2013年11月03日

第四回OECD「税と開発」タスクフォース会議その2

会議2日目の報告です。
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この日は朝から移転価格税制の問題について協議が行われました。移転価格税制とは特に多国籍企業の複数の外国法人が商業取引をする際に、一方の国から不当に安いないしは高い価格で商品を購入する取引を取り締まる税制を言います。価格操作を行うことで租税回避を行っている事例が多く、最近、発展途上国の税務当局が習熟し、指摘事例が目立つようになりました。

但し問題が多いのも事実です。そもそも価格の適正な判定が難しく、判定後に当該国間の課税当局が調整を行う途上でトラブルになることも多いようです。

OECD事務局からの説明
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移転価格問題には各国とも関心が高い様子です。
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今後、どうしていくべきか、実態も含め各国から問題提起や事例の紹介がありました。
南アフリカからはたばこ産業の脱税の事例についての紹介が。
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その後はマネーロンダリング(資金洗浄)対策について。
犯罪資金や脱税の取り締まりには銀行へもっと情報を開示させるべきだと。
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聞き入る各国参加者。
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更に資源産業への課税取組強化について。
個社名こそ出ませんでしたが、狙っているところはここなのかあというくらい具体的です。

最後は開発援助との連携性についてです。OECDは国連のメンバーと組んで課税体制の強化によって開発分野への貢献を行うことを目的としてグローバルパートナーシップという会議体を設立しました。
このパートナーシップ会合が来年中旬、メキシコで行われるそうです。
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メキシコ代表から歓迎のスピーチ。
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9月の国連総会を経てポストMDGs問題も様々な国際機関で大きなトレンドになっていることを感じます。
質問や意見はと議長が向けたところから、勢いよく札を立て、

「ここ韓国では航空券連帯税が導入されています。これは画期的なことです。現在、国連ハイパネルメンバーのポストMDGs報告において税源浸食はサブ目標として採り上げられていますが、まだ弱いと思います。このタスクフォースで進めている開発への国内資金動員の強化を、世界で進められている開発資金創出のメカニズムとよく関連付けて進めた方が良いのでは」

と訴えましたが、反応はこれといってなく。。
あっさりと議長声明に移行し、そのまま韓国のOECD代表のクロージングの言葉へと。
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議長も夜のフライトに乗りたいようで、慌ただしく終了しました。
うーん、少し残念でしたが、それなら日本でいろいろ動いてみようと決意を新たにしました。
関係すると思われる方にお声掛けしてみます。
税務を巡る国際情勢を把握できた上に課題も抽出できたという点で実りある会議でした。

会場だったノボテル・アンバッサドー・ホテル。
奢侈ではないですが、とてもセンスの良いところでした。
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2013年10月30日

第四回OECD「税と開発」タスクフォース会議

リザルツスタッフは今朝、韓国ソウル市に到着してそのまま会議に参加しています。
本日より二日間、OECDが主催する第四回「税と開発」タスクフォースの会議に韓国のホテルで開催されているのです。日本リザルツはNGO代表の一つとしてOECDタスクフォースメンバーに参加しています。

昨年12月のパリ本部の会議では同タスクフォースでは新しいプロジェクト「国境無き税務監査人」を立ち上げるための話し合いが続きましたが、今回は、本プロジェクトの事務局立ち上げと来年からの本格的なパイロット計画の施行等について話し合われます。
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それにしても今回のホスト国の韓国の力を入れようは大変なものです。空港やホテルには必ずスタッフが出迎え、会議の会場も実に立派なものです
聞けばOECD韓国オフィス主催と言いながら、実は韓国政府が全面的にバックアップしているそうです。韓国政府は国際プレゼンスを上げるための会議は直接関与して予算面やロジ面も強力にバックアップしています。正直、日本より確りしているかもと思ってしまいました。
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さて会議の最初の議題は今年7月のG20でも採り上げられた、OECDが進めている「税源浸食と利益移転(BEPS)です。これはOECDが提唱している新しい国際課税のルールづくりで、G20 でも大きな話題となり、この勢いでその前から始まっている国境無き税務監査人プロジェクトも全体的に勢いづいているようです。
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その後、国境無き税務監査人の今後の進め方についてOECD事務局スタッフより説明がありました。
昨年の12月、パリでこれまでの試行結果の発表があり、本年6月に事務局が報告書を纏め発表しました。
その後、7月にG20で上記のBEPS、9月にポストMDGsが世界的な話題となったので、このプロジェクトをそれらの出来事と関連付けて大きく仕立てていく様子がよく伝わってきます。
なんか大仰になってきたなあ。そもそもJICAや他国の援助機関は付いてきているのかとふと思い、質問してみました。

質問する時は札を縦に立てます。
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事務局からの答えは今一つ歯切れが悪かったのですが、途上国の税務監査人のトレーニングプログラム全般に対して、明らかにこのOECD主導のプロジェクトで決めた方法を浸透させていく狙いのようです。

纏めに入る議長。
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予定時間を少しオーバーして今日は終わりました。
明日も確り参加して今後の動向を探ります。
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posted by resultsjp at 22:47| Comment(1) | OECDタスクフォース

2012年12月17日

パリにてOECD会議へ参加しました(その2)

12月13日、会議2日目です。冬のパリは午前8時でもまだまだ暗く、とても寒いです。

午前8時のOECD玄関と美しいシャトー。
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初日に発表出来なかった各国のケーススタディを聞いたところで、日本リザルツは開発サイドとして参加しているのでこのプロジェクトが如何に開発に貢献出来るかという観点で意見を述べました。他の参加者からも質問や意見が相次ぎましたが全体としては税務の専門家が多く出席していたので、専門分野に関る意見が多かったように見受けられました。

議長から昨日の簡単なブリーフィング。その後、会議再開です。

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発言をする時はこのようにプレートを縦に置きます。

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休憩時間中、大分打ち解けた雰囲気も。

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座っているところを撮って戴きました。

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質疑応答が終わると会議出席者を3つのワーキンググループに分けて各テーマ別に午後3時頃までに討議内容を纏めるという作業を行いました。

ワーキンググループ風景、写真が撮りにくい雰囲気で。。

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私が参加したワーキンググループは先進国の税務専門家を途上国へ派遣する上での促進策というものでしたが、税務専門家が集まると機密保持契約の締結方法、共同監査を行う上での被監査者との契約上の問題点等実にテクニカルな議論に終始していました。
日本リザルツは開発サイドに位置するのでもっと世界を取り巻く開発政策やトレンドからこの議論を位置付けるべきと主張しましたが、さてこの主張は皆さんに届いたのでしょうか。

そして各グループから会議にてフィードバックを行い、事務局が纏めて閉会となりました。日本政府代表部の方々はとても忙しく会議をいくつも掛け持ちしており、全部を通じて出席出来なかったので、終了後、簡単なフィードバックをさせて戴いた後、引き上げました。

会議全体の纏めに入る事務局、1月下旬頃会議の結果を上層部に報告すると。

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OECDの会議場は同じフロアーだけでも16室有り、ほぼ全て埋まっている状況でした。
内容は貿易投資、税務、ITや旅行等の産業振興、開発等実に多くのテーマをカバーしています。そういう点で、OECDは世界の重要な政策を提言する機関と言って良いと思います。実際に個別のプロジェクトを執行する開発機関とは随分趣きが異なります。そのような中で背景の異なる各国参加者とともに会議に参加出来たことは良い機会となりました。今後も貧困削減の為に提言活動を行う組織として機会が与えられる限り積極的に参加していきたいと思います。

休憩時間中、会議参加者でひしめいていた会議場フロアーもすっかり静かな様子に。
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2012年12月16日

パリにてOECD会議へ出席しました(その1)

12月12日、午前中に国際連帯税関係者と面談しました。今日はにOxfam Franceを訪問しました。

Oxfam Franceのオフィスです。なかなか素敵な建物です。

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国際連帯税を担当しているAlexsandre NAULOT氏はフランスにおける金融取引税の国際開発援助分野への本格的適用に目下、腐心しているそうです。

国際連帯税において確かにフランスは先駆的な役割を担っていますが、現行の金融取引税では開発に対する貢献はまだまだ小規模かつまたメインスコープとなっているデリバティブ取引等には網がかかってなく、今後の大きな課題はそこにあるとの説明でした(それでも十分進んでいるような気がしましたが、、)。
一方、日本の連帯税導入への動きにもとても興味があるらしく、TICAD Vで国際連帯税関連のイベントを行うかもしれないと話すと、ぜひ行ってみたいとの意向を示していました。

Alexsandre NAULOT氏です。

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その後、今回の第一の目的であるOECD会議へ出席すべくOECDへ到着しました。

OECDの入り口です。

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横に在る通称、シャトーと呼ばれる建物。幹部の執務室やパーティ会場があるそうです。

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受付を行い、

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廊下を通り、

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エレベーターで地下の会議場へ

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会議場到着です。

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今回のテーマは途上国における税務監査システム強化に向けた税務専門家の派遣態勢のプログラムについて
です。会議場に行ったらテーブルには各国の席に交じって日本リザルツのネームプレートが確りと置かれてました。

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午後2時、議長の発生とともに会議開始。まだ水面下のプロジェクトなので詳細は控えますが、開発途上国の税務監査人を特に先進国側の専門家が育成し、協働することで被援助国の税務監査が正しく行われ、徴税収入を向上させることを目的としています。会議には税務の専門家と開発関係者等総勢70名程度が参加していました。


日本からはOECD政府代表部のメンバーが出席され、JICAから出向されている三田村達宏一等書記官を始め、財務省から出向されている廣瀬大一等書記官が参加されていました。

三田村達宏さんです。日本政府代表として会議でも発言されました。

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廣瀬大さん、会議をリードしていた同僚と。

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まずはOECDスタッフよりこれまでの経緯等のプレゼンがありました。

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さて初日の会議後、玉木林太郎OECD事務次長と偶然にも廊下でばったり会いました。玉木事務次長は財務省時代より国際金融部門で活躍され、財務官を務められた後、OECDの事務次長の要職に就かれています。慌ててご挨拶したところ気さくなご様子で事務次長室まで案内してくれました。通称シャトーと呼ばれる建物に在る事務次長室は実に瀟洒で、暫しの間、事務次長室にてOECDの役目等について貴重なお話しを伺うことが出来ました。

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また玉木次長は財務官当時に当団体事務局長の白須とは懇意にしていたので盛んに懐かしがっていました。普段は多忙を極めており、秘書や代表部の方によれば滅多に会うことは出来ないそうです。玉木事務次長、お忙しい中に貴重なお話まで頂戴し有難うございました。

その後、夜、廣瀬一等書記官に伴われてOECDオランダ政府代表部が主催するカクテルパーティに参加して参りました。

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今回の会議では税務不正を防止する活動を行っている英蘭NGOが参加しており、我々と違った視点で行っている活動等を聞ける良い機会ともなりました。

会議は明日も続きます。
posted by resultsjp at 23:41| Comment(3) | OECDタスクフォース

2011年04月20日

第2回 税と開発のインフォーマルタスクフォース会合 in パリ

パリで開催された、第2回 OECD 税と開発のインフォーマルタスクフォース会合から佐藤が帰国しました。
先日、「国家建設と援助」委員会の委員に選ばれてからの初会合。
日本のNGOがOECDの委員に任命されたのは初めてのことです。

今回の全体会合の目的は、すでに各グループでなされた準備的作業の検討や潜在的課題への優先順位づけで、
それに基づいて2011年6月開催の租税委員会・開発援助委員会に対し2011年・2012年のワークプラン作成への提言を行うもの。それがG20のアジェンダにも盛り込まれる予定です。

途上国では国内税制の整備に加え、国際化が進む中での国際課税への対応も不可避の状況。
各国の個別事情に配慮した中長期的な援助が改めて必要であるとの報告がありました。
詳細はまたリザルツレターにて。

参加者の集合写真。ど真ん中に…さすがです笑。
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posted by resultsjp at 09:47| Comment(1) | OECDタスクフォース