2023年03月23日

アフリカのスタートアップ躍進:ITで課題解決

22日の朝日新聞4面に、アフリカ発のスタートアップが急成長しているという記事が掲載されていました。

特に、金融とITが融合したフィンテックと呼ばれる分野が、ケニアとナイジェリアを中心に発展しており、アフリカ大陸の東西に位置することも相まって「東西アフリカ版シリコンバレー」と呼ばれているそうです。
興味深いのが、現地に根付いていなかった技術を一足飛びに急速に発展させる「リープフロッグ」という現象が起こっていることです。
ケニアの例を挙げると、2007年に携帯電話を使った送金システム「エムペサ(M-pesa)」がスタートし、欧米を超える速度でモバイルマネーが普及しました。背景には国民のほとんどが銀行口座を持っていなかったことがあります。ケニアでは銀行が限られた場所にしかない上、手続き上の理由から持てるのは富裕層だけでした。貨幣経済でない自給自足の農村部の人やホームレスなどの貧困層は、銀行口座やクレジットカードを持つことができませんでした。M-pesaは、携帯電話さえを持っていればお金の出し入れができます。これは画期的で、貧困層を含めた国民にサービスが普及。現在、M-pesaの総取引額はGDPの約50%になると言われています。
日本でも、PayPayのような電子送金・支払ができるシステムが普及しはじめたのはつい最近のことなので、驚く人も多いのではないでしょうか。

こうした「社会課題の解決×ビジネス」という形のスタートアップがアフリカに続々と進出していると記事では述べられていました。しかし、スタートアップの急成長に対し、アフリカ経済はさほど伸びていないことも指摘されています。多くの国で、未だ電力供給や物流が不安定なため、中間層の働き口となる製造業が停滞していることが理由です。ナイジェリアに工場をもつ「味の素」の大串紀之現地法人社長は、「政府主導で変えていかなければアフリカの経済はいつまでも取り残されたまま」と警鐘を鳴らしていました。

ITやアプリなど、外からど最先端の技術がアフリカに入っていくことは、彼らの人々の生活をより便利なものにしているかもしれません。しかし、それが本当に生活を豊かにしているかどうかや、健康で長生きできるようになっているかどうかは、全くの別物ではないかと感じています。日本をはじめ先進国の企業によって現地で行われるビジネスが、経営者側の自己満足で終わってしまわないよう、地に足をついた活動を行う必要性を感じました。
これは、国際機関やNGOなどによる途上国への支援にも同じことがいえると思います。
私は春からケニアのエスンバ村でボランティアをしますが、現地で行う活動が自己満足で終わらないよう、心に留めておきたいと思います。

(おすぎ)

posted by resultsjp at 17:34| Comment(1) | 情報
この記事へのコメント
日本と違い、そもそも銀行口座が持てない人が沢山います
Posted by 崖から落ちたボニョ at 2023年03月23日 19:57
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