2023年01月08日

エドウィン・チロバ氏殺害から考える、アフリカのLGBTQ問題

日本リザルツは全ての人が健康で笑顔に、且つ尊厳を持って生活できる世界を目指して、活動を行っています。今日は衝撃的なニュースが飛び込んできました。


私が活動するケニアで有名な若手ファッションデザイナーでLGBTQ活動家のエドウィン・チロバ氏の遺体が金属製の箱に入れられ、捨てられているのが発見されたのです。警察が殺人事件として調査をしていますが、彼のセクシュアリティが殺害理由となった可能性が高いと人権団体などが声をあげています。


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LGBTQの権利擁護運動を象徴する虹色カラーのファッションを身にまとうエドウィンさん。

BBCCNNなど世界のニュースでも、大きく報道されています。

https://www.bbc.com/news/world-africa-64184372

https://edition.cnn.com/2023/01/06/africa/kenya-edwin-chiloba-lgbt-activist-death-intl/index.html


アフリカ諸国では日本と比べ、依然としてLGBTQへの偏見が非常に根強く残っています。国際ゲイ・レズビアン協会によると、国連とアフリカ連合が認めるアフリカ55の国と地域のうち、34か国で同性愛が非合法化されているのです。同性愛によって、最悪、死刑や懲役刑に課せられる国もあります。ケニアでも同性愛者同士の性交渉は最長14年の禁固刑に処されます。

詳細はこちらの報道を参照:

https://www.africanews.com/2023/01/07/lgbtq-kenyan-activist-found-dead/



法律で見えない差別も沢山あります。例えば、2018年にケニア映画として初めてカンヌ映画祭でプレミア上映されたレズビアン同士のラブストーリー 「ラフィキーふたりの夢ー」などは、自国ケニアの映画審査委員会によって上映が禁止されています。

関連する報道はこちらを参照:

https://www.okayafrica.com/lgbtq-in-kenya/


また、暴行などの危険もあります。ケニアでもLGBTQを自認する人のうち半数が何等かの暴行を受けたことがあるそうです。


アフリカ大陸で唯一、憲法の「性的指向による差別の禁止」にもとづき、Civil Union Actで「同性婚」を保障しているのが南アフリカ共和国です。他にも、カミングアウトした同性愛者を軍人として受け入れるなどの措置を講じたり、同性婚を容認したりしています。


なぜ南アフリカでこのような先進的な動きがあったのでしょうか。背景にはアパルトヘイト政策との関係があります。1980年代、アパルトヘイトによる人種差別が国際的に非難を浴びはじめたころ、LGBTQの人たちの平等を求めるロビイング運動も、南アフリカで活発になりました。これを当時のネルソン・マンデラ大統領が重く受け止め、1997年に施行された新憲法に、「性的指向による差別の禁止」が明記され、LGBTQの権利が保障されたという経緯があります。

アムネスティインターナショナルの特集:

https://www.amnesty.or.jp/news/2020/0710_9454.html


これは何もLGBTQの話だけではありません。アジア人の私はケニアでは立派なマイノリティです。新型コロナウイルスが発生した当初はヘルスセンターで活動していると「お前らのせいだ」「コロナ」とか言われ、石を投げられたりすることもありました。結核患者さんへのスティグマも結核は治らないなどの誤った知識から来ます。こうした偏見を無くすには、正しい情報の共有が一番大切であると実感しています。


しかし、驚いたのは日本のメディアの反応です。世界的な報道機関、CNN、BBCに始まり、LGBTQ問題に敏感なアメリカのメディア、ワシントンポストやVoice of America、経済誌のエコノミストや中東のアルジャジーラなども、こぞって紹介をしているのですが、日本の報道は全く出てきませんでした。

心ない差別により、20代半ばの未来ある若者の命が失われてしまったことが遺憾でなりません。エドウィンさんのご冥福をお祈りするとともに、このような惨劇が繰り返されないことを願ってやみません。

(虹色カラーのぽにょ)

posted by resultsjp at 18:44| Comment(1) | 情報
この記事へのコメント
怒りが噴火しています!!!!
Posted by 崖から落ちたボニョ at 2023年01月08日 18:46
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