今年の冬は大雪だと騒がれていたわりには、大寒に入っても雪は少なく暖冬です。
年が明けてやがて一ヶ月も終わろうとしています。
世の中ではインフルエンザが猛威を奮って、私も大変な思いをしました。
やっと体調も少しずつ戻り、久しぶりに山里へと足を踏み入れ在宅者を一軒ずつ訪問。
「けいたんの贈り物」と題して皆さんには小袋に詰めたお菓子をおみやげに、訪問しました。
雪は少ないとはいえその集落に行くまでの道は凸凹であちらこちらにがけ崩れの後があり、途中で引き返そうかと思案しながらも「この先の集落にも人は住んでいるんだ・・・」と、やっとの思いで辿り着きました。
地震前だと30軒程の集落ですが現在、在宅で生活されているのは半分以下と聞きました。
人が生活しているかいないかは家の前の除雪の状況で分かります。
そんな中に私はある高齢の女性にお会いすることが出来ました。年齢は96才・・・なんと一人暮らし。腰は90度に曲がり、その方とお話する時にはこちらが、しゃがまないと目を合わせて話が出来ません。耳も遠く・・・山里に大きな声で話掛けます。その方の玄関先にはお米の山。もち米です。このお米を冷たい水に浸す作業をされていました。
「明日、かき餅をつくるんや!」と言うではありませんか・・・私は驚きました。かき餅づくりは大寒のこの時期に毎年、行われている恒例行事だそうです。この高齢女性の中では地震後のわだかまりも不自由さも感じることなく、能登の恒例行事を普通に淡々と作業されているのでした。
彼女に労いのことばを掛けると「今は機械(餅つき機)がついてくれるから楽や!」と言われました。
また、傾聴する中でこの女性の娘さんが昨年の10月にコロナで亡くなられた。と知りました。何でこんな年寄りが生きとって娘が・・・と涙されました。毎年、かき餅を作り県外に嫁いだ娘さんに送るのを楽しみにしていたそうです。私はただ、うなづき話をじっと聞いてあげました。
これからもこのかき餅作りが継続されることを祈りながら、その場を後にしました。
(けいたん)