2023年06月01日

原爆の残酷さ:小説「五十鈴川の鴨」から

5月27日付日本経済新聞の「文学周遊」のコーナーに、竹西寛子著の小説「五十鈴川の鴨」のあらすじが記載されていますが、本作を通して、原爆の悲惨さを感じることができます。


本作は、主人公が建築業界のセミナーで同業界で勤めていた岸部に出会い、2人は意気投合します。ただ、主人公は家でもてなしたいと誘うが、岸部は頑なに断り続けていました。会わなくなってしばらくすると、岸部と結婚しようとしていた香田から、岸部の訃報と家族全員が原爆で亡くなり、彼自身原因不明の症状で治療を続けていたことが明かされます。彼からの託は、主人公とセミナー帰りに周辺を散策した日は良い日だった、ありがとうとの言葉でした。主人公は節々で彼の家族への想いや戦争への悲しみなどを思い起こします。


原爆は熱線や爆風のように一瞬にして物体を破壊する力を備えていますが、放射能のように生物や環境に目に見えずとも深刻な影響を与える力もあります。原爆の影響は被ばくした方の子孫にまで影響をもたらします。目に見えない不安を募らせていくのです。


つい先日、広島でG7サミットがあった際、その成果をどう捉えるかとのブログを書きました。


戦争によって被ばくした地域、広島へG7各国の首脳が集結すること自体が、私は非常に意義深いものと思っていました。

ただ、ふたを開けてみると、「被ばく地で行った意味がない」「サミットは大変な失敗だった」との厳しい声、否定的なコメントも多く見受けられました。わざわざ広島まで来てもらったのに、核兵器を全否定するどころか、核抑止論を正当化する流れがあったことに起因しています。


G7サミットを巡る賛否の記事はこちら:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190363146.html


原爆の悲惨さは実際に被ばくされた方やその方から直接話を聞く方がよくわかるものだと思いますし、当時の映像や被ばく体験をもとにした作品からも感じ取ることができます。

私が言いたいのは、原爆はいかなる場合であっても正当化されることがあってはならないということです。それを正当化しようとしている非人道的な安全保障体制の考えには常に怒りをもって対抗していきたいと思います。

必ず人類はこの課題を乗り越えられると信じ、希望をもって、核兵器の問題に注目していきたいです。


Watagashi

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夢を追いかけるためには:研究者目指す若者の例から

5月28日付の読売新聞「人生案内」に、研究職を志す大学院生の経済問題に関する相談が記載されていました。

相談は大学院生の20代男性が、お金に厳しい父親から博士過程進学後は全て自己負担でまかなうよう言われるなど、経済的自立を迫られることで、研究にも手がつかず、夢を諦めなくてはならない状況に生きる希望が見えないというものでした。


大学教授の山田昌弘氏は、一生を捧げたいと思う分野に出会えた喜びを理解した上で、今まで親が何不自由なく教育を受けさせてくれたことに感謝しなさいと述べられました。ただ、本気で追いかけたい夢ならば、実力を示して外部から返済不要の奨学金を得られるくらいに認められるよう努力しなさいと答えていました。私にとってはいささか厳しい答えにも感じました。


私も夢がありますが、それには予備校に通う必要があり多額の資金が必要です。自分の進みたい道に行くには、結局お金じゃないかと思っていた時期もありました。しかし、それは甘えた考えであって、お金がなくても実力で自身の理想を目指して努力し、結果をつかみ取った方々はたくさんいらっしゃいます。大学の先輩で夢を勝ち取った方から話を聞くと、皆さんが信じられないほどに努力に努力を重ねられており、結局は自分が、その目指したい将来に向かってどれほど本気になれるかにつきるのだと感じています。


日本リザルツではアフリカに行きたいとの夢を持った先輩が、白須理事長などのサポートのもとクラウドファンディングでお金を貯め、ケニアに向かわれました。私も将来の夢の職業に向けて、自分で自分の道を切り開くよう努力を続けてまいりたいと思います。


Watagashi

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新たな食料安全保障体制を考える:スマート農業と昆虫食

5月25日付の日本経済新聞、高校生向け特別版の記事に日本の食料安全保障問題についての内容が記載されていました。

日本は、食の西洋化が進み、自給率の低い油脂類や畜産類の消費が拡大したことで、食料自給率が減少しています。三菱総合研究所の平野勝也氏は国内の農業生産量を高める必要を指摘しており、そのための一つの策として、スマート農業が紹介されています。


スマート農業とは、生産現場で起こる様々な課題をロボットやAIなどのICT技術を活用して解決するというものです。一定の効率化が図れる技術ではありますが、同研究所の竹川翼氏は、導入コストや活用できるほどの農地規模があるかどうかなど考慮すべき点が多くあると指摘しています。その上で、今後、企業化する経営体が増え、農地を大規模化する方向へ動いていけばスマート農業が活かされるのではと述べています。


工業的な農業は大量生産するにはもってこいの概念であると思いますが、それが食のあるべき姿を捻じ曲げないかを懸念しています。バイオ系の技術で品質改良を重ね、旬に関係なくあらゆる食材が手に入る時代になりました。人々にとって便利にはなりましたが、食料安全保障の面では、食に偏りがでるなど脆弱な状況が作られているのも事実です。

効率化を目指そうとすると、地方の広い土地を生かして農業を進めることになりそうですが、地方から都市部に運ぶための輸送費や輸送によって出る温室効果ガスなど、問題も多々あります。

大規模な農地を開発し、スマート農業を推し進めるよりも、地産地消の体制が整えられるように国が補助金を出すなどの政策を打ち出すべきではないかと思います。


また同紙面には、同じ食料安全保障問題に関して、昆虫食の可能性についても論じられています。人口増加が問題視される中、メタンガスの発生を抑制したり、家畜飼料として活用することで魚の餌の高騰問題も解決へ導いたり、宇宙環境での食料源に活用出来たりと様々な可能性を秘めた昆虫食がよく話題に上がります。昆虫食に関する内閣府のプロジェクトリーダー由良敬教授は昆虫食へ多大な期待を寄せています。


私も以前、昆虫食をオフィスで食す機会がありました。コオロギはそのまま体が残っているものを食べましたが、味はよく言われているようにエビのような甲殻類の味がしました。個人的には、味に関しては可もなく不可もなくといった感じで、もし将来的に食べなければ生存できない状況に追い込まれれば食べられるなと思っていました。


昆虫食実食の模様はこちら:

http://resultsjp.sblo.jp/article/190248786.html


私たちが購入した昆虫食のセットは日本で作られ、食用のために特別作られたものだったため、とても価格が高かった印象を持ちました。わざわざ昆虫を食べるのにそこまでお金はかけたくないというのが正直な感想でしたが、これから開発が進めば価格も抑えられてくるのではないでしょうか。

ただ、私は虫の体を敢えて残して製造されたものを食べましたが、これはわざわざ残す必要は全くないかと思います。人間は自身が食べやすいように様々工夫して食を彩ってきました。昆虫食も今後食べる必要に皆が迫られるかもしれませんが、皆が受け入れやすいように、より一層工夫をしてもらいたいです。

新たな食料安全保障体制が議論されていますが、古くから続く地産地消、旬産旬消の概念も大事にしていきたいです。


Watagashi

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2023年05月31日

速報:高円宮妃久子さまと承子さまがパレスチナ難民キャンプを訪問

高円宮妃の久子さまと長女の承子さまが皇太子の結婚式に参列するため、ヨルダン入りされています。30日にはUNRWAが管轄するパレスチナ難民キャンプを訪問されました。

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報道はこちらを参照:

https://news.yahoo.co.jp/articles/23511c07dc8f86e32ed1e7083784b661051e994c


久子さまと長女の承子さまは難民キャンプ内を視察されたようで、保健施設では、清田保健局長が管轄されている保健プログラムについても説明を受けられました。具体的には、母子保健モバイルアプリケーション、非伝染性疾患モバイルアプリケーションなど最新の技術を駆使して、難民の皆さんの健康状態を管理していることを紹介されたようです。ここには日本の母子手帳やNCDsに関する知見も活かされています。


UNRWAのニュースレターはこちらを参照:

https://www.unrwa.org/newsroom/news-releases/celebrating-70years-partnership-and-solidarity


高円宮妃久子さまがヨルダンのパレスチナ難民キャンプを訪問されるのは、1996年に故高円宮殿下とともにバッカアキャンプを訪問されて以来で、今回が2度目となります。UNRWAのニュースレターでも「今回の訪問は、日本とUNRWAのパートナーシップ70周年に当たり、UNRWAとパレスチナ難民に対する日本の継続的なコミットメントとサポートを強調するものだ」と久子さまの訪問を歓迎されていました。


スクリーンショット (187).png

清田先生がいらっしゃるのがわかります。


日本リザルツは予てより、UNRWAの活動を応援しています。高円宮ご一家は国際協力分野に非常に造詣が深いことで知られており、久子さまはもちろん、承子さまも慈善団体に勤務されているなど率先して活動をされています。今回の訪問は、理解のあるお二方に、現場の最前線で1人ひとりの患者さんに向き合って奮闘されている清田先生の取り組みと現場の生の声を聞いていただく貴重な機会となったようで、非常に大きな一歩だと私たちも嬉しく思っています。

(ぽ)

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低成長なのに税収増?

28日付の日本経済新聞に「低成長で税収増の不思議」という面白い記事がありました。

記事はこちらを参照:

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71398610Y3A520C2MM8000/


通常、経済が成長すると個人や団体が得られるお金が増えるので、税収が増えると考えますが、最近はそれが崩れてきているようです。コロナ以降の経済回復途中な上、インフレが追い打ちをかけていても、2022年度の税収は70兆円を超すペースです。

なぜこうしたことが起こるのでしょうか。変動が起きたのはコロナ禍の3年間のようです。

例えばマイナス成長にも関わらず、2020年度の税収は60兆円強と過去最大でした。

ここにはいくつか理由があるようです。まず法人税の増加です。政府は法人税を8兆円まで落ち込むと見積もっていましたが、実際は11.2兆円と昨年度比から増えました。飲食や宿泊などは落ち込みましたが、ゲームなどの巣ごもり消費は売上が好調だったので、製造業においては業績が好調だったのです。法人税は赤字だと納める必要がんなく、コロナで打撃を受けた中小企業は4割程度しか法人税を払っていなかったようで、大企業の利益を合わせると、過去を上回る形となったようです。

次に、フリーランスや副業の増加も原因の1つとしています。所得税の中身を見ると、配当による課税が11年前と比べ、3倍以上になったそうです。

最後が消費税率の上昇です。201910月に8%から10%に上がりました。さらに、22年度以降は円安による輸入品の高騰やインフレなどの影響も出てきて、自ずと税収も増えたのです。

果たしてこれはいいことなのでしょうか。

記事では税収の増加=国家予算や国債の償還に利用できる余裕が増えるので、国の財政運営的にはプラスとしていますが、コロナ禍では巨額の補正予算を編成し、国債の発行額が積みあがったことも指摘し、「バランスといかに取るかが重要」としています。


尚、同じ日の新聞の「春秋」に東京帝大の民法の大家、末弘厳太郎教授の随筆の抜粋が載っていました。

―――

「役人学三則」より:役人たるもの@広く浅い理解A法規を盾にした形式的理屈B縄張り根性―が要る。

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春秋では「要は皮肉なのだが、1世紀近くを経てもなお洞察は色あせない」と突っ込んでいましたが、今回の税収の話にも当てはまる部分があるのではと思いました。見かけ上税収が増えていて政府としてはそれでよくても、実際の国民の皆さんの生活が良くなっているか?というとそうは言えません。

政府は昨年以降も防衛費の増額やこども政策への予算倍増など、さまざまな方針を打ち出しています。本当に国民の皆さんのためになる政策を着実に皆さんに届けてほしいと願うとともに、財源については未来を担う世代にツケが回らないような方法を取っていただきたいと思うばかりです。


春秋はこちらを参照:

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2636P0W3A520C2000000/

(ぽ)

posted by resultsjp at 17:20| Comment(1) | 情報