2025年11月24日

国際観光旅客税引上げ議論に際し、税収の一部を地球規模課題へ

与党の税制調査会で国際観光旅客税引上げの議論が行われるということで、主要政党の政策責任者に下記のような手紙を送りました。


衆(参)議院議員・〇〇


《国際観光旅客税の引き上げの議論に際し、当フォーラムが要望したいこと》


日頃から国民と国のために尽くしていただき感謝します。グローバル連帯税フォーラムの田中徹二と申します。よろしくお願いします。


さて、日本からの出国時1000円を徴収する国際観光旅客税につき、オーバーツーリズム対策などを目的とした引き上げの議論が始まろうとしています。私たちはこの案件に関し、以下の3点につき要望していますので、貴党の税制調査会や国会での各委員会での議論に反映させていただければたいへん幸いに存じます。


1)税収の使途の在り方を早急に点検し(とくに受益と負担の関係)、国会に報告すること

2)税収の一部を地球規模課題に使用すること

3)引き上げの場合には累進的定額税として実施すること


【国際観光旅客税の大きな問題点:受益と負担の関係】


2019年から施行された国際観光旅客税(以下、観光税と略)ですが、当初から大きな問題点を抱えていました。それは同税の目的が(観光に来る)訪日外国人のための観光基盤の拡充・強化のための財源確保にあるのですが、訪日外国人から徴収するのは分かりますが、出国日本人(正確には日本に居住する人)から徴収するのは筋違いではないか、つまり負担と受益が合わないのではないか、という問題です。


政府もこの点を改善すべく毎年公表している『国際観光旅客税の使途に関する基本方針等について』で、「受益と負担の関係から負担者の納得が得られること」を必ず謳っています。しかし、例えば2024年度の同税の使途予算につき、全体収入が440億円のうち出国日本人に資すると思われる予算は約97億円、つまり全体の約2割しか予定していませんでした(令和6312日 衆院財務金融委員会での稲富修二議員の質疑から)。「その税収の大部分は訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備やプロモーションに充てられ、日本人旅行者が享受する直接的な利益は極めて限定的である」(120日付「航空新聞社WING」)との声が上がる所以です。


飛行機.PNG


【使途についての在り方は3年後に国会に報告するはずでしたが・・・】


観光税施行にあたり上記のような懸念がありましたので、「税収の使途については、本法施行後三年を目途にその在り方について検討を加え、結果を公表するとともに国会に報告すること」という付帯決議が衆参国土交通委員会で挙がりました。ところが、政府はいまだ検討を加えておらず、6年が過ぎようとしています。そして同税の引上げとなると、とくに「受益と負担の関係について」納税者に理解を得るのは難しいのではないでしょうか。ですから、今行うべきは引き上げの議論の前に、使途についての6年余にわたる点検です。そしてそれを元に納税者の理解を得ることではないでしょうか。


【観光税による税収の一部を地球規模課題にも使用してください】


その使途に関する受益と負担ですが、今でも対応させることのできる方法があります。それは税収の一部を感染症パンデミックや気候変動対策に使用することです。私たちは新型コロナパンデミック時に、航空会社や観光業者のビジネスが壊滅状態になったことを知っています。航空機は感染症ウイルスを短期間のうちに世界に伝播させます。また、航空業界は急速にCO₂排出をさせている部門の一つです。税収が、こうした地球規模課題への対応にも使用されるなら、国際線を利用する訪日外国人も出国日本人も等しく受益することになります。


【引き上げが妥当とされた場合、累進的定額税で実施を】


また、6年余の税収使途の在り方の点検の結果、税の引上げが妥当と判断された場合、一律定額税とするのではなく、次のようにクラス(座席)別に累進的定額税として実施されたらいかがでしょうか。例えば、エコノミークラス500円、ビジネスクラス5000円、ファーストクラス10000円、プライベートジェット利用50000円というように。


以上です。もしご助言・コメント等がございましたら、たいへんお手数とは存じますが、以下までご連絡くださると助かります。では、どうぞよろしくお願い致します。


以下、省略。


(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2025年11月15日

G20南アサミット近づく:IPCCに類似した不平等に関する国際パネル設立を!

「連帯、平等、持続可能性」をテーマとして、112223G20ヨハネスブルク・サミットが開催されます。サミットに先立ち、議長国南アフリカのラマポーザ大統領の委託を受け設立された「世界的不平等に関する独立専門家特別委員会」(委員長:ジョセフ・スティグリッツ教授)が不平等に関する初の報告書を発表しました(本年4月)。


サミット開催が近づいたこともあり、あらためてメディアが独立委員会が提起した「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に類似した不平等に関する国際パネル」創設に関して世界の経済学者の賛同書簡とスティグリッツ教授のインタビューが相次いで報じられています(POLITICO*1と日本経済新聞*2)。前者について、大雑把翻訳文を送ります。


POLITICO

著名な経済学者たちは、不平等は気候変動と同規模の問題だと述べている

有力な経済学者たちは、国連の気候変動機関をモデルにした世界的な不平等に対処するための委員会の設置を提案した。


500人以上の経済学者や科学者のグループは金曜日、不平等の問題は差し迫った課題となっており、それに対処するには世界規模の協調行動が必要だと述べた。


このグループには、元米財務長官兼連邦準備制度理事会(FRB)議長ジャネット・イエレン氏、フランス人経済学者トマ・ピケティ氏、ノーベル賞受賞者ダレン・アセモグル氏らが名を連ねており、公開書簡*3の中で、現代社会に壊滅的な影響を与えると考えられるものへの対策を調整するため、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に類似した組織の創設を求めた。


「我々は彼らと同様に、富の極端な集中が非民主的な権力の集中につながり、社会への信頼を崩壊させ、政治を分断化させることを深く懸念している」と書簡は述べ、著名なアメリカ人経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏が率いるG20調査委員会の調査結果に言及している。


先週、電気自動車メーカーのテスラの株主は、同社の最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏に、史上最大となる1兆ドル相当の報酬パッケージを支払うことを決議した。ソーシャルメディアプラットフォーム「X」のオーナーでもあるマスク氏は、すでに世界一の富豪である。


IPCCは過去40年間、気候変動に関する科学的コンセンサスの収集と普及を主導し、環境政策を推進する強力な推進力として機能してきた。経済学者たちは、新たに設置された「不平等に関する国際パネル」も同様の役割を果たし、証拠を収集し、各国政府に富の格差是正に向けた行動を促すだろうと述べている。


この提案は、スティグリッツ氏が率いるG20研究委員会が作成した最近の不平等に関する報告書に初めて盛り込まれた。同氏は1990年代に世界銀行のチーフエコノミストを務めた際、不平等問題に焦点を当てていた。報告書によると、2000年から2024年の間に、人類の最も裕福な1%が新たな富の41%を蓄積した。一方、世界人口の下位50%が得た富はわずか1%だった。これは上位1%が平均130万ドルの富を得たのに対し、下位半分の人々の平均は585ドルに過ぎないことを意味する。


富裕層と貧困層の間のこうした大きな格差は顕著な政治的影響を及ぼしており、報告書では、不平等度の高い国では「より平等な国に比べて民主主義が衰退する可能性が7倍高い」と結論づけている。


スティグリッツ氏はポリティコとのインタビューで、貧富の格差の拡大は、大西洋の両岸における過去40年間の中道的な統治が失敗したことの証拠だと述べた。ドナルド・トランプ米大統領を含む西側諸国のポピュリストたちは、この機に乗じて、失敗によってかき立てられた不満を煽っている、と彼は述べた。


「大西洋の両岸の中道派政治家は、貿易の自由化、金融の自由化、民営化を行えば経済成長が促進され、トリクルダウン経済によって誰もが恩恵を受けるという新自由主義の幻想を信じ込んでいたと私は思う」とスティグリッツ氏は語った。


彼は、ニューヨークの民主社会主義者である次期市長ゾーラン・マムダニ氏の最近の勝利を称賛し、マムダニ氏は中道左派や中道右派の政治家とは対照的に、人々の日常的な懸念に取り組んでいると述べた。


先週、民主党のライバルであるアンドリュー・クオモ氏と共和党の候補者カーティス・スリアワ氏の両名を破り、勝利を収めたマムダニ氏は、急騰する都市の生活費をテーマとした、驚くほど効果的なメディアキャンペーンを展開した。彼の政策には、無料のバス運行、州営スーパーマーケット、家賃統制付きアパートの提供などが含まれていた。 


スティグリッツ氏は自身を「非常に市場寄り」と評したが、それでも左派の市長が議論の余地を作ったと考えていると述べた。


先週、民主党のライバルであるアンドリュー・クオモ氏と共和党の候補者であるカーティス・スリアワ氏を破り、勝利を収めたゾーラン・マムダニ氏は、街の生活費の高騰に焦点を当てた驚くほど効果的なメディアキャンペーンを展開した。


「彼は人々にとって重要なことを言っている。住宅、食料、交通、医療といったことだ」とスティグリッツ氏は述べた。「まともな生活を送るために必要なものを列挙しているだけで、物事がうまく機能していないと言っているのだ。」


スティグリッツ氏は、市場における情報の非対称性に関する研究で2001年にノーベル経済学賞を受賞した。ビル・クリントン前大統領政権下では、世界銀行のチーフエコノミストや経済諮問委員会の議長を務めた。当時、スティグリッツ氏はラリー・サマーズ財務長官と対立したことで有名だ。クリントン氏のチームは、グローバリゼーションとインターネット革命を積極的に推進し、現代の世界経済の枠組みを定める上で大きな影響力を持っていた。


影響力のある経済学者は、不平等への取り組みは単なる道徳的な選択ではなく、政治的な必然であると述べた。さらに、貧富の差が拡大していることが、中国との経済・技術競争において米国を弱体化させていると付け加えた。


「分断された社会、二極化した社会であれば、(アメリカは)勝利できないだろう」とスティグリッツ氏は述べ、前回の冷戦時のレトリックを彷彿とさせた。「今日のアメリカにおける最大の弱点は、この分断だ」


以下、500人の署名(略)


*1 Inequality is a problem on the scale of climate change, say eminent economists

https://www.politico.eu/article/inequality-global-problem-needs-global-answer-say-eminent-economists/

*2 無制限な資本主義、是正を スティグリッツ米コロンビア大教授

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD07AD40X01C25A1000000/#k-think

*3 Economists and inequality experts support call for new International Panel on Inequality

https://www.equals.ink/p/sign-on-letter-in-support-of-a-new

不平等.PNG

※図表は、*2 より引用

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事) 

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2025年09月03日

26年度税制改正要望>国際連帯税と国際観光旅客税について

富士山と飛行機.PNG

各省庁が26年度(令和8年度)税制改正要望を提出する8月末を過ぎましたが、私たちが要求した国際連帯税について、外務省は今年度も断念しました。一方、連帯税オプションの一つであるの航空券連帯税と同じ仕組み(出国税)の国際観光旅客税については、国交省が税目を明らかにしないまま実質的に引き上げる方向での「検討」案を提出しました。貴重な税源を国交省に取られっぱなしとなっている外務省の意欲のなさはまことに遺憾としか言いようがありません。

国際連帯税要望、外務省は引き続き断念

827日、私たちは「@日本政府は『国際線プレミアム旅客への課税を求める連帯連合』に参加すること、A26年度税制改正要望に『仮称・国際航空プレミアム券連帯税』を要求すること」の要求をもって担当窓口の外務省地球規模課題総括課の安藤課長らと話し合いました。結論から言えば、「(外国援助に対する厳しい風潮がある中で)ODAやグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア基金)の拠出水準を守るのに精いっぱいの状況で、国際連帯税関係までには考えが及ばない」というものでした。

確かに、先の参議院選挙で「日本人ファースト(外国人への排外主義)」を掲げた政党が大躍進し、最近も途上国の子どもらへのワクチン供給を担う国際組織GAVIアライアンスへの供出に対する抗議やJICA「ホームタウン」問題への抗議デモ等、異様な事態が日本の社会現象になりつつあり、国際協力・途上国支援を謳う政府やNGOにはたいへん厳しい状況となっています。しかし、だからと言って、途上国援助を委縮してしまっては、逆の意味で国益を損なう事態になってしまいます。

途上国援助は、徹底して「国益」に繋がってくる

というのは、中長期的にみて人口減がいっそう進行していく日本社会において、経済はもとより日本人の社会保障等も外国人なしには立ち行かなくなることは必至です。後者については、介護・医療現場で社会保障サービスを担ってくれることのみならず、社会保険料や税金を日本で働く外国人に払ってもらうことにより社会保障費を生み出してくれることになります。現在においても人手不足が深刻な製造業や農業や建設業、介護の現場は外国人が相当部分を担っています。

つまり、日本人は今後さらに人口が増加するアフリカ等途上国の人的資源に頼らざるを得ず、従って現在の貧困国・脆弱国が貧困や気候災害等に打ち勝っていただくための資金が必要なのです。ですから、途上国援助は「情けは人のためならず」であり、徹底して「国益」に繋がってくるのです(企業から見れば、健全に成長を続ける途上国は市場開拓の場になっていくしょう)。

当フォーラムは引き続き、日本政府に対し『国際線プレミアム旅客への課税を求める連帯連合』への参加を求めるとともに、国際線プレミアム旅客への課税を求めていきます。また、同税の実現を契機として、さまざまな国際(グローバル)連帯税に挑戦していきます。

国際観光旅客税の引き上げを狙う税制改正要望

一方、国交省からは税制改正要望として「観光施策を充実・強化するために必要となる財源確保策の検討」を提出しており、要望内容として「受益と負担の適正なあり方…を勘案しつつ、観光施策を充実・強化するために必要となる財源確保策について必要な検討を行い、所要の措置を講じる」としています。ところが、所得税とか法人税とかの「税目」については何も書かれていません。この財源確保のリソースは明らかに国際観光旅客税(以下、観光税と略)を差すことになり、その引き上げを狙っていると言えるでしょう(本当は観光税と書きたいがそれを隠すことに)。実際、「政府や与党からは1人につき1000円ずつ徴収する国際観光旅客税(出国税)の引き上げを求める声がある」(829日付日経新聞)と報道されていました。

このまま推移しますと、かつて観光税を新設した時と同様に、観光庁が有識者による検討委員会を設置し、そこで観光税引き上げを答申させ、しかる後に国会成立を図るというプロセスになろうかと思います。

観光税は出国日本人にはほとんど利益なく悪い増税に

観光税はご承知のように、日本を出発する航空機や船舶の乗客に、出国税として1回につき1,000課税しており、外国人も日本人(正確には国籍には関係なく日本に定住している人)も等しく課税されています。ところが、その税収の使途は、基本的に外国人観光旅客のために使われています(「外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律」に基づいて)。そのため、「その税収の大部分は訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備やプロモーションに充てられ、日本人旅行者が享受する直接的な利益は極めて限定的である」(120日付航空新聞社WING)という状況です。

つまり、出国日本人にとっての負担と受益が一致しないのです。ほかにも細かいですがビジネスや留学で訪日する外国人も一致していません。また、国内の状況を見ても、観光地は大いに受益しますが(オーバーツーリズム問題があるが)、そうでない地方はまったく益することはありません。このように観光税は大きな矛盾を抱えています。

「国際観光旅客税の使途に関する基本方針等について」(観光立国推進閣僚会議決定)によれば、基本的考え方として「受益と負担の関係から負担者の納得が得られること」としています。しかし、当初から出国日本人に納得を得られたわけではなく、ましてそれが引上げとなれば納得どころか大いに国民的反発を招くのではないでしょうか。だから税制改正要望で税目を隠しているのかと勘繰りたくなります。

国際観光旅客税引き上げに反対し、領土外での課税は地球規模課題に使用を!

もし外国人用観光のための財源として税を課すとすれば、出国日本人まで課税する出国税ではなく、制度設計を入国税にし直して外国観光客からだけ徴税すればよいのです。実際、ブータンやタイ等が導入しています。あるいは、米国のESTA(電子渡航認証システム)のようなシステムを導入し、事前審査を行うにあたり手数料(実質観光税)を取ることです。米国では現在の21ドルから本年930日より40ドルにも引き上げられます。

ともあれ、「国際航空運賃に対する課税は国家の領土主権の外で行われる消費行為であるから、その税収はこれを徴収した国家の歳入とされるべきではなく国際社会のために使うべき」(068月日経新聞「人道支援の税制創設を」)というのが、我が国の租税法の権威であった故金子宏東大名誉教授の指摘であり、先生は国際人道税を提唱したのでした。国際航空チケット(運賃)に連帯税や人道税を課し、それを途上国の貧困・感染症や気候変動対策という地球規模課題に使うことができれば、それは外国人であれ日本人であれ受益することになります。受益と負担は一致するのです。

いずれにしましても、国交省の税制改正要望である「観光施策を充実・強化するために必要となる財源確保策の検討」を注視し、出国日本人にはほとんど裨益しない実質的な観光税引き上げに反対していきましょう。また、航空チケット(運賃)への課税は連帯税として実施せよと日本政府に迫っていきましょう。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2025年08月15日

外務省と国際連帯税(プレミアム旅客への課税)に関して話し合いを行います

ベネチャ上空.jpg

グローバル連帯税フォーラムは、2010年度税制改正以来、航空券連帯税や金融取引税などの国際連帯税を要求してきましたが、この度の2026年度税制改正要望に関しては、下記の通り、「国際線プレミアム旅客への課税」関係に絞って要求しています。

■ 2026年度 国際連帯税に関する要請書*

1、日本政府は「国際線プレミアム旅客(ビジネス・ファースト席、プライベート・ジェット利用者)への課税を求める連帯連合」に参加してください。

2、26年度税制改正要望に「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」を要求し、導入に向けて準備してください。

■ 8カ国の航空連帯連合の呼びかけに応えて

6月末からはじまった第4回開発資金国際会議(FfD4)に合わせて、フランス、ケニア、バルバドス、スペインなど8カ国(**)が「プレミアム旅客への課税を求める連帯連合」を発足させました。同連合の目的は、「開発途上国の国内歳入動員を改善し、国際的な連帯(特に気候変動の緩和と適応、パンデミック、その他の開発課題に関して)を支援すること」としています。

特徴的な特徴的なことは、課税対象が国際線のビジネス・ファーストクラスの航空券ならびにプライベート・ジェット利用者というプレミアム旅客に絞っていることです。その理由としては、@プレミアム旅客(富裕層)の伸びは著しく、その分気候変動や感染症拡大というグローバル・イシューに多大な影響を与えていること、Aとくに途上国では観光資源が大きな収入源であり、エコノミークラスまで課税対象を広げると参加国拡大が厳しくなる等、からだと思われます。

ともあれ、国際的に気候・開発資金調達が厳しい中にあって、途上国・先進国を問わず共同して資金創出を図ろうという試みがはじまりました。外務省もかつては航空券税等の国際連帯税を実施したいという要求を持っていたのですから、ぜひ同連合に参加し、「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」導入を目指すべきです。

外務省との話し合いは、今月27日行いますが、国際協力局の地球規模課題総括課ならびに政策課が出席されます。ご注目ください。

*26年度国際連帯税に関する要請書: http://isl-forum.jp/archives/4566 

**8カ国:フランス、ケニア、バルバドス、スペイン、ソマリア、ベナン、シエラレオネ、アンティグア・バーブーダ

連帯連合の詳細:https://solidaritylevies.org/eight-countries-launch-solidarity-coalition-for-levies-on-premium-flyers/ 

※写真は、ヴェネツィア・マルコポーロ空港に向かう飛行機

(報告:田中徹二:グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2025年08月05日

国際連帯税2.0「国際航空プレミアム券連帯税」の実現を>26年度税制改正

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各省庁が26年度税制改正要望を提出する時期となってきました(決定するのは年末となります)。当フォーラムは毎年航空券連帯税や金融取引税などの国際連帯税を要求してきましたが、今回は、国際連帯税2.0として、より具体的に「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」を下記の通り要求します。


2026年度 国際連帯税に関する要請書 

外務大臣 岩屋 毅 様

                          グローバル連帯税フォーラム / 代表理事 金子文夫、田中徹二


日頃からの日本と世界のための外交努力に感謝します。

2026年度税制改正要望を提出する時期となってきました。当フォーラムは「国際連帯税創設を求める議員連盟」とともに、2010年度税制改正要望の時期以来「国際連帯税」を要求してきました。また、外務省におかれましても同年度から同税を要望してまいりました。ところが、貴省は2020年の『SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会』最終論点で、「新型コロナウイルスより日本経済全体が大きな打撃を受けている状況下での新税の導入は現実的ではない」(要旨)という提言を受ける形で、2021年度税制改正要望から国際連帯税要望を断念するようになりました。

しかし、同提言では「国際旅客は短期間での感染症拡大等の形で人々の健康及び国内経済に大きな打撃を与え得ることから、国境を越えた人の移動への課税による税収を国際的な感染症予防対策の支援に充てることには合理性があり、国際航空事業が正常化した段階で(入国税として)再考すべき」(要旨)とも述べています。貴省はその後、この提言部分についてどのように再検討され、連帯税要望の断念に至ったのか、 遺憾ながらその足跡が見当たりません。

翻って、ここ数年とみに人類に脅威を及ぼしている主たる事象は、ひとつは新型コロナウイルス(COVID-19)禍に見られたように感染症のパンデミックであり、もうひとつは気候変動・温暖化です。この二つの脅威に関係してくるのが、国際航空です。前者については、上記有識者会議で述べているように、短期に爆発的に感染症を広めるという役割を負いました。後者については、航空部門は人為的なCO₂排出量の2.5%以上を占めており(他の排出ガス等を含めれば4%)、単位距離あたりのCO₂排出量が他のどの交通手段よりも多いという傾向があります。その上国際民間航空機関(ICAO)は、2030年に世界の総旅客数が2024年比126%、2042年には倍増の205%に増加すると予測しています。

我が国においても、訪日外国人は過去最高が20193,188万人(出国日本人は2,008万人)でしたが、2024年には3,687万人(出国日本人は1,301万人)を数えました。そして本年には4,500万人と予測され(出国日本人は1,410万人)、政府は2030年には6,000万人を見込んでいます。 

このように航空部門は内外とも、温室効果ガス排出量が最も急速に増加している部門の一つと言えますが、同部門がグローバルに負の影響を与えている活動に対して、対策を実施するための資金調達方法として航空券連帯税があります。この度、同税のバージョン2として、本年6月末第4回開発資金国際会議FfD4)時に「国際線プレミアム旅客への課税を求める連帯連合」がフランス、ケニア、スペインなど8カ国(*)で立ち上がりました。プレミアム旅客とは国際線のビジネス・ファースト席ならびにプライベート・ジェット機を利用する乗客ということで、エコノミークラスとは違って富裕層が利用し年々需要が高まっています。同連合は、目的として「開発途上国の国内歳入動員を改善し、国際的な連帯(特に気候変動の緩和と適応、パンデミック、その他の開発課題に関して)を支援すること」を挙げるとともに、広く参加国を求めています。

つきましては、貴省におかれては10年にわたり航空券連帯税など国際連帯税を要望するために知見を深めてきたところですので、その知見をもって連帯連合に参加し、航空券連帯税2.0を目指してはいかがでしょうか。このことから、私たちは下記のことを要望します。

1、日本政府は「国際線プレミアム旅客(ビジネス・ファースト席、プライベート・ジェット利用者)への課税を求める連帯連合」に参加してください。 

2、26年度税制改正要望に「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」を要求し、導入に向けて準備してください。

*8カ国とは、フランス、ケニア、バルバドス、スペイン、ソマリア、ベナン、シエラレオネ、アンティグア・バーブーダ。同連帯連合は2023年に発足したフランス、ケニア、バルバドスを議長国とする「グローバル連帯税タスクフォース」の支援を受けている。

                                                        以上

20258月吉日

※写真は、日本航空(JAL)のHPより

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)



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