介護保険サービスの公定価格となる介護報酬について、政府は16日、来年度からの報酬を1.59%引き上げる方針を固めました。1.59%の引き上げは、前回改定(2021年度)の0.7%増を大幅に上回る水準で、2009年度に次ぐ高い水準になっています。
政府はすでに今年度補正予算で、来年2月から介護職の賃金を月約6千円(0.7%相当)引き上げると決めましたが、物価高や人手不足への対応でさらに上積みすることを決めたようです。
背景にあるのは担い手不足の深刻化です。
介護が必要な高齢者を支えるのに必要な介護職員の数は2023年度はおよそ233万人と試算されていたものの、実数は215万人(2021年のデータ)でした。また、厚労省の雇用動向調査でも、2022年に介護職を離れる人が、働き始める人を上回る「離職超過」にはじめて陥るなど人材流出が問題になっていました。つまり、介護が必要な高齢者の数は増加する一方、他業種の賃上げで介護職員の給与が相対的に低くなったことで、他の業界に人材が流出していたのです。
こうした背景もあり、厚労省は、介護職員の処遇改善として0.98%を上乗せし、全体で1.59%のプラス改定にすることにしました。実現すれば、制度ができた2000年以降、2番目に高い引き上げ率となります。
来年度の改定を取り仕切っているのが日本リザルツもお世話になっている武見敬三厚労大臣です。随一の政策通として知られる大臣のリーダーシップに期待したいところです。
(ぽ)