この日は朝から移転価格税制の問題について協議が行われました。移転価格税制とは特に多国籍企業の複数の外国法人が商業取引をする際に、一方の国から不当に安いないしは高い価格で商品を購入する取引を取り締まる税制を言います。価格操作を行うことで租税回避を行っている事例が多く、最近、発展途上国の税務当局が習熟し、指摘事例が目立つようになりました。
但し問題が多いのも事実です。そもそも価格の適正な判定が難しく、判定後に当該国間の課税当局が調整を行う途上でトラブルになることも多いようです。
OECD事務局からの説明
移転価格問題には各国とも関心が高い様子です。
今後、どうしていくべきか、実態も含め各国から問題提起や事例の紹介がありました。
南アフリカからはたばこ産業の脱税の事例についての紹介が。
その後はマネーロンダリング(資金洗浄)対策について。
犯罪資金や脱税の取り締まりには銀行へもっと情報を開示させるべきだと。
聞き入る各国参加者。
更に資源産業への課税取組強化について。
個社名こそ出ませんでしたが、狙っているところはここなのかあというくらい具体的です。
最後は開発援助との連携性についてです。OECDは国連のメンバーと組んで課税体制の強化によって開発分野への貢献を行うことを目的としてグローバルパートナーシップという会議体を設立しました。
このパートナーシップ会合が来年中旬、メキシコで行われるそうです。
メキシコ代表から歓迎のスピーチ。
9月の国連総会を経てポストMDGs問題も様々な国際機関で大きなトレンドになっていることを感じます。
質問や意見はと議長が向けたところから、勢いよく札を立て、
「ここ韓国では航空券連帯税が導入されています。これは画期的なことです。現在、国連ハイパネルメンバーのポストMDGs報告において税源浸食はサブ目標として採り上げられていますが、まだ弱いと思います。このタスクフォースで進めている開発への国内資金動員の強化を、世界で進められている開発資金創出のメカニズムとよく関連付けて進めた方が良いのでは」
と訴えましたが、反応はこれといってなく。。
あっさりと議長声明に移行し、そのまま韓国のOECD代表のクロージングの言葉へと。
議長も夜のフライトに乗りたいようで、慌ただしく終了しました。
うーん、少し残念でしたが、それなら日本でいろいろ動いてみようと決意を新たにしました。
関係すると思われる方にお声掛けしてみます。
税務を巡る国際情勢を把握できた上に課題も抽出できたという点で実りある会議でした。
会場だったノボテル・アンバッサドー・ホテル。
奢侈ではないですが、とてもセンスの良いところでした。