2016年04月18日

薬が効かない結核!?多剤耐性(MDR)結核について

皆さん、こんにちは。
4月16日、医療現場で抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌が増えている問題を話し合うアジア・太平洋地域の閣僚級会談が、東京で初めて開かれました。
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【写真】時事ドットコムニュース

そんなわけで、今日は結核の薬剤耐性菌問題、「多剤耐性(MDR)結核」にスポットを当てようと思います。
(結核についてのおさらいはコチラから)


●多剤耐性結核とは?

結核の治療薬に対して、結核菌に抵抗性がついてしまうことです。
こうなると薬が効かなくなってしまい、治療が困難になります。

現在の結核の標準的な治療は、抗結核薬のうちの2〜4剤を使った6ヶ月間の多剤併用療法です。

標準療法に使用される抗結核薬のうち、最重要な『イソニアジド』と『リファンピシン』という、2つの薬剤に同時に耐性を持つ結核菌を「多剤耐性結核菌」と言います。



●多剤耐性結核に罹るとどうなるのか…

多剤耐性結核に罹ると、化学療法による治癒が非常に困難になります。
これを治療するには、フルオロキノロンや注射薬などを含めて5種類以上の薬が必要となります。
日本の結核全体の治癒率は80%以上ですが、多剤耐性結核では外科療法した例を含めても治癒率は50%程度になってしまいます。
治療期間も通常の結核の6ヶ月間に対し、多剤耐性結核は【約2年間】を要するそうです。



●世界中で深刻な問題に…

世界的に見て、最近この多剤耐性結核が増加しており、結核の増加を考える上でとても深刻な問題になっています。
もちろん、日本でも決して油断はできません(引用:大塚製薬HPより)。
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世界中で多剤耐性結核の患者は、毎年45万人が発生し、17万人が死亡しています。



●多剤耐性結核が生まれる背景

多剤耐性結核が生まれる背景には、次のようなものがあります。

・十分な治療を受けられないケース
・薬剤の服用が不規則であったり、途中で中断してしまうケース

不適切な治療により、体内で生き残った菌が遺伝子変異を起こして耐性化するケースがほとんどです。


●もっと恐ろしい事態も…

以上の事態に加えて、フルオロキノロンと注射二次薬(カプレオマイシン、アミカシン、カナマイシン)の少なくとも一つに耐性を持つ結核菌を、超多剤耐性結核菌又は広範囲薬剤耐性結核菌(XDR-TB)と言います。
こうなると、化学療法は事実上不可能で、治癒率は30%程度まで下がってしまいます。



●治療法「DOTS」について

そんな中、WHOは治療薬を確実に患者さんに服用してもらうためにDOTSという
治療システムを推進しています。

DOTSとは、

D…Direct
O…Observed
T…Treatment
S…Short-Course

の略で、日本語では「直接監視下短期化学療法」と呼ばれ、医療従事者が直接患者さんに薬を手渡し、目の前で服用を見届けるという治療方式です。

1989年にWHOの結核対策課長であった古知新博士が取りまとめ、広がりました。

日本では「感染症法」で「患者が規則的に服薬を完遂するように保健所と主治医が連携して患者を支援すること」も規定されています。

完治するまでちゃんと薬を続けるというのは、なかなか難しいことです、

皆で協力して治療していく仕組みは素晴らしいですね。


では、もっと結核の国の取り組みについて詳しく知りたい方はコチラ↓↓から。

改定版ストップ結核ジャパンアクションプラン

また有益な結核情報をお届けできるようにがんばります。

(いけのり)
posted by resultsjp at 09:47| Comment(2) | ストップ結核アクション

2016年04月13日

STOP THE 結核!!大都会、渋谷でも集団感染!最近の集団感染事例。

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皆様、こんにちは。

警視庁渋谷署で昨年末から今月にかけて、留置などを担当する署員19人が結核に集団感染していたことが11日、分かりました。
うち6人が発症し、3人が入院したそうです。

渋谷署によると、昨年12月に20代の男性署員が体調を崩し、今年1月に結核に感染していたことが判明。その後、相次いで結核感染が判明し、感染者は最終的に19人に上りました。

渋谷署では昨年2月に詐欺事件で留置中の60代の男性が体調を崩して病院に搬送され、肺結核で死亡していたそうです。

同署は因果関係や感染拡大の経緯を調査中とのことですが、渋谷署の小林仁副署長は、「結核に関しての認識が不足していた」と話しているそうです。



都会のど真ん中で起こった結核の集団感染…


結核という病気は決して他人事ではない!

ということを目の当たりにした自分です。



というわけで、今日は最近の集団感染事例を調べてみました。


●最近の集団感染事例

2016年4月
発生地域:東京都渋谷区
発生場所:留置所
感染者数:19人
発病者数:6人
死亡者数:1人(60代・男性)

2016年3月
発生地域:大阪府東大阪市
発生場所:会社寮
感染者数:33人
発病者数:5人
死亡者数:1人(50代・男性)

2016年3月
発生地域:茨城県笠間市
発生場所:病院
感染者数:11人
発病者数:5人
死亡者数:1人(80代・女性)

2016年2月
発生地域:大阪府和泉市
発生場所:消防署
感染者数:16人
発病者数:1人
死亡者数:0人

2016年2月
発生地域:宮城県仙台市
発生場所:会社
感染者数:32人
発病者数:0人
死亡者数:0人(80代・女性)

2015年11月
発生地域:岩手県
発生場所:会社
感染者数:21人
発病者数:4人
死亡者数:0人

2015年10月
発生地域:福岡県久留米市
発生場所:病院
感染者数:10人
発病者数:3人
死亡者数:0人

2015年8月
発生地域:福島県
発生場所:特別養護老人ホーム
感染者数:8人
発病者数:3人
死亡者数:0人




感染した方の年齢は、20代〜80代までと様々です。

発生場所も普通の会社から病院まで…普段、普通に行くような場所です。

…しつこいようですが、結核は昔の病気ではなく、今でも誰もが感染する可能性のある油断できない病気であるということがわかります。


●こんな症状があったら注意!


・咳や痰が2週間以上止まらない
・痰に血液が混じっている
・微熱が2週間以上続く
・胸に痛みがある
・食欲が落ちている、体重が減少している
・体がだるい、息切れがある




等の症状がある場合には、まずは病院で診察を!

周辺に結核患者がいたり、過去に結核にかかったことがある方も注意が必要です。



日本リザルツでは、
「ストップ結核キャンペーン:ACTION (アクション)プロジェクト」に参加しております。

結核の制圧に向け、今後も広く活動を続けていきたいと思います。

こちらの記事もよかったら。
「結核の恐怖…結核についてどのくらい知ってますか?」

(いけのり)
posted by resultsjp at 17:25| Comment(2) | ストップ結核アクション

2016年01月22日

結核会合を開催しました

1月21日(木)、WHOでエイズ、結核、マラリアの三大感染症すべての部長を務められた古知先生を中心に、結核に関する会合を開催しました。国内外で結核の研究や診断機器の製造、薬の開発に携わる企業や団体、研究機関、関連省庁の方々が一堂に会し、多剤耐性結核に関する技術的課題、戦略的課題について話し合いました。

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WHOが推奨しているレジメン(投薬計画)に関する問題や、オールジャパンで取り組む重要性、メディア戦略など、各団体がそれぞれの立場から意見を交換しました。

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会合の後には新年会も行い、美味しいお食事とグルジアワインを皆様に召し上がっていただきました。
猟犬
posted by resultsjp at 13:38| Comment(3) | ストップ結核アクション

2015年12月02日

東大結核セミナーに参加

11月30日(月)、東京大学農学部で開催されたセミナー「結核の治療期間短縮を目指した新規抗結核薬ターゲットの同定」に参加しました。

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講師はミネソタ大学・博士研究員の港 雄介博士です。かつて日本で大流行していた結核ですが、いまも世界で毎年150万人の死者を出しおり、多くの人々を苦しめています。

今日、結核の治療法はあるものの、治療期間が半年以上と長いうえ、完治するまでしっかり治療を続けないと、結核菌が多剤耐性化する恐れもあり、そうなるとさらに治すのが困難になります。実際、発展途上国では金銭的な理由から治療を完了出来なかったために、多剤耐性結核を発症してしまうという事例も少なくはありません。

そこで、多剤耐性結核を防ぎ、副作用による負担を減らすためにも、治療期間を短くすることが大変重要です。港博士によると、そのために二つの方法があるそうです。一つは、パラアミノ安息香酸(PABA)を抑制することで、抗結核薬のパラアミノサリチル酸(PAS)を増強させ、薬の効果を高めること。もう一つは、トランスポゾンによって、結核菌の網羅的破壊株を作成し、結核菌の必須遺伝子を同定することです。

私はバリバリの文系なので、残念ながら詳しいことはほとんど理解できませんでしたが、この研究が成功すれば多くの人々が救われる、ということだけは確かです。
日本リザルツは、結核のない世界を目指して、これからも活動していきます。
猟犬
posted by resultsjp at 19:05| Comment(1) | ストップ結核アクション

2015年08月07日

ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)の来年度予算要望

来年度予算の各省の概算要求準備が進められておりますが、8月4日(水)、ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)では結核関連の予算要望を厚生労働省、外務省に提出致しました(日本リザルツ代表の白須が代表理事のひとりを務めており、当団体はSTBJの会員となっています)。厚生労働省、外務省(国際保健政策室)の皆様には多忙な業務の中、時間を割いて真摯に受け取っていただくことができました。

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また、8月2日(月)には、ストップ結核パートナーシップ推進議連・会長の武見敬三参議院議員も訪問させていただき、森亨STBJ代表理事より武見会長に同要望へのご支援のお願いと意見交換をさせていただきました。武見会長より議員連盟として様々な機会を通じて支援していきたいとのご理解を得ることができました(高木)。

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今年度の要望の内容は以下のとおりです。

【 厚生労働省への要望概要 】
・WHOの任意拠出金:(昨年の8.4億円を上回る概算要求額)
・結核研究所への補助予算(前年度を下回らない額)
・日本医療研究開発機構等を通じた結核の研究開発の総合的推進
・「結核対策国際コンソーシアム」の創設と「多剤耐性結核研究・治験センター」の設置支援
・日本初の新規抗結核薬、新規結核ワクチン、新診断技術の官民一体による国際展開
・基礎研究開発の充実を図るための予算確保
・結核対策のための人材育成と技術支援強化

【外務省への要望概要】
・グローバル・ファンドへの予算確保(2014-2016のプレッジ額8億ドルのうち残り3.2億ドルの拠出に向けた予算措置)
・ODAにおける結核対策支援の強化(特にアジア地域)
・アジア地域における多剤耐性結核対策における日本の民間企業の技術活用
・ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の推進と結核対策の連携
・結核国際研修への予算確保
・日本発の新規抗結核薬、新規結核ワクチン、新診断技術やデジタルX線診断技術等を官民一体で国際展開するためのODAの活用

posted by resultsjp at 11:12| Comment(1) | ストップ結核アクション