2月20日に、環境省が創設したESGファイナンス・アワード・ジャパンの第4回表彰式が開かれました。ESGとは、環境(E:Environment)、社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance)の頭文字を合わせた言葉です。気候変動問題が深刻化する中、ESG要素を考慮した投資は、企業が生き残っていくための重要な考え方となってきつつあり、政府も積極的に支援をしています。直近では、政府が2月に「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」を閣議決定したばかりです。
本アワードでは、「投資家部門」、「間接金融部門」、「資金調達者部門」、「金融サービス部門」、「環境サステナブル企業部門」の5部門に分けて、ESG金融または環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた団体が表彰されます。
今回は、受賞企業の取り組み紹介や、選定委員によるパネルディスカッションが実施されたそうです(企業・団体一覧は一番下に明記しています)。
環境省のプレスリリースはこちらを参照:
https://www.env.go.jp/press/press_01204.html
新聞内には各企業の取り組みやお話が掲載されていましたが、どの企業も、自社の利益創出と共に環境問題解決に寄与し、生まれた利益をさらに環境問題解決に使うという好循環を目指しているのだと感じました。
中でも印象的だったのは、Nippon Life Global Investors Europeでチーフディレクターを務める林寿和氏のメッセージです。林氏は、2022年10月には、ロンドンビジネススクールのAlex Edmans教授の「The End of ESG(ESGの終焉)」という論文に触れ、これは、もはや国際社会ではESGを考慮することが当たり前になっていることを体現していると指摘していました。エネルギー資源が乏しいと言われる日本企業は、環境問題への取り組みが少ないように見えるので、世界から後れを取らないようにしないといけないのではないかと痛感しました。
また、アセットマネジメントOne運用本部責任投資グループエグゼクティブESGアナリストの櫻本恵氏の「ESGが目的化してはいけない」という言葉にも共感しました。ESGが目的化すれば、人間の幸福という観点が抜け落ち、企業の発展が最重要視される今までと同じ轍を踏むことになります。利益を生み出すために活動するがゆえに、利益にばかり目が向きがちな企業だからこそ、ESGにおいて、その目的がどこにあるのかを常に意識しなければならないと感じました。
日本は、再生可能エネルギーへの移行などに対して産業界からの根強い反対もあることは耳にしています。しかし、こうした取り組みを通じて、日本全体が徐々に環境問題解決に向けて動き出していることも感じています。地熱発電や洋上風力発電など、地形を生かした再生可能エネルギー技術もあります。3月5日のGGG+フォーラムで、専門家の方も言及されていたように、従来の常識で無理だと思われていることも、法律や企業方針が変わり、企業が変われば、社会が変わり、可能になると思います。そういった意味で、企業や政府の役割、そして連携は重要であると感じますし、自分自身も最新の情報に触れてどんどん学んでいこうと思いました。
受賞企業は以下の通り
〇金融サービス部門
金賞:ブルームバーグ・エル・ビー、銀賞:三井住友海上火災保険、みずほ証券、銅賞:東京上海日動火災保険、FTS Russell
〇投資家部門
金賞:第一生命保険、銀賞:三菱UFJ信託銀行、銅賞:ニッセイアセットマネジメント、ロベコ・ジャパン、特別賞:明治安田生命保険、SDGインパクトジャパン
〇間接金融部門
金賞:静岡銀行・静岡県信用保証協会、三菱UFJ銀行、銀賞:滋賀銀行、銅賞:福岡銀行、特別賞:琉球銀行
〇資金調達車部門
金賞:三菱地所
銀賞:オリックス不動産投資法人
銅賞:NTTファイナンス、九州旅客鉄道
特別賞:JPX総研
〇環境サステナブル企業部門
金賞:アサヒグループホールディングス、味の素
銀賞:伊藤忠商事、積水化学工業、積水ハウス、東京上海ホールディングス、銅賞:アイシン、セイコーエプソン、デンソー、富士通、特別賞:INPEX、オカムラ、キリンホールディングス、三井化学