5月8日(金)、参議院ODA(政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する)特別委員会で茂木外務大臣の所信演説に対する質疑が行われ、石橋通宏議員(国際連帯税創設を求める議員連盟・幹事長)が質問に立ちました。
質問内容は、(1)(資金が決定的に不足している)SDGsの現状と国際連帯税、(2)JICA海外協力隊の応募者激減問題、(3)対ミャンマーODAの在り方、です。
ここでは(1)について報告しますが、(2) (3)にも関心のある方は、参議院インターネット審議中継の録画をご覧ください。石橋議員の質問は、55:40から始まります。
・中継録画はこちら⇒ https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
以下、質問と茂木外務大臣の答えにつき要旨を記しますので、お読みください。
〇石橋議員:この間SDGsの達成の取組を世界挙げて、とりわけ日本も極めて世界をリードする形で積極的に取り組んできたが厳しい状況が続いており、むしろ後退している部分が増えている。このような状況が続けば到底、2030年SDGs達成目標、未達どころか全く進捗しないままに終えるのではないかとの危機感を持っているが、まず、茂木大臣、政府として、このSDGsの現下の状況についてどの程度の危機意識をお持ちか。
●茂木大臣:強い危機意識を持っている。
〇石橋議員:その危機意識をどのように政府として対応されていくのか、なぜSDGsの進捗がこれだけ停滞しているのか。大臣、その根本原因はどこだと感じているか。
●茂木大臣:国際社会、様々な複合的な局面に直面をしており、2030年までのSDGsの達成に向けて大きな困難に直面している。こういった状況にあるからこそ、人間の安全保障の理念の下、国際社会全体でSDGs達成に向けた取組を加速していくことが重要だ。国際社会において、2030年までにSDGsを達成するという大きな方向性に揺るぎはないが、課題も大きくなっているというのも事実であるから、それだけ達成も難しくなっているという状況だ。日本、少子化や防災においても課題先進国であることは間違いなく、そういった日本の知見や経験、これを国際社会と共有することにより、国際社会のSDGsに向けた取組、主導していきたい。
〇石橋議員:「加速していくことが必要」だと言っているが、現状を見ると日本も含めて先進主要国のODA総額は激減をしている。新聞報道でも総額23%、4分の1消えうせているという報告がある。SDGsの達成のために、(途上国での)資金ギャップが拡大をしており、何と4.2兆ドルにまで広がっている。これが大臣、根本原因なのではないか。
●茂木大臣:我が国としては、令和八年度予算における政府全体のODA予算では、一般会計予算ベースで対前年度比2.7%増の約5,838億円計上している。一方、米国政府のUSAIDによる対外援助の停止や一部の欧州諸国においてODAが減少にあることは事実だ。日本も円ベースで、ドルベースに直すと、どうしても減ってしまう。他方、国連報告書だと、SDGsの達成に必要な資金は年間約7.8兆ドルとも言われている。このような膨大な資金需要を、公的資金のみで賄うということは現実的には困難だ。(これまでの)公的資金を中心としたODAに頼った在り方というのも考えていかなければならない。最近では海外直接投資がODAの2.5倍となり、民間資金フローがODAを大きく上回っている。日本も、昨年のJICA法改正を行い民間資金動員等を進めているところだ。先週までアフリカを訪問してきたが、援助につき、日本の援助というのは非常にきめ細やかでニーズに沿っていると高い評価をいただく一方で、民間資金の導入、また民間企業進出を望んでいる。考え方として、ODAと民間資金をどういう形で組み合わせていくかがこれからの課題だ。
○石橋議員:私は大臣の、その考え方が間違っているとかねてから指摘をしている。日本のODAは歴史的に途上国から評価をされてきたのは確かで、受益国の自立的な発展を丁寧に、当然道路を造るとか、そういったハードは必要だが、もう一方で、丁寧に人を育てるというソフト面での貢献を、地道なODAを日本は展開してきた。しかし、その公的な資金がどんどん減ってしまっている。民間資金は大事だが、株主、利益、それを追求せざるを得ず、それで本当に日本の歴史的に大切にされてきたODAが実現できるのかといったら、それは別物だ。なので、やはり公的な、もう一度しっかりと公的なODAの原資となる、大臣も関わってきた革新的資金調達メカニズムが必要ではないか。例えば国際連帯税につき外務省はかねてから要求していたが、もう何年も前に要求すら取り下げてしまっている。いま一度、この革新的資金調達メカニズム、ODAの原資としての公的な資金源、これを確立するために日本も積極的に役割を果たすべきではないか。例えば、航空券連帯税は既にフランスなど十か国以上で導入されてきた。しかし、日本では、今に至るまで導入されていないなかで、一方では観光旅客税は導入して、今度3,000円に増額をされるが、こういったことをむしろ地球規模課題に対してきちんと利用していくような、そういうアプローチこそ今必要ではないか。
●茂木大臣:石橋委員の意見にかなり賛同する部分もある。確かに、その日本のODA、いろんな意味で、単にものをつくるだけではなくて、ノウハウの提供であったりとか、人材の育成等で大きな役割を持ってきて、それが高く評価されている。同時に、日本の企業も、短期的利益を求めるというか、その地場において様々な貢献をしているのも事実であるのは間違いなく、経営ノウハウを伝えるとか、またそこで雇用をつくってきた。ODAの良さと、それとまた民間投資の良さを組み合わせることは極めて重要だ。もちろん、国際社会で開発資金の需要に対応していくためにメカニズムというものを不断に検討していくことは必要だ。他方、新しい税、これの導入は国民負担の増加にもなるなど慎重な検討が必要だ。その上で、開発資金ギャップを埋めるためには、政府のみならず、民間部門を含む様々な関係者との連帯であったり、新たな資金動員に向けた取組が重要で、引き続き適切な資金調達の在り方について検討していきたい。
○石橋議員:新しい税の導入は国民負担云々で難しいと、十年前から外務省はそう言うのだが、その間に、新たな出国税、国際観光旅客税は鶴の一声で導入された。政治意思だと思う、これは。地球規模課題に対して日本がそのリーディング的な役割を果たしていくという政治的な意思があるかないかが問題なのだ。であれば、既に導入された国際観光旅客税、今回、1,000円から3,000円に一人当たり増額をされるが、その一部を地球規模課題に活用するというようなアプローチが政治の意思としてあってもよい。この点、茂木大臣、外務省として関係省庁と協議して、真摯に御検討いただけないか。重ねて、民間は大事で、TICADも頑張っているが、まだまだ日本企業が出てきてくれないというのが多くのアフリカ諸国の御意見ではなかったか。一方で、ODAの原資としての公的な資金をどう持続的に確保していくのか、拡大していけるのか、まさに大臣、加速していくことが必要だと。であれば、先ほど申し上げたような新しいメカニズムの導入、確立に向けて、大臣としてのイニシアチブを是非お願いをしたい。■■
(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
