2023年06月01日

新たな食料安全保障体制を考える:スマート農業と昆虫食

5月25日付の日本経済新聞、高校生向け特別版の記事に日本の食料安全保障問題についての内容が記載されていました。

日本は、食の西洋化が進み、自給率の低い油脂類や畜産類の消費が拡大したことで、食料自給率が減少しています。三菱総合研究所の平野勝也氏は国内の農業生産量を高める必要を指摘しており、そのための一つの策として、スマート農業が紹介されています。


スマート農業とは、生産現場で起こる様々な課題をロボットやAIなどのICT技術を活用して解決するというものです。一定の効率化が図れる技術ではありますが、同研究所の竹川翼氏は、導入コストや活用できるほどの農地規模があるかどうかなど考慮すべき点が多くあると指摘しています。その上で、今後、企業化する経営体が増え、農地を大規模化する方向へ動いていけばスマート農業が活かされるのではと述べています。


工業的な農業は大量生産するにはもってこいの概念であると思いますが、それが食のあるべき姿を捻じ曲げないかを懸念しています。バイオ系の技術で品質改良を重ね、旬に関係なくあらゆる食材が手に入る時代になりました。人々にとって便利にはなりましたが、食料安全保障の面では、食に偏りがでるなど脆弱な状況が作られているのも事実です。

効率化を目指そうとすると、地方の広い土地を生かして農業を進めることになりそうですが、地方から都市部に運ぶための輸送費や輸送によって出る温室効果ガスなど、問題も多々あります。

大規模な農地を開発し、スマート農業を推し進めるよりも、地産地消の体制が整えられるように国が補助金を出すなどの政策を打ち出すべきではないかと思います。


また同紙面には、同じ食料安全保障問題に関して、昆虫食の可能性についても論じられています。人口増加が問題視される中、メタンガスの発生を抑制したり、家畜飼料として活用することで魚の餌の高騰問題も解決へ導いたり、宇宙環境での食料源に活用出来たりと様々な可能性を秘めた昆虫食がよく話題に上がります。昆虫食に関する内閣府のプロジェクトリーダー由良敬教授は昆虫食へ多大な期待を寄せています。


私も以前、昆虫食をオフィスで食す機会がありました。コオロギはそのまま体が残っているものを食べましたが、味はよく言われているようにエビのような甲殻類の味がしました。個人的には、味に関しては可もなく不可もなくといった感じで、もし将来的に食べなければ生存できない状況に追い込まれれば食べられるなと思っていました。


昆虫食実食の模様はこちら:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190248786.html


私たちが購入した昆虫食のセットは日本で作られ、食用のために特別作られたものだったため、とても価格が高かった印象を持ちました。わざわざ昆虫を食べるのにそこまでお金はかけたくないというのが正直な感想でしたが、これから開発が進めば価格も抑えられてくるのではないでしょうか。

ただ、私は虫の体を敢えて残して製造されたものを食べましたが、これはわざわざ残す必要は全くないかと思います。人間は自身が食べやすいように様々工夫して食を彩ってきました。昆虫食も今後食べる必要に皆が迫られるかもしれませんが、皆が受け入れやすいように、より一層工夫をしてもらいたいです。

新たな食料安全保障体制が議論されていますが、古くから続く地産地消、旬産旬消の概念も大事にしていきたいです。


Watagashi

posted by resultsjp at 18:04| Comment(1) | 情報
この記事へのコメント
そもそも干ばつ続きで、食べるものがなくて困っているアフリカなんかではうまく利用できると有難いです
Posted by 崖から落ちたボニョ at 2023年06月01日 18:28
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]