2015年11月27日

世界銀行セミナー「パンデミック緊急ファシリティ:感染症による緊急時対応のための新たな資金メカニズム」

11月24日(火)、世界銀行東京事務所にてセミナー「パンデミック緊急ファシリティ:感染症による緊急時対応のための新たな資金メカニズム」が開催されました。

ムケシュ・チャウラ氏(世界銀行グループ保健・栄養・人口問題グローバルプラクティス部門長)によるプレゼンテーションではPEFの設計趣旨と概要が説明され、早稲田大学勝間靖教授、ジョイセフ石井澄江代表理事がコメントしました。

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この新しい資金メカニズムは、西アフリカを中心に発生したエボラ出血熱への対応時に、国際社会が迅速に資金供給できなかったという教訓から世銀が設計しているメカニズムです。途上国政府に代わってPEFが民間保険会社と保険契約を交わし、またプールされた各ドナーの拠出金も加えて、深刻な感染症の大流行が貧困国で発生した際に迅速に各援助実施機関に提供するというものです。来年のG7サミットにはその設立が発表される予定で、保健分野に取り組むNGOの関心を集めています。

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勝間教授や石井氏をはじめ、セミナー参加者からは、PEFの革新性やその意義について評価しつつも、実施における疑問や想定される問題点等を指摘する声が出ました。簡単にまとめると以下のとおりです。

・エボラの事例で問題だったのは、当該国政府が迅速にその発生を認めWHO等に報告しないということ。PEFは当該国が自ら申告しWHOがその実態を確認することで資金を供給する流れだが、実際に機能するとは思えない。お金の問題というより、政治的・文化的要因が大きいのではないか。報告のインセンティブとして保険金だけで十分なのか疑問。

・WHOの負担が大きすぎるのではないか。エボラの例で機能しなかったのに、ここで機能するとは思えない。そもそも途上国ではWHOの国際保健規則(IHR)を守っていない国が多く、保健当局・システムが脆弱なところで、保険金を拠出するための事前承認をどうやって行うのか。途上国政府によるモラルハザードにも留意が必要。

・現場での援助協調が大きな課題。事前に実施機関を認定しておく制度になっているが、実際の現場でのオペレーションで機能するかどうかが課題。エボラのケースでは軍隊が大きな役割を果たしたが、PEFではどうか(→当該国政府の事前認定次第で資金拠出の対象にもなりうる)。

日本政府がどのように関与するのか、また日本の民間の保険会社が参入するのか等については特に言及がありませんでしたが、今後も関心を集めそうです。(高木)
posted by resultsjp at 11:48| Comment(2) | リサーチ&アドボカシー
この記事へのコメント
箱ものにお金がいかないといいですね。
Posted by 白雪姫 at 2015年11月28日 07:54
ぜひ実現してほしいです。
Posted by 白虎 at 2015年11月30日 19:34
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