2018年04月18日

ソフトバンク、タックスヘイブン子会社の所得に追徴課税>大企業の租税回避への対応は?

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東京国税庁はソフトバンクの(タックスヘイブン地の)バミューダ子会社は実質的な事業活動をしていないペーパー会社と判断し、「タックスヘイブン対策税制」(*)の対象として、追徴課税を行った、と朝日新聞が報じています。

ソフトバンクの申告漏れ総額は約939億円ということですが、これに対し実際の追徴課税は約37億円に止まったのは、果たして妥当な金額なのかどうなのか議論のあるところですが、タックスヘイブン対策税制が作動したことはたいへん結構なことだと思います。

多国籍企業のタックスヘイブン等を利用した租税回避の動きに対して、OECDやG20はBEPS(税源浸食と利益移転)行動を実施しつつあります。とくに行動13の「多国籍企業の活動実態の国別報告義務(移転価格税制に係る文書化)」は、今年の3月期決算から適応されることになっています。また、「共通報告基準(CRS)に基づく金融口座情報の自動的交換」制度も、世界で2017〜2018年中に行われることになっています。これらのこともあり、日本企業でも下記のように税の情報公開・透明化が進みつつあるようです。

   【日経新聞】租税回避の批判に備え、三菱ケミや資生堂など方針明文化 (18.2.28)
     法人税など納税の基本方針を公表する企業が増えている。2017年度は三菱ケミカルホールディングスや資生堂が初めて開示するなど約20社に広がった。国際ルールの見直しで、グローバル企業ほど租税回避の批判にさらされやすい。税務の透明性を高めて株主や消費者の支持につなげる狙いがある。

問題は、巨大IT企業への「デジタル課税」(当面、売上高税)を日本が欧州ともに、米国の反対を押しのけて実施できるか、どうか、です。アマゾン・ドットコムは日本での昨年の売上げは1.6兆円もありましたが、まったく法人税を払っていないのです。


【朝日新聞】ソフトバンク939億円申告漏れ 租税回避地の子会社分(18.4.18)
 ソフトバンクグループ(SBG、東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2016年3月期までの4年間で約939億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。買収した海外企業がタックスヘイブン(租税回避地)に持っていた子会社の所得について、SBGの所得と合算すべきだと判断されたという。追徴税額は過少申告加算税を含め約37億円で、すでに修正申告したという。

 同国税局は、「バミューダ子会社は実質的な事業活動をしていないペーパー会社」と判断。税負担の軽い国や地域に所得を移し日本で支払う税金を減らすのを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」の対象と認定した。そのうえで、子会社の所得を最終的な親会社であるSBGの所得に合算するべきだと指摘した。
…中略…
 合算対象となった所得は計約747億円。数百億円規模の申告漏れは異例だ。株式売却益をめぐる経理ミスなどもあり、申告漏れ総額は約939億円にのぼったが、意図的な税逃れではないと判断され、重加算税は課されなかった。追徴税額は過去のSBGの赤字と相殺され、約37億円にとどまったという。…以下、省略。

(*)タックスヘイブン対策税制とは
企業や富裕層が、法人税率などが低い租税回避地(タックスヘイブン)にペーパー子会社を設立して配当や知的財産などからの所得を貯め込むことを防ぐために、子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して課税する制度。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2018年03月31日

川田龍平議員:国際観光旅客税に対する質問趣意書提出>連帯税的要素を入れよ

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準日切れ法案として提出されていた国際観光旅客税(ならびに外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案)は、森友改ざん問題で審議が大幅に遅れ、年度を繰り越すことになりました。この法案に対して、川田龍平議員は参議院予算委員会で質疑を行う予定でしたが、改ざん問題が優先されましたので、質問趣意書を一昨日提出しました。

<解 説>
趣意書の趣旨はタイトルにもありますように「国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべき」というものです。法案(一部改正案の方)は使途について、観光インフラ整備と並んで「最新技術活用などのCIQ(税関、出入国管理、検疫)体制の整備」等を謳っています。これは受益と負担との関係で、出国日本人(正確には日本居住者)はほとんど受益しないための苦肉の策と言ってよいでしょう(CIQ整備はふつうは必要に応じて国交省関係予算からの支出で賄うもので、必ずしも国際観光旅客税収によらなくてもよい)。

しかし、CIQ整備以前に考えなければならないことがあります。それは国境を超える人・モノの移動には、それが大量になればなるほど感染症の伝播という負の影響も高まってきます(温室効果ガスの大量排出も)。グローバル化が必ずしも利便性・効率性だけをもたらすものではないのです。

いずれにせよ、もし3年前の韓国で起きた中東呼吸器症候群(MERS)のような新興感染症が国内で広がった場合、訪日観光客は激減するでしょう。従って、国内のみならず国外での感染症対策は観光インフラやCIQ整備と並んで行わなくてはならない事業なのです。実際、この旅客税による税収が国外の感染症対策にも使用されることになれば、SDGs(持続可能な開発目標)の目標3に大いに資することになるでしょう。



国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべきことに関する質問主意書(提出番号54番)

参議院議員川田龍平
2018年3月29日提出

政府は2020年に訪日外国人旅行者数を4千万人とする目標を掲げているが、訪日外国人旅行者が多くなればなるほど、国外から感染症が持ち込まれるリスクが高まる。中東呼吸器症候群(MERS)のような新興感染症が国内で広がった場合、訪日外国人旅行者数が減少する影響だけで経済損失が2.7兆円生じ、観光業などでの雇用が58万人失われるとの試算がある。

外務省が税制改正要望において、国際連帯税(国際貢献税)の新設を平成22年度から平成30年度まで九年も続けて要望している中、政府は国会に国際観光旅客税法案(第196回国会閣法第2号)及び外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(第196回国会閣法第四号)を提出したので、以下、質問する。

一 「国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について」(平成29年12月22日観光立国推進閣僚会議決定。以下「基本方針」という。)では、国際観光旅客税の充当先の一つとして「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」が挙げられているが、ここにいう「環境の整備」に感染症対策も含めるべきではないか。

二 感染症の元を絶つため、国際観光旅客税の使途を国際的な感染症対策にも広げるべきではないか。

三 国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」では、「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」ことが掲げられている。我が国の「SDGs実施指針」における優先課題の一つである「健康・長寿の達成」では、具体的施策の例として「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画の推進」が挙げられている。基本方針では、2019年度以降の国際観光旅客税の使途は、外務省も参加する観光戦略実行推進タスクフォースで検討する旨定められているが、国際観光旅客税を国内だけでなく海外での取り組みにも充てられるよう検討するべきではないか。

  右質問する。

【注;答弁書は4月6日予定。なお、主意書の数字は漢数字だが、見易くするために算用数字に直しています】
★写真は、参議院予算委員会で質問する川田龍平議員(3月16日)

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2018年03月26日

国会の論戦から:国際観光旅客税(出国税)と国際連帯税

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国際観光旅客税は26年ぶりの国内での新税創設となりますが、国民的議論もないどころか(少なくともパブリックコメント募集はやるべきであった)、自民党内でも十分な議論なく30年度税制改正大綱に盛られ、そして今国会に上程されています。

この税の法案は、衆議院で可決され、現在参議院に送られていますが、森友文書改ざん問題で審議が止まっています。

●衆議院での質疑/野田佳彦議員(無所属の会)などが追及

ところで、衆議院の財務金融委員会の審議では(2月22日、同月28日、3月2日)、次の議員の方たちが国際連帯税について言及しました。野田佳彦議員(無所属の会)、宮本徹議員(共産党)、岸本周平議員(希望の党)が法案反対の立場で連帯税について発言しました。また、斉藤鉄夫議員(公明党)は法案賛成の立場ですが連帯税に言及しています。

また、2月13日の衆議院本会議の代表質問で金子恵美議員(無所属の会)が真っ向から国際連帯税について発言されました。

ここでは、2月28日の野田佳彦議員の質疑、同月13日の金子恵美議員の発言を紹介します。とくに、前者の質問に対し星野次彦・財務省主税局長が答えていますが、一言でいえば、「外務省が具体的な制度設計を出していない、それを出してもらったら検討する」というものでした。これに対し、すかさず野田議員は「外務省から具体的な制度設計の提案があれば検討するということですね」と念を押し、一方で国交省や航空業界の国際協力・協調政策への非協力を批判しています。以下、野田議員と金子議員の質疑・発言を紹介します。

●実際の質疑/「最初から国交省や航空業界は反対だったが…」

<2018年2月28日 衆議院財務金融委員会>
○野田(佳)委員 (野田佳彦議員・無所属の会)
 … そもそも、国境をまたぐ人の動きとかお金の動きに課税をするというやり方は、考え方としてはありました。それは国際連帯税であるとか、あるいは国際航空券税など、そういう議論はありました。2009年ぐらいからこういう提案があって、 旧民主党の時代では、これは税調の大きな議題として議論をし、そして税制改正大綱の中には検討項目としていつも入っていたというふうに思うんです。
 それが、残念ながら、平成25年の税制改正大綱からすっぽり抜け落ちて、6年連続抜け落ちていますね。抽象的な表現では、こういう国境を越えたものに対する課税のあり方についての必要性みたいな議論は書かれていると思うんですが、いわゆる国際連帯税みたいなものは、項目としては消えました。
 やはり、国境を越えた動きに対して課税をするというのは、最終的には、地球温暖化対策であるとか、感染症対策とか、そういうグローバルな課題で国際協調の路線の中でやらなければいけない施策があったときに考える税目だと思うんですね。これは、私は、依然として議論としては必要だというふうに思っているんですが。
 そこで、まずお尋ねしたいんですけれども、この国境を越える地球規模の課題の解決に税収を充てるという国際連帯税、国際航空券税の議論は、 現在、今どうなっているんですか。御説明をいただければと思います。

○星野政府参考人(星野次彦・財務省主税局長)
 お答え申し上げます。
 御指摘の国際連帯税、一般的には、御指摘のとおり、感染症対策、また貧困問題、環境問題等々、地球規模の問題への対策のための財源確保を目的とした税ということで議論をされてきたと認識をしております。
 先ほど御指摘がございましたとおり、民主党時代の税制改正大綱に載っていたりとか、また、税制抜本改革法の第七条第七号におきまして、「国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討する」とされておりまして、この導入に当たっては、課税の目的、また範囲、効果、執行可能性などの点にも留意しつつ検討していく必要があると考えております。
 これまで、毎年度の税制改正プロセスの中で、外務省から、国際連帯税に係る税制改正要望の提出を受けてきたところではございますけれども、具体的な制度設計の提案については提案をいただいていないという状況が続いておりました。
 本件については、まずは担当省でございます外務省におきまして、諸外国の事例等も参考にしつつ、具体的な制度設計の案を検討していただき、その上で財務省としても検討していくという手順 を踏む必要があると考えております。

○野田(佳)委員
 外務省から具体的な制度設計の提案があれば検討するということですよね。
 外務省の努力も必要になるかもしれませんけれども、比較的、この国際連帯税については、はなから国交省とか航空業界は反対の意見が強かったと思います。いわゆる今回の出国税の形式と同じなんですよね。形式は同じなのに、いわゆる国際協調路線で何かやることについては、業界の反対もある、国交省も反対をされる。今回の観光立国に向けての政策だと、同じ出国税なのに、何かするすると出来ちゃう。非常に私は違和感を感じているということをまず申し上げたいというふうに思います。…以下、省略

<2018年2月13日衆議院本会議>
○金子恵美君 無所属の会の金子恵美です。
 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 …国際観光旅客税、いわゆる出国税については、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るとの看板は美しく見えますが、本来、地方経済の活性化等の観点から、観光インフラや観光資源の整備促進のための財源は一般財源に求めるべきです。
 出国税など、国境を越える人や金融資本の移動にかけられる税は、これまでの国際連帯税の議論や諸外国の導入実績等も踏まえ、主として、気候変動や感染症対策などの国境を越えた地球規模課題への対策にこそ使われるべきと考えます。
 1992年に導入された地価税以来の新税であるにもかかわらず、十分な検討なく取りまとめられた国際観光旅客税は、なぜ日本人出国者にも負担を求めるのか、なぜ出国一回につき千円という水準なのか、なぜ来年一月七日から適用という性急過ぎる時期が設定されているのか、全くわかりません。総理の明確な説明を求めます。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2018年03月19日

国際観光旅客税(出国税)への批判続くー特定財源化への懸念など

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27年ぶりの新税となる国際観光旅客税法案(出国税)は、去る2月2日に平成30年度税制改正法案とともに国会に上程。衆議院財務金融委員会で審議し、3月2日同委員会において可決され、 3月9日衆議院本会議で賛成多数で可決されました。現在参議院へ送られていますが、「森友文書改ざん問題」で同院では議論が進んでいません。

ところで、国際観光旅客税(出国税)に関しては、1)道路特定財源のように予算が肥大化し無駄遣いとなる、2)受益と負担の関係が不明確、3)国境を超える活動への課税は地球規模課題に使用すべき、という批判がなされています。

先週の週刊エコノミスト誌に佐藤主光・一橋大学国際・公共政策大学院教授が、上記1)と2)の立場から、国際観光旅客税を批判していますので紹介します。佐藤教授は、21世紀政策研究所(注:経団連の公共政策のシンクタンク)「あるべき税制に関する委員会」委員、「地方分権に関する基本問題についての調査研究会」委員(総務省・財団法人自治総合センター) 、内閣府・民間資金等活用事業推進委員会委員なども務めています。

なお、3)についてはこの間国会内の議論で、何人かの議員が取り上げていますので、別途紹介します。

●エコノミスト2018.03.20 
〔27年ぶり新税〕国際観光旅客税・森林環境税 “第2の道路特定財源”懸念も=佐藤主光

2018年度税制改正で新たな税「国際観光旅客税」の導入が決まった。この税は報道で出国税とも呼ばれた。国による新税はバブル期の地価税以来27年ぶりである。19年1月7日以降、訪日外国人客が日本から出国するとき、および日本人が旅行などで出国する際に1人当たり1000円を徴収することになっている。

…中略…

新税は国際観光旅客税だけではない。森林環境税(仮称)も創設されることになった。政府は創設理由を「パリ協定の枠組みの下における我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から」と説明する。地方自治体が徴収している個人住民税の均等割り(一定額以上の所得がある場合に一律額で課される部分) に年額1000円上乗せされる形をとり、国の地方交付税・譲与税特別会計に払い込まれる。均等割りについては現在、東日本大震災(11年)後の「復興税」として1000円が課されているが、森林環境税は、この復興税が終了する24年度から課税される。森林環境税の税収は全額、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用」(18年度与党税制大綱)に充当すべく主に市町村に配分される。

◇受益・負担関係に疑問

これらの新税に共通して掲げられているのが税の「応益性」である。公共サービス・事業の受益者に一定の負担を求めることは公平にかなっているかもしれない。応益課税は課税の根拠を明確にすることで納税者の信認を得る上でも有用だろう。仮に、多くの納税者が受益を感じていないのであれば、対象事業を縮小して課税を縮減すればよい。ここでサービスの受益者=納税者は(1)高い税を払って受益するか、あるいは(2)低い税にとどめて受益を諦めるかを選択する。

制度上、国際観光旅客税は一般財源(一般会計)向けであるが、使途があらかじめ定められているという意味で目的税にあたる。実際、国際観光旅客税の導入にあたって、基本方針は「受益と負担の関係から負担者の納得が得られること」や「費用対効果が高い取り組みであること」を対象事業の条件に掲げている。財源は国家公務員の人件費などには充当せず、「無駄遣いを防止し、使途の透明性を確保する仕組みとして、行政事業レビューを最大限活用し、第三者の視点から適切なPDCAサイクルの循環を図る」ものとする。

しかし、国際観光旅客税を含む応益課税の実態は全く異なる。税の負担と受益の関係が定かではないことが多い。国際観光旅客税の場合、出国者が受益者であることが想定されているが、実際のところはどうだろうか? 例えば、基本方針が使途に掲げている「我が国の多様な魅力に関する情報」は日本人の出国者が受益するところではない。訪日客にしてもビジネスや国際会議などを目的としているのであれば、観光関連の施設・インフラを多く享受するとは考えにくい。そもそも、「受益と負担の関係から負担者の納得」(基本方針)を担保する仕組みが整っているわけではない。つまり、応益課税を建前にしても、実態は「取りやすいところから取る」ことになる。

◇予算査定逃れの手法にも

また、財源があることを理由に対象事業が膨張することが懸念される。つまり、財政需要(ニーズ)があるから財源確保するのではなく、財源があるから需要(使途)を拡大させかねない。その典型例が「道路特定財源」であろう。道路特定財源は自動車取得税、自動車重量税などに暫定税率を課して道路の整備・拡充に充てていた。08年度予算における道路特定財源税収の総額は約5兆4000億円に上っていた。しかし、利用ニーズの乏しい道路まで建設されたり、使途がミュージカル制作・上演など道路以外に広がったりしたという批判を受けて09年度に廃止され、暫定税率分は全て一般財源化された。

国際観光旅客税などについても政府は「無駄遣いを防止」するとしているが、財源を使い切るよう対象事業が際限なく拡大するかもしれない。森林環境税についても既に、30府県以上で 、個人住民税(均等割り)に対する500〜1000円の超過課税として独自に導入が進んできた。こうした府県では屋上屋を架すことになり、そのままでは事業費が膨れ上がることになる。

観光基盤の拡充・強化であれ、森林整備であれ、それらを目的税=恒久的な財源でまかなうことは必須ではない。仮に国の重要な政策課題であり、「費用対効果が高い取り組み」と評価されるならば、他の政策・事業同様、毎年の予算編成の中で措置すればよいからだ。目的税の本音は国の財政状況が悪化する折、むしろ財政当局の厳しい査定を逃れることになるように思われる。恒久的な財源があると事業を続けたり、拡大させたりする格好の口実になりやすい。予算査定も甘くなりがちだ。政府は既存施策の財源の単なる穴埋めはしないとする。しかし、新規事業が新たな財源でまかなえるなら、既存施策の見直しも進まない。事業に優先順位を付けるにしても観光政策等の枠内であり、「部分最適」にとどまる。本来、国の予算配分は観光といった特定の分野にとどまらず、政策全体に目配りをしたものでなければならない。今後も財源を確保しやすい方法として、国際観光旅客税のような目的税は増えそうだが、財政がひっ迫する折に予算を分断させ、かえって、メリハリがあり効率的な、言い換えれば全体最適にかなった配分を損ないかねない。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム・日本リザルツ理事)

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2018年03月15日

本日、立憲民主党「つながる本部」SDGs懇談会開催

            チラシ小:国際観光旅客税:一人占めしていいの?.bmp

本日、立憲民主党「つながる本部」SDGs懇談会が開催されますので、添付したようなチラシをもって参加してきます。朝日新聞の記事をお借りしましたが、ざっと目を通していただければ嬉しいです。なお、タイトルの「国際観光旅客税:一人占めしていいの?」も岩手日報の論説からお借りしました。

ところで、国際観光旅客税ですが、3月2日に衆議院財務金融委員会で可決され、今後参議院での議論となりますが、議論に入る前に「森友文書改ざん問題」でストップしています。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

posted by resultsjp at 12:09| Comment(1) | 国際連帯税の推進