2024年01月30日

骨髄バンクの変遷

 「骨髄バンク」の名前を知っている方がどれだけいるでしょうか。名前を聞いたことある人は多いと思います。骨髄バンクは白血病などの血液疾患にかかり、造血幹細胞移植が必要な患者に骨髄液を届ける仕組みです。テレビCM、新聞、役所などの公共施設に置かれているパンフレットで名前を目にする機会は多くありますが、昔はそれほど有名なものではありませんでした。

 私はGGG+フォーラムの議事録作成で、骨髄ドナーを増やす活動を行ってきた電通の方のお話をうかがいました。当時、白血病がなかなか治らない病気だと言われており、骨髄バンクの知名度は低かったそうです。またドナーが誰でもいいわけではありません。患者と血縁関係がなく、55歳未満の健康な方であることが条件だそうです。

 その方は三大テノールで自身も白血病になったことがあるホセ・カレーラスのチャリティ公演をしたり、ブッシュ元アメリカ大統領の夫人で白血病の支援に力を入れているバーバラ・ブッシュ夫人をキャンペーンに起用したりし、だんだんと人が集まっていったことを紹介していました。このセッションでは、国会議員がドナーになるなど地道な取り組みの積み重ねが今につながっていることを知りました。

 骨髄バンクの仕組みを深く理解している人はまだ多くはないのかもしれません。今に至るまでの長い道のりの一部を知り、深く驚嘆しました。


ユキオ

posted by resultsjp at 21:53| Comment(1) | 情報

石川県付近の観光産業

 11日に起きた石川県能登半島地震の余波は観光産業にも及んでいます。石川県七尾市の和倉温泉では、建物の損壊があり休業を余儀なくされています。それに加え、富山県や福井県などの通常営業を続けている地域への客足も遠のいています。

 123日付の朝日新聞によると、富山県では宿泊のキャンセルで29643万円にも及ぶ損失が出ていることが明らかになりました。黒部市の「ホテル黒部」の女将である中島ルミ子さんは「『北陸全体が危ない』と思われているのではないか」と話されていました。報道によると、同ホテルの損失額は13日時点で約400万円です。従業員も24人おり、先行きが不透明だといいます。

 災害や紛争が起きたとき「私には何ができるだろうか」と考えます。募金、ボランティアなどもそうですが、観光産業の復興もその一つだと思います。通常営業を行っている地域を知り、観光客としてその地を訪れることも復興を手助けする方法だと思いました。



ユキオ

posted by resultsjp at 18:45| Comment(1) | 情報

2024年01月29日

地震後によく起こるストレスと対応

能登半島地震のようなトラウマ的な出来事の後、被さい者が心理的に回復するために次のような3段階があります。


1.安心感を取り戻す。

2.失われたものへの追悼と哀悼

3.通常の生活に戻る。


精神的な回復に要する時間は、被さい地への近さ、被さいの度合い、支援体制の強さなどの要因に左右されます。今回、被さいの人々は必然的にこれらのショック受けており、特に激甚地域においては、被さい者や救援に携わる人の心理影響が大きくなります。トラウマ反応などの症状が強く出ることがあります。


精神的な回復のためには「安心感の醸成」が最優先課題として掲げられていました。

具体的には以下の3点です。

1. 被さい者に明確な情報(各種支援や助成金など)を届ける。

2. 被さい者の尊厳と自己コントロールを取り戻す。

例えば、さまざまな心理的ケアは被さい者の意見を尊重する必要があります。被さい者は、食事や睡眠などの日常生活でバランスと正常さを維持することで、気持ちがコントロールできるようになります。

3. 被さい者にとって安全な環境を確立する。


心理的回復期間を経るなかで、多くの人々、特に生存者、被さい地の住民、救援者にも、以下のような心理的または身体的反応が起こります。

1.不安や緊張の増加、不眠症、過敏症、集中力の欠如、興奮状態、不安・落ち着きのなさ、急に心臓がドキドキする、胸の圧迫感、筋肉痛、家に帰る恐怖感など。

2.喪失感による憂鬱、悲しみ、食欲不振、興味の欠如、無力感、絶望感、さらには生き残っていることへの罪悪感や自殺の衝動などの症状。

3.急性ストレス障害または心的外傷後ストレス障害、強い恐怖感、無力感または恐怖を感じる。

トラウマ的な経験後は頻繁なフラッシュバック、興味の喪失などがあります。緊張が高まり、日常生活に支障をきたします。薬物またはアルコール乱用、パニック障害、恐怖症、社会恐怖症など、他の合併症を引き起こす可能性があります。


多くの被さい者の感情的な反応は、地震の後に生じた生活上の問題から来ています。

ほとんどの人は、自分がメンタルヘルスサービスを必要としていることに気が付かず、助けを求めません。また、心のケアも段階に合わせて調整する必要があります。精神的なむサポートを行うシステムは、被さい者の心理的回復にとって重要です。


重要なことは被さい者の感情に耳を傾け、自分の心に向き合うことが回復のための最良の薬であるとです。性急に一方的なアドバイスを与えるのではなく、感情と向き合い、自分がどう思っているのかわかることで症状は半分以上緩和されます。なので、ケアをする人は、被さい者の回復のペースを尊重する必要があります。


セキュリティの問題もあります。避難所、リソースなどの情報を提供し、実際的な問題が多いため、情報収集を支援します。

例えば、

1.被さい者が自らのニーズや感情を表現し、復興のイニシエーターとなるよう促す。

2.被さい者が興奮、自傷行為、アルコール依存症などの過剰反応を避けるのを支援し、これらの状況が発生した場合に対処する専門家を見つけるのを助ける。

3.必要に応じて、処理を支援する専門家(医師、ソーシャルワーカー、ライフラインなど)を見つける。


地震のニュースなど苛立たしいメッセージにさらされることを減らすなど、ストレス要因を軽減させることも重要です。

困ったら、緊張を和らげる、忍耐強く、安全で信頼できる家族や友人に相談するか、心理学者に助けを求めてください。緊張しすぎたり、心配したり、不眠症になったりすると、医師は抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤を使用することがありますが、これらは一時的にしか使用されません。緊急時の処置に備える、脱出バッグ、電池、飲料水、避難経路などの準備はストレスを和らげることにもつながります。


被さいされたみなさんは孤立せず、友人、親戚、近所の人、同僚、さまざまな団体やカウンセリング団体のメンバーと連絡を取り合い、自分の気持ちを話してください。

定期的な運動、規則正しい生活と休息、体の世話をし、この時期の免疫力の低下に注意し、風邪に注意してください。音楽鑑賞、瞑想、ヨガ、太極拳、筋弛緩法などは良いリラクゼーションになります。


海外の研究は、被さい地の精神外傷外来や特別外来で、PTSDなどの心理的苦痛を感じている人が自分の恐怖体験を話し、それを短期間の投薬と組み合わせることができれば、34週間後に大幅な改善を達成できることがわかっています。これらの心理的ストレスの治療が早ければ早いほど、効果はより速くなり、慢性疾患やその他の併存疾患のリスクは減少します。


K.K.

posted by resultsjp at 18:22| Comment(1) | 情報

ガザ南部ハンユニスの国連施設への攻撃

1月24日に、ガザ地区南部ハンユニスにある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職業訓練施設が攻撃を受けました。施設には数千人が避難をしていました。この攻撃によって、12人の方が犠牲となり、75人の方が負傷しました。

イスラエル軍は、1月23日にハンユニスを地上部隊が包囲したと発表しましたが、今回の攻撃を、自軍によるものだと認めていませんでした。ハンユニスでの攻撃は激化しています。この地域で最も大きなナセル病院付近でも激しい戦闘が続いていて、患者や避難されている方は逃げることもできず、いつ攻撃されるかもわからないという不安を抱えています。


ガザ地区ハンユニスには、「日本地区」と呼ばれる地域があります。日本政府の支援によって学校や診療所、住宅が建てられ、現地の方からも親しみを持って呼ばれています。ハンユニスのトレーニングセンターでは、毎年3月に東日本大震災の復興を願った凧揚げが開催されています。日本リザルツの元スタッフで、今はUNRWAガザ事務所の職員である吉田美紀さんが主導となり釜石などの被さい地でも実施をしており、UNRWAガザ事務所で勤務を始めてからもガザの子どもたちと毎年3月に凧揚げを行っています。

2015年3月には日本リザルツの白須理事長もガザ地区ハンユニスに入り、子どもたちと一緒にガザと釜石市をつなげた凧揚げを行いました。私たちにとっても思い入れのある地域での攻撃が起こっているのがとても残念です。


停戦交渉は行われているものの、緊張はまだ続いています。イスラエルのネタニヤフ首相が、仲介役であるカタールを「問題だ」と批判する声明がイスラエルの地元テレビ局で報道されました。これに対し、カタール外務省は、「発言が事実なら、無責任であり、罪のない人々の命を救う努力を壊すものだ」と批判しました。


ニューヨーク・タイムズは、2週間以内におよそ2か月間の戦闘休止に合意される可能性があると報じました。米国が主導して、ハマスが拘束する人質100人の解放と引き換えに、イスラエルはガザでの戦闘を休止するという交渉が進んでいます。


イスラエル国内でも、今回の戦闘に対する世論は割れています。イスラエル民主主義研究所が2024年1月14日〜17日に実施した世論調査によると、国民の約52%は戦闘の継続を求めています。彼らは人質解放と引き換えに軍事作戦の停止を認めるべきではないと主張しています。その一方で、約40%の人々は停戦や人質の解放を認めるべきだと回答しています。戦闘休止中の2023年11月下旬の世論調査では、76%の人が戦闘の再開を支持していましたが、現在は世論が分断してしまっています。これは、戦闘以前からの国内の司法制度改革をめぐる右派のネタニヤフ政権と左派の政治的対立が反映されているようです。

この対立が深まれば、ネタニヤフ政権の決断はより一層慎重になってくるとみられています。


そのような中、UNRWAのスタッフがハマスによるイスラエルの奇襲に関与しているとの疑惑が生まれ、日本を含む主要な援助国の多くが一時的に資金の拠出を停止すると表明しました。戦争が激化し、停戦もまだ確定していない状況での、多額の資金拠出停止はガザの人々の命を危険な状態に陥れる可能性が高いです。


まずは、ガザでの戦闘が休止され、彼らの復興に向けた十分な援助がなされることが必要です。ガザとイスラエルの対立は現地だけでなく国際社会全体に緊張感をもたらしますが、どのような状況であれ、影響を受けるのは弱い立場の人であることを忘れてはなりません。


GGG+フォーラムでUNRWAの清田保健局長が「若い人は白は白、黒は黒ときちんとものを言いながら、世論を形成することが大事だ」と教えてくださいました。

思いやりある判断を当たり前にできる世界になってほしいとの願いを持ち続け、学生ながらも「殺されていい人はいない」と声を上げ続けていきたいと思います。




posted by resultsjp at 17:13| Comment(1) | 情報

能登半島地震から見るまちづくり

29日の日経新聞に能登地震から見える人口減少と高齢化の問題に関する記事がありました。


65歳以上の人口の比率は珠洲市と能登町で半数を超え、輪島市と穴水町でも40%台後半を記録しています。石川県全県(29.8%)に比べて比率が高いです。高齢者の増加に反比例して人口が減り、1990年に42,800人だった人口は23年に23,500人にまで減少しました。


人口が少ないところはインフラ整備が遅れます。主要水道管の耐震適合率は志賀町ではわずか10.4%です。


この地域はもともと和倉温泉(七尾市)や輪島市の朝市などを軸にした観光と1次産業が盛んで、観光産業を中心に今も仕事に従事している高齢者の方が多くいます。能登町商工会は19日に事業者向けの相談窓口を設置しましたが、「震災を機に事業を畳もうと思っている」という相談が後を絶たないそうです。若年層を中心に人口流出が進んでいます。こうした背景もあり、親を能登地域に残し、金沢市などで自宅を構える若年層も多いです。


そのため1.5次避難所や二次避難所で金沢市内に移ってくる高齢者も多いですが、住み慣れた土地を離れ、話し相手がいないなどの不安の声が聴かれます。


白須理事長も訪問した「いしかわ総合スポーツセンター」は290人の避難者のうち、9割以上が65歳以上の高齢者という統計も出ています。


これは何も石川県だけの問題ではありません。高齢化が進む日本全体でどうまちづくりを進めるかという疑問を私たちに投げかけているように思えます。例えば、多摩ニュータウンなどでは人口減と高齢化が進み、東京都がデジタル化などを踏まえた新たなまちづくり方針の素案をまとめたばかりです。京都市は国交省のキャリア官僚を招へいし、ニュータウンの再生を行っています。


東洋大の根本祐二教授は「これまでは住民がいるところにインフラを整備する考え方。これからは地域の拠点に公共サービスを集約する時代」と指摘されていました。


能登半島地震からの復興で、お年寄りが活き活き暮らせる社会とまちづくりができれば、災害復興のモデルケースになると思います。そのために私たちが何ができるのかを考えていきたいと思います。

(ぽ)

posted by resultsjp at 14:45| Comment(1) | 情報