2023年12月28日

国際課税に関するタスクフォース>ウール政務参事官(フランス大使館)に聞く

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去る12月22日、COP28でフランスなどが立ち上げた「開発・気候のための国際課税に関するタスクフォース」(以下TF)について、国際連帯税創設を求める議員連盟(以下議連)事務局がフランス大使館のマリー・ウール政務参事官を招いてヒアリングを行いました。当フォーラムも参加させてもらいましたので、ヒアリングのもようを報告します。

◎議連事務局からは、石橋通宏事務局長(参議院議員)、田島麻衣子事務局次長(参議院議員)が出席。

【マリー・ウール政務参事官からの報告】(見出しは当フォーラム)

20236月のパリサミットでTFが提案され、COP28の場で立ち上げられた

背景として、22年のCOP27での議論を踏まえ、途上国が開発と気候のために闘うにあたり、どちらかを選ばなければならない国があってはならないということで、本年6月パリで新グローバル金融協定サミットを開催し、より多くの資金を投入する金融刺激策を議論した。日本からは林芳正外相(当時)に参加してもらった。そこでは国際金融機関(IFIs)改革や民間資金の動員、そして国際課税について議論され、後者についてTF設置の必要性が提案された。

また、9月に開催された「第1回アフリカ気候サミット」(共催:アフリカ連合とケニア)でも上記内容が提案され、従って、フランスのマクロン大統領とケニアのルト大統領の両者によりTFの設立が呼びかけられた。

TFの目的と参加国

<目的>

 @現在の公的資金に加え、新規で追加的な、かつ予測可能な財源を拡大する

 A汚染者に価格シグナルを発し、温室効果ガスの排出量を抑制する

 B国際連帯の精神に基づき、環境コストをより衡平に負担する

  なお、国際金融機関(IFIs)の改革等はTFで議論せず(OECD内で推進)

<現在の参加予定国>

フランス、ケニヤ、スペイン、バルバドス、アンティグアバーブーダ、オブザーバーとしてアフリカ連合と欧州委員会

仏大使館とB.JPG

TFの制度設計とタイムテーブル

TFの機能>

@参加国の首脳級会合:年に1回開催

A運営委員会(参加国のシェルパ) :6週間に1回開催

B専門家諮問委員会

C事務局:欧州気候基金(ECF)とアフリカの機関

<タイムテーブル>

まず241月に第1回運営委員会を開催し、諮問委員会の専門家を指名する。詳細はこれからで、COP30を目途に内容を具体化し、実施については国際機関で協議する。

【質 疑】

*<議連>TF参加を各国政府に呼び掛けているのか?日本政府には?

⇒<ウール氏>日本を含めG7G20政府には参加要請済み。日本政府からはまだ前向きの回答は得ていない。


*日本から専門家を推薦することは可能か?以前、2010年の仏クシュネル外相時、(国際連帯税のための)金融取引税に関する専門家委員会が組織され、日本からも当時千葉大学の上村雄彦さんが加わっている(注)。

⇒それは可能だ。


*議連として、上川外務大臣に「SDGs達成のための新しい資金調達を考える有識者懇談会」設置を要求することになっているが、併せて日本政府がTFに参加するよう強力に要請していきたい。

⇒それはたいへんありがたい。ぜひよろしくお願いしたい。

(注)「国際的な金融取引と開発に関するタスクフォース」専門家委員会報告書

http://isl-forum.jp/archives/157 

TFの正式名: The Taskforce on International Taxation to Scale Up Development and Climate action Terms of Reference

TF設立に関する報道:

ftClimate finance: Perhaps the money is there, after all

https://www.ft.com/content/46b675d1-873d-4be9-a429-f4ebd9651068

lemondeCOP28: Fossil fuel taxation at the heart of the battle to finance climate transition

https://www.lemonde.fr/en/environment/article/2023/12/10/cop28-fossil-fuel-taxation-at-the-heart-of-the-battle-to-finance-climate-transition_6329456_114.html

chnewsFrance, Kenya set to launch Cop28 coalition for global taxes to fund climate action

https://www.climatechangenews.com/2023/11/16/france-kenya-set-to-launch-cop28-coalition-for-global-taxes-to-fund-climate-action/

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)


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2023年12月26日

「難民」冷える年の瀬

年の瀬になり、日本で支援を求める難民申請者が急増しているという話が朝日新聞に掲載されていました。そこには日本の世の中から取り残された難民の現状が明らかになっていました。

東京都内のキリスト協会は公園で野宿をしていた男性約20人を保護し、施設を提供するなどの支援をしています。いずれもアフリカの同じ国からきている人だったそうです。

ある難民の男性は9月に来日してすぐ、インターネットで調べて出てきた難民支援協会(JAR)を訪れ、難民申請手続きを手伝ってもらったものの、難民が無料で泊まれるシェルターの数には限りがあり、入居できなかったそうです。男性はカプセルホテルはおろか、ネットカフェに行くお金もなく、公園で野宿をすることになりました。警察官に「人に見えない場所に隠れていてください」と言われるなどの心ない対応をされたこともあったそうです。

こうした事態を受けて「ユニクロ」を手掛けるファーストリテイリングの柳井正会長は緊急生活支援のために個人で1億円を寄付しました。

難民支援協会のプレスリリースはこちらを参照:

https://www.refugee.or.jp/about/information/2023/12/rel231222/


こうした善意がきちんと困っている難民のみなさんに届くよう、適切な措置がなされることを期待したいです。

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デジタル分野でも連携拡大:ベトナムと日本

2023年ベトナムで開催された日経デジタルフォーラムの様子が、日経新聞に掲載されていました。

ここでは国際協力局長時代などに大変お世話になっている山田滝雄駐ベトナム特命全権大使もご挨拶され、ASEANが日本のイノベーションパートナーとなっているとした上で、「日越外交関係樹立50周年となる2023年に手を手を取り合って世界へ、未来へ飛躍したい」と仰っていました。


シンポジウムではベトナムや日本の企業の取り組みが紹介され、ICT大手のFPTコーポレーションのチュオン・ザー・ビン会長は自身の会社がベトナム国内に大学を設置し、AI、ビックデータなどのデジタル技術を教えているという事例を紹介。また同社が展開する「ロンチャウ」という薬局チェーンではAIで在庫を管理し、データを店舗ごとに分析。それに基づいて発注するので、品切れ率が5%以下になったそうです。


ベトナム側からは特にサイバーセキュリティ―の分野で日本との関係強化を期待しているという声があったほか、国境を越えたデータのやり取りのルール化も必要であるという指摘がありました。


ベトナムはヘルスケア部門でも日本との連携が進んでいる国です。今後、AIを活用したヘルスケアビジネスが展開していくかもしれませんね。

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障がいがあっても楽しく働ける世の中に

26日の日経新聞に障がい者の雇用に関して、SUPEYARDの社長、大益佑介さんの寄稿が掲載されていました。

SUPERYARDは博報堂と三井不動産が立ち上げた合弁会社で精神障がいがある方の就労支援事業を行っています。具体的には、こうした障がいがある方がお持ちの感覚過敏に配慮したシェアオフィスの設置や、産業医や専門家と一緒にそれぞれの個性に適した業務を特定する取り組みをしています。大益さんは「戦力として活躍するには、企業の人材として成長を実感し、継続して働けること、一社員として満足して働けることが重要だ」と指摘しています。


SUPERYARDのサイトはこちらを参照:

https://www.superyard.co.jp/


厚生労働省の統計によると、精神障がいと認定されている人の数は614万人と、身体がふじゆうな人の数を大きく上回っているにも関わらず、こうした不自由が「障がい」と認定されたのは1990年代、障がい者雇用制度の対象となったのも2018年と歴史が浅いようです。

まだまだ企業での支援が進んでいない分野であるがゆえ、ポテンシャルも大きいと感じています。SUPERYARDの今後の取り組みに注目していきたいと思います。

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2023年12月22日

おいしさを分かち合う

もうすぐクリスマスです。昨日、霞が関の魔法使いどーら、改めサンタクロース・白須がスタッフ全員に国立で有名なパティスリーのケーキを差し入れしてくれました。デコレーションケーキというと生クリームがどどーんと乗って重たい感じの印象ですが、スノードーム型のそれはスポンジがふわふわで、クリームも重たくありません。

実は学校でお菓子を学んだことがある魔法使いどーら。「学校で学んだデコレーションケーキはスポンジもクリームももっと重たかったのよ。こういう風に作るのは難しいわね」と話しており、だから長年にわたって愛され続けているのだと実感した次第です。


さて、ケーキも和気あいあいとみんなで食べると美味しいですが、最近は「ひとり飯」や「個食」が増えています。コロナ後は、給食でも席は別々、無言で食べるように指導されているようです。


そんな折、日経新聞の春秋に刑務所で栄養士として働く黒柳桂子さんのエピソードが載っており、受刑者には食生活に無頓着な人が多いという事実に驚きました。黒柳さんは更生の一環として、受刑者のみなさんに手料理を学んでもらい、食事の楽しみ方を教える取り組みをされているそうです。


お料理教室が三日坊主にならずに続いている筆者ですが、教室やオフィスでみんなで食べるとおいしいですが、1人で食べるとやっぱり味気ありません。今年のACジャパンのCMに「おいしいねって いいあうと もっと おいしいんだよね」というフレーズがありましたが、みんなで食の楽しみを分かち合うことが一番のおいしさの秘訣なのかもしれません。


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