日本政府は10日、「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。この改正案の趣旨はウクライナの復興支援や公衆衛生危機への対応強化が国際的な喫緊の課題となっていることを背景に、国際復興開発銀行(IBRD)において、こうした課題への対応を目的とした基金の設立が進められています。法案改正でこのような基金に対して、国債による拠出を可能とすることにより、世界銀行の知見を活用した国際貢献を可能とするというものです。
「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」の説明を参照:
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/i20230210g.html
ところで、この拠出国債とはいったい何なのでしょうか?
拠出国債は、国際機関へ出資、もしくは拠出する現金に代えて、その全部又は一部を払い込むために発行される国債のことです。国際機関のプロジェクト資金は、単年度で直ちに全額が援助支出(Disbursement)されないので何年かにわたり現金化される国債で払い込むことが合理的だからです。報道では、ウクライナの復興支援に焦点がいっていましたが、今回の法案改正により、将来の公衆衛生危機への対応強化にも世銀の設立する基金には拠出国債が使えるようになります。23年度予算案によると、円換算の上限額は6850億円(ドル建てで50億ドル)。実際の金額は関連法案などの成立後に、世銀と調整するということです。
一連の報道はこちらを参照:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA235EE0T20C23A1000000/
https://sp.m.jiji.com/english/show/24272
また、同日、日本政府は国際協力銀行(JBIC)法改正案も閣議決定しました。この改正によって、国際金融機関がウクライナの電気や水道の整備に関して、民間セクターに貸し付けする際、JBICが債務を保証できるようになりました。
株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案について:
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/jbic20230210h.html
日本リザルツは予てより、ODAや国際協力に関して「機動的な予算確保」ができるよう、アドボカシーを続けてきました。
2022年9月19日付のペーパーはこちらを参照:
今回の法改正がなされれば大きな前進になります。今国会で早期に成立することを期待しています。
(ぽ)