいと思います。
(ぽ)