2014年06月30日

レイテ島 結核調査報告19

前回の報告から少々時間が経ってしまいましたが、今回はサンイシドロとレイテレイテ町のRHU(Rural Health Unit)やTB-DOTSセンターを訪ねた際のご報告です。

サンイシドロRHU:昨年の台風でRHUは小規模の被害を受けたものの、数々の援助団体の支援を受けて既に修復されていました。結核診断・治療に関する環境は、TB-DOTSセンターがないのを除いて整っています。そのTB-DOTSセンターも、保健省から建設費用が出ていて敷地内に建設予定です。

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RHUへ続く道にはかつて雨よけの屋根がありましたが、台風で吹き飛ばされ、骨組みだけが残っています。

結核患者をコミュニティで見つけ、RHUで診断をし、その後患者さんの住む地域のヘルスセンター(バランガイ・ヘルス・センター、もしくはRHU)でDOTS治療が行われます。患者さんのフォローアップは、全体を結核コーディネーターが、助産師やバランガイ・ヘルス・ワーカーが患者の家を定期的に訪問して行っています。と、システムはありますが、種々の理由でそのシステムが機能しないケースがあります。

サンイシドロは4thクラス(4/6クラス)で町自体が貧しく、そこに住んでいる結核患者の大部分は貧困層にあるため、職を求めて出稼ぎをする人が少なくありません。帰省して結核治療を始めたものの、治療期間を終えないまま、調子が良くなった時点で治療を止め、再度出稼ぎに行ってしまう(出稼ぎに行かざるを得ない状況がある)ことが問題となっているのです。また、町内に住んでいても治療施設へ行くための交通費が払えない患者さんもいます。そのような場合には、患者さんが住む村の村長さんにお願いし、村長さんが交通手段を手配、食料を買えない患者には、社会保健福祉省経由でお米の配給を手配することもあります。

さらにぺディキャブ(自転車タクシー)ドライバーであるにも関わらず治療を拒否したり、MDR-TB疑いであるにも関わらず、専用の治療施設に行かずに地域で活発に種々の活動をしていたり、という患者がおり、結核感染拡大の危険がありますが、医療スタッフは患者に対して治療を強制することはできず、あくまで患者の自発的な意思がなければならない事が結核コーディネーターを悩ませています。

州保健局より供給される薬や諸備品は十分にあり、万が一薬や備品が足りなくなった場合の州保健局への交通手段は確保出来ており、州保健局に薬等の在庫があればいつでも入手可能な態勢ができています。しかしながら、抗再燃結核薬が不足しています。患者自身で購入しなくてはならないのですが、お金がなく購入不可な患者さんも。そのような場合には社会福祉開発省に支援をお願いするのですが、常にその願いが叶うとは限らず、治療を必要としているのに治療が出来ない患者がいるという実情があります。

数年前より問題になっている小児結核は、ツベルクリン検査薬がないので検査が出来ず、何も出来ない状態です。喀痰検査陽性患者を家族に持つ子どもに対する予防措置も現在のところは行っていませんでした。

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レイテレイテRHU:結核コーディネーターは、このRHU勤務30年のベテラン保健師。こちらのRHUにもTB-DOTSセンターは無く、現在は結核患者を一般診療の患者から隔離することが出来ない状態です。事態を重く捉え、早急に対策を練ると仰っていました。このRHUはコンクリート2階建ての建物の1階にあり、RHUは台風で水浸しにはなりましたが、被害は小さくおさまりました。

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黄色と緑の壁の部分がRHUで、こちら側に入り口があります。手前のコンクリート壁の建物は臨床検査室です。

結核患者をみつけたり、診断・治療、モニタリングの一連の過程は、既述のサンイシドロRHUや他のRHUとほぼ同じです。

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RHUへの入り口とは裏側にある、昨年建てられた臨床検査室。(右のコンクリート壁の小さな建物です)

このRHU特有の問題は、
1.治療期間中であるにも関わらず、症状がなくなると治癒したといって服薬を止めてしまう患者がおり、誰が何を言っても聞かないとのこと。
2.薬や検査に必要な備品等は、台風の後の方が供給状況が良いのですが、供給物資を取りに行くための交通手段が確保されておらず、公共の交通機関を使っていかなければならないこと。

MDR-TB(多剤耐性結核)疑い症例はありましたが、MDR-TB症例はまだありません。家族に喀痰検査陽性患者をもつ子どもに対しては、ツベルクリン検査陽性、もしくは検査なしでも条件を満たせば治療を開始することとしています。症状がまだ無い子どもに対しては、予防措置をとっています。他の町でもそうですが、結核に対する偏見は過去のように大きなものではなくなり、患者は結核罹っていることを隠さなくても良く、また家族や親戚、周囲の人びとのサポートを少しずつ得られるようになってきているものの、完全に偏見がなくなるまでには時間がかかりそうです。

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臨床検査室の中。こざっぱりとしています。(wku)

posted by resultsjp at 20:41| Comment(0) | フィリピン
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