山本尚子先生の公開講座は本日が最終回です。
今日はこれまでの議論をもとにパリ栄養サミットに向けて、日本からどのようなメッセージを発信すべきか、取りまとめを行いました。
冒頭、塩崎恭久元厚生労働大臣から総括があり、どういう風に持続的な社会を築いていくかという点で高齢化という話が抜けているという指摘がありました。
塩崎先生からは菓子パン2個と刺身定食の栄養価が同じであるとした上、栄養摂取については雲泥の差があることが紹介されました。また、日本の医療制度の中でも栄養が後回しになっており、例えば、医療法における配置基準では医師、看護師、薬剤師などは病院のベッド数によって数が変わるが、栄養士は「1人以上」としか定められていないと述べられていました。
またデータヘルスに関しては塩崎先生が厚生労働大臣時代に推進された旨が紹介された上、行政情報と医療情報がわかれていることが課題であることを指摘されていました。
その上で提言に関して、参加者全員で議論を行いました。
メッセージは以下の10が素案として挙げられています。
1.過栄養」、「低栄養」、「栄養の質」の課題に総合的かつ持続的に取り組む必要性
2.効果的・革新的アプローチ:食と栄養におけるパラダイム・シフトの加速
3.地域や国ごとに異なる健康課題に対する、地域や国に合ったアプローチ
4.栄養分野の人材の育成とコミュニティ・住民(消費者)のエンパワメント
5.分野横断的、マルチステークホルダーによる取り組み〜総合的な栄養、食システム
6.学校給食の意義・学校給食を通して伝えられること
7.民間企業との創造的パートナーシップ:ポジティブ・モデルの構築
8.脆弱な状況下での栄養不良家の国際協調による取り組み
9.食のシステムと栄養のための資金
10.コミットメントとその責任ある実行
また、今後のアクション・プランとしては、以下ができるのではないかという話がありました。
1.パリ栄養サミットに向けた提言の最終文書作成(日・英、できれば仏?)
2.PMACなど国際会議の場での議論
3.国内外のキーパーソンへのアドボカシー
4.日本はの指標などの開発や普及
5.食と栄養分野への資金動員の働きかけ
6.フランスのN4Gサミット準備会合への積極的な参加
日本リザルツから栄養・水という枠組みの中で、マルチセクターで取り組みができるような(グローバルファンドの10倍から100倍以上の)莫大な基金を作るのがいいのでは?という点に触れさせていただきました。
この講座でまとめられた提言は最終的に日本政府に提出する予定です。最後に塩崎先生から「提言を作っても実行されなかったら意味がないので、しっかりと結果につなげること」という力強いアドバイスをいただいて、講座は終了しました。
参加者で集合写真を撮影しました。どのような提言ができるか、今から楽しみですね。
(ぽ)