日本経済新聞より、デービッド・マルパス世界銀行総裁へのインタビューが行われましたので紹介いたします。
2021年を振り返り、マルパス氏は、世界全体の成長率は約5%に達したと見られるものの、経済回復には国によってかなり差が残っていることに言及しました。例えば、各国の一人当たり所得の伸びは先進国で5%である一方、低所得国は0.5%にととどまっていることや、先行きのリスクとして、インフレや新型コロナを挙げつつ、アフリカ諸国などの貧困国におけるワクチン接種の遅れがコロナ禍を長引かせ、オミクロン株のように世界経済全体への大きな重荷となることを指摘しました。
また、コロナ禍で膨らんだ債務に関して、低所得国の対外責務は2020年は前年比12%増の8600億ドルに達し、債務返済の重さに加え、投資家による投資忌避をもたらしかねないとしました。さらに、途上国の債務について、世界銀行のレポートに言及しつつ、公表された金額と比べ、実際の債務が最大GDPの30%も多い場合があること、また、中国による途上国への貸し付け契約には秘密保持条項が含まれていることが多く、債務の全体像を不透明にするばかりか、債務再編を行う場合に支障を来す例のあることも指摘しました。
最後に、マルパス総裁は、世界銀行による足元の取り組みとして、60か国以上において、ワクチンの取得や配送のための支援を行っていることや、援助資金の35%を気候変動に振り向けるなど、気候変動対策にも積極的に取り組んでいることにも言及しました。
デービッド・マルパス世界銀行総裁へのインタビュー記事全文はこちら(Nikkei Asia 英文):
(杉)