Intergovernmental Negotiating Committee on the United Nations Framework Convention on International Tax Cooperation
これまで報告してきた国際租税協力枠組み条約ですが、昨年8月に第1回と第2回交渉、11月に第3回交渉を行い、今年の2月2日より第4回交渉を行っています。この4回目を前に、新たな条約案文と各ワークストリームの背景文書が発表されました(注1)。
さらにアフリカ・グループからザンビアまで各国のこれまでのコメントをまとめた包括的なデータも公表されています(注2)。今回の共同リーダーによる条約案文については、こうした各国のコメントを踏まえたものになっているはずですが、まだまだ骨組みを提示しただけであり、内容を詰めていくのはこれからだと思われます。
私たちが検討すべき視点は、「持続可能な開発」の視点です。つまり、包括的かつ効果的な国際租税協力を促進・強化していくためにはSDGs(持続可能な開発目標)実現という視点が欠かせません。実際、2024年11月国連総会で承認された議長草案(8月に委員会で採択)では、枠組み条約の目的を「持続可能な開発のため…包摂的、公正、透明、効率的、公平かつ効果的な国際租税制度を確立する」と謳っています。
以下、枠組み条約案(ワークストリーム I)を仮訳として紹介します。なお、文中の[ToRより]というのは付託事項草案のことで、上記総会で承認された議長草案がそれにあたります(注2)。また、グローバル税制と国際租税協力枠組み条約に関しての経緯(歴史的な経過を含む)については、金子文夫氏のパワポ資料をお読みください(注4)。
A/AC.298/CRP.26 (2026年1月22日)
共同リーダーによる枠組み条約案テンプレート
第1条 目的 [ToRより]
第2条 原則 [ToRより]
第3条 定義 [近日公開]
第4条 持続可能な開発
締約国は、それぞれの異なる能力を考慮し、経済、社会、環境の3つの側面における持続可能な開発の達成に、均衡のとれた統合的な方法で貢献する国際租税協力アプローチを追求することに合意する。
第5条 課税権の公平な配分
締約国は、価値が創造され、市場が所在し、収益が創出され、または経済活動が行われるすべての法域が、当該活動から生じる所得の一部に課税する権利を有することに合意し、本条に抵触する既存の租税協定の再交渉を含め、すべての法域における課税権の公平な配分を確保するために必要な措置をとるものとする。
第6条 富裕層
1. 締約国は、富裕層による租税回避及び脱税を発見し、抑止し、及び防止するための措置を策定し、実施する。
2. 締約国は、富裕層が租税を回避し、又は脱税するために用いる構造及び手法に関する情報を共有する。
3. 締約国は、富裕層に対する効果的な課税を確保するための協調的なアプローチを検討する。
第7条 租税に関連する不正な資金の流れ、租税回避及び脱税
締約国は、租税に関連する不正な資金の流れに対抗するための措置を策定し、実施する。これには、租税に関連する不正な資金の流れを発見し、及び防止するための効果的な手段を含み、相互行政支援、情報交換、その他合意された国際協力の形態を通じて執行され、租税に関連する不正な資金の流れから生じる所得及び利益に対する効果的な課税を確保する。
以下、「第8条 有害な税制」から「第28条 正文」までは、http://isl-forum.jp/archives/4605 をご覧ください。
(注1)新たな条約案と各ワークストリームの背景文書
https://financing.desa.un.org/inc/fourthsession
・ワークストリーム I - 枠組み条約 (共同リーダーによる枠組み条約テンプレート案)
・ワークストリーム II - サービスに対する課税(共同リーダーによるオプションペーパー草案)
・背景ノート - グロスベース課税とネットベース課税:効率性と公平性の考慮
・ワークストリームIII - 紛争の予防と解決 (共同リーダーのコンセプトノート )
(注2)各国からのコメントの包括的データ
https://airtable.com/appElNW04vjl9tGzS/shr56dXXWqbtwIEcw/tblNYwyYLrXUrwpUm
(注3)付託された事項に関する議長草案(仮訳)
http://isl-forum.jp/wp-content/uploads/2024/11/chairmans-draft.pdf
(注4)グローバル税制と国際租税協力枠組み条約に関しての経緯
