大好評の山本尚子先生の公開講座。残すところあとわずかになりました。
今日は栄養サミットの意義というテーマで、東京栄養サミットの振り返りと今後の課題、次のステップに向けて、私たちがどのように行動していくかを議論しました。
まずはグローバルファンドの稲岡恵美さんです。稲岡さんは2021年の東京栄養サミット開催にあたり、当時の外務省国際保健政策室でアレンジメントを担当されていた実務のキーパーソンです。
稲岡さんからは、東京栄養サミットでは各ステークホルダーが行動を約束する「コミットメント」を重視し、それを具体的な行動内容にまで落とし込むように尽力したことや、交渉プロセスではなく、行動を呼びかけたことが紹介されました。また、サミットでは説明責任として正しいデータ収集に基づく適切なモニタリング方法について議論したそうです。
その上で、稲岡さんからは東京で宣言された野心的なコミットメントをただ出すだけでは意味がなく、具体的な進捗状況を確認し、課題があれば、現実にあわせて軌道修正し、それをパリに受け継いでいく必要があると提言がありました。
次は、厚生労働省の清野富久江栄養指導室長です。
清野室長からは厚労省が管轄している栄養政策についてご説明があり、その上で来年の診療報酬トリプル改定については医療、介護、障がい、すべての分野で栄養が入っているという最新の情報をご紹介いただきました。
最後は我らが日本リザルツ理事長補佐の黒岩卓さんです。黒岩さんは電通出身です。今日はコミュニケーションの視点でお話をしてくださいました。まず、先月白須理事長と訪問したフランス出張の報告があり、フランスでは日本食が「健康食」になっており、ラーメンも健康というイメージが広がっているという衝撃の事実がご紹介されました。また、学校給食では地域の食文化や美食に関する教育がされており、それを栄養士でなく、教師が行っているということが報告されていました。また、フランスではマクロン大統領のリーダーシップでエガリム法が制定され、@生産者を守ることと、A消費者の責任に関して規定がなされているそうです。
その上で、日本栄養士会の中村丁次会長の「人間栄養学」の理念を引き合いに出し、栄養改善の究極のゴールは誰一人取り残さないこととされていました。その上で黒岩さんは@地域の自立を促す、マルチステークホルダーによる前向きなアプローチをしてほしいこと、A消費者意識を底上げし、食環境が大事であることを自分事に考える必要があると提言されていました。まや、黒岩さんはご専門の広告をもとにモノを買う時点できめ細かく、ポジティブな方法でアプローチが必要と言っていました。
今日は東京栄養サミット開催時に外務副大臣を務められていた衆議院議員の鈴木貴子先生にもお越しいただきました。
アイデアマンの鈴木先生。小学校時代、栄養士さんに給食の献立にカロリーを記載したらどうかと提案したり、外務副大臣時代にご自身が一緒に仕事をされていた働き盛りの官僚の方がお亡くなりになった経験を踏まえ、外務省の社食の改革を行われたりしたことなどを紹介されていました。
また、東京栄養サミットについてはオンライン配信をしていたにも関わらず、Twitterで全くバズっていなかったほろ苦い経験も紹介され、発信の大切さを指摘されていました。
乃木坂スクールは次が最終回。どのような取りまとめができるか、今から楽しみですね。
(ぽ)