19日付の朝日新聞夕刊に染色家の柚木沙弥郎さんの個展に関する記事が掲載されていました。
柚木さんは101歳になった今も活動を続ける現役の染色家です。
1つは日本橋高島屋で開催されているもので、初期から1990年代までの作品を展示しています。柚木さんは東京帝国大学で美術史を学び、就職した岡山の大原美術館で有名な染色家芹沢_介の「型染カレンダー」を見て、芹沢に弟子入りします。こちらの展覧会では、若手時代に親交を深めた陶芸家や工芸家の作品も展示しているそうです。柚木さんは飾りものでなく実用できる染色を目指していたそいうですが、「実際に使うものになることは難しかったね。次の代に期待したい」と後世への期待を寄せていました。
もう1つは世田谷美術館で開かれている彫刻家、土方久功さんとの二人展です。土方さんと柚木さんは直接の接点はないのですが、暮らしへの温かな視線や純度の高い素朴な表現方法など作風に共通するところがあるようです。こちらに展示されているのは1980年代以降の作品で、絵本や指人形、家族に送ったクリスマスカードなども展示され、制作の原動力が垣間見えるものになっています。
ちょうど18日の天声人語に絵手紙作家の故小池邦夫さんの話が掲載されていましたが、柚木さんも「つくることと、生きること」をずっと続けてやってきたそうです。そんな柚木さんの制作の原動力は「ワクワクしている人が増えればいい」。柚木さん自身が、つくることにワクワクしながら向き合っていることが長く続けられているコツなのかなと思いました。
故小池邦夫さんに関するブログはこちらを参照:
http://resultsjp.sblo.jp/article/190565512.html
世界を見れば、紛争、気候変動、貧困など問題がつきませんが、柚木さんのお話から、その中から少しでもワクワクを探して、前向きに日々の仕事に取り組んでいくことが大切なのだと改めて教えていただきました。
(ぽ)