2017年07月09日

【EU FTTアップデート@】マクロン仏大統領、今夏のEU FTT最終合意へコミット表明するも、「二枚舌」?

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欧州FTT(金融取引税)問題が浮上してきている。欧州10カ国によるFTT導入計画は停滞しているが、英離脱後のEU予算の資金としての議論がはじまり、また気候変動など地球規模課題の資金としてもその必要性が語られている(FTTの国際連帯税的な要素)。こうしたEUの動向について、津田久美子氏(北海道大学大学院 法学研究科 博士後期課程)に最新情報について、ならびにその評価について「EU FTTアップデート」という形で報告していただく。
(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

先月6月6日、マクロン大統領とフランスのNGOsは会合を持った。そこでマクロン大統領は、FTT(金融取引税)を気候変動への取り組みの一つと位置付け、今夏中にEU FTTの最終合意を取り付けることにコミットした。これは、パリ協定からアメリカが離脱することを受け、気候変動への取り組みの重要性を説き、"Make our planet great again" と表明したマクロン大統領へ、NGOsが具体的なコミットメントを要請したことを受けてのことであった。

市民社会は、かつて銀行家でもあったマクロンのFTTへのコミットを高く評価した。しかしながら、同月22-23日に開催された欧州理事会(EUサミット)で、マクロンは、イギリスのEU離脱スケジュールが確定しないかぎり、EU FTTの交渉を進めることは難しい、といった趣旨の発言をしたと報道された。明らかに「今夏中」のコミットとは矛盾しているのである。

マクロンや仏政権の本心はまだわからない。おそらくは、来週の11日に開催されるEU財務相会合(ECOFIN)にて明らかになる見込みだ。同会合の前には、10カ国のEU FTT検討グループが集まることが予定されている。

なぜマクロンは、英離脱(Brexit)との兼ね合いでFTTを捉えているのか。それには、二つの「ポストBrexit」問題なるものが背景にある。一つは、Brexit後の「ネクスト・シティ」問題。EU最大の金融街であったシティ・オブ・ロンドンの地位をめぐって、パリ、フランクフルト、ダブリン、ルクセンブルクなどが誘致合戦を繰り広げている。これに伴い、フランスとドイツでは、「ネクスト・シティ」になれるチャンスにあってFTTは邪魔だ、と熾烈なロビー活動が展開されている。つまりマクロンは、こうした銀行家たちの方に耳を貸したのかもしれない。そこでフランスNGOsは、SNSなどを通じてマクロン大統領に「二枚舌」をやめるよう呼びかけている(画像参照)。

もう一つの「ポストBrexit」問題は、EU財政・予算問題。その詳細は、続編「EU FTTをめぐる近日の動向A」にて。

参考:
Oxfam France, ≪ Climat: Emmanuel Macron s'engage a conclure la TTF d’ici cet ete, Oxfam demande un calendrier de mise en ?uvre ≫ 06/06/2017.
https://www.oxfamfrance.org/communique-presse/taxe-sur-transactions-financieres/climat-emmanuel-macron-sengage-conclure-ttf-dici

Le Monde, ≪ Climat : l’Elysee promet une feuille de route d’ici fin juin ≫ 06/06/2017.
http://www.lemonde.fr/climat/article/2017/06/06/transition-ecologique-le-gouvernement-va-ouvrir-un-site-internet-pour-attirer-les-chercheurs_5139658_1652612.html

Robin Hood Tax, "Macron Calls for European Robin Hood Tax by Summer" 22/06/2017.
https://www.robinhoodtax.org.uk/macron-calls-european-robin-hood-tax-summer

L'Echo, ≪ La "taxe Tobin" mise au frigo ≫ 23/06/2017.
http://www.lecho.be/economie-politique/europe-economie/La-taxe-Tobin-mise-au-frigo/9907431?ckc=1&ts=1499215786

Le Monde, ≪ Taxe sur les transactions financieres : ≪ Emmanuel Macron doit cesser son double discours ≫ ≫ 28/06/2017.
http://www.lemonde.fr/idees/article/2017/06/28/taxe-sur-les-transactions-financieres-emmanuel-macron-doit-cesser-son-double-discours_5152557_3232.html
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2017年06月16日

はじまる2018年度税制改正の動き>国際連帯税の実現に向けて

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      「国際連帯税につき前向きにしっかりと取組みたい」と述べる岸田外務大臣

長かった通常国会も18日に閉幕となりますが、これからの国レベルでの主な作業は、次年度(2018年度)に向けた予算案づくり、税制改正案づくりとなってきます。どちらも8月末に概算要求(予算)、改正要望(税制)を各省庁から財務省に提出することになります。

国際連帯税についても、例年通り外務省が「国際連帯・貢献税」の新設要望を出してもらうことからはじまりますが、今年はトピックとして以下の3つの状況があります。

(1)岸田外務大臣が国際連帯税にとても前向きなこと

すでにお知らせしましたが、去る5月の参議院決算委員会で、(国際連帯税議連事務局長の)石橋通宏議員の質問に対して、岸田外務大臣は次のように答えました。

外務省としましても、また私自身としましても、…是非、国際連帯税に向けて前向きにしっかりと取組を続けていきたい。


(2)外務省の国際連帯税に関する調査委託報告書の公表

外務省は、昨年11月国際連帯税の制度設計に関する調査のため、寺島実郎氏を座長とし有識者による研究会を立ち上げ(正式名は、「国際連帯税を導入する場合のあり得べき制度設計及び効果・影響の試算等」調査委託)、その報告書が本年2月末に公表されました。 

その報告書では、「我が国が今後さらに(SDGs実施等)積極的な国際貢献を行い、 国際的な影響力を拡大させるためにも、国際連帯税導入に向けた検討を進めていくこと が必要」との立場から、航空券連帯税、金融取引税、炭素税、旅券手数料への課税を打ち出しました。

なお、研究会では(WEB)アンケート調査も実施しましたが、航空券連帯税につき「約 3/4 が定額税・定率税を支払ってもよいと回答(ただし国際連帯税に対する賛成は5割強)」という結果を得たことも報告されています。この「賛成」の数字はとても高く、予想をはるかに超えてのものでした。

また、この調査委託につき、岸田外務大臣は先の委員会で「調査に制度設計をお願いしたのだから、その答えを踏まえながら具体的取り組みを進めていきたい」よ答えています。

(3)国連HLPFでのフランスの報告>国際連帯税の実施を報告

ご案内のように、2015年9月国連で「持続可能な開発目標(SDGs)/2030アジェンダ」が採択されて以降、舞台は持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF :High Level Political Forum)に移りました。

HLPFでは4年に1回首脳級の総会を開催し、SDGs実施のレビューを行いますが(第1回が2019年)、これとは別に毎年閣僚級による自国の取組に関する自発的レビューや取組につき発信することになり、昨年からはじまっています。

昨年22ヵ国が自発的なレビュー等を行いましたが、フランスの報告が注目されます。それは先進国・ドナー国としての重要な責務である開発資金の調達に関し明確に述べたことです。

フランスはODAのGNI比0.7%拠出の2030年までの実施(EUの共通援助目標として)を報告するとともに、革新的資金調達としての国際連帯税(航空券や金融取引への課税)の実施し、パンデミック(感染症の世界的な流行)や気候変動への対策資金として提供していることを報告しました。 

今年7月には2回目のHLPFが開催され、今回は日本政府も報告します。日本政府はぜひともフランスに続いて、先進国・ドナー国の責務としてODAの0.7%拠出ならびに国際連帯税につき報告していただきたいと思っています。

【フランス報告での国際連帯税の部分】
FRANCE TAKES AN INNOVATIVE APPROACH TO SUSTAINABLE DEVELOPMENT TOOLS AND FINANCING
In 2004, France took the initiative, with Brazil and Chile, to propose putting in place international solidarity taxes on activities that benefit the most from globalisation to provide innovative development financing in addition to budget resources. It introduced these taxes on airline tickets and financial transactions, providing funding to tackle the pandemics and take climate change action.

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 10:23| Comment(3) | 国際連帯税の推進

2017年05月15日

【速報】参議院決算委員会で石橋議員、国際連帯税につき質問

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本日(15日)の参議院決算委員会で石橋通宏議員(国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長)が国際連帯税について質問をされました(他にODA全般)。

・石橋議員:SDGsの資金ギャップは2.5兆ドルと言われている。資金を増やすには(ODAのほかに)国際連帯税や革新的資金調達メカニズムという構想もある。世界のリーダーとしての日本というなら、国際連帯税実現含め資金増を行うべき。

・岸田外務大臣:国際開発資金を確保するためには財政もさることながら、民間資金も含めた幅広い調達が必要。その中で国際連帯税も有力な手段であると外務省は認識している。平成22年度より外務省は税制改正で国際連帯税を要望し続けている。具体的にどうするかだが、昨年度外部のシンクタンクに具体的な制度設計につき委託調査してもらった。この調査結果を踏まえ、国民と関係者の理解を得るための努力をしていく。外務省としても私個人としてもぜひ国際連帯税導入に向け前向きにしっかりと取り組みを続けていきたい。

・石橋議員:委託調査の結論は3月に出ているが、次なるステップをどうするのか。大臣としての責任で次に進むことを確約すべき。

・岸田外務大臣:調査に制度設計をお願いしたのだから、その答えを踏まえながら具体的取り組みを進めていきたい。

詳細は、参議院インターネット中継の「5月15日参議院決算委員会」をご覧ください(2:12:16より石橋議員の質問)

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 21:36| Comment(2) | 国際連帯税の推進

5.7研究会「SDGsとグローバル連帯税を考える」報告

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5月7日東京医科歯科大学のセミナー室で第1回研究会「持続可能な開発目標(SDGs)とグローバル連帯税を考える」を開催し、ちょうどセミナー室が満杯になる35人が参加し、熱い議論をたたかわせました。

冒頭、田中徹二・グローバル連帯税フォーラム代表理事が、「今回の第1回研究会はクラウドファンディングによる企画である。SDGsとグローバル連帯税のそれぞれの第一人者をお招きした。じっくりお話を聞き議論していただくことを期待する」とあいさつ。

さっそく稲場雅紀・SDGs市民社会ネットワーク代表理事と金子文夫・横浜市立大学名誉教授からSDGsとグローバル連帯税についてそれぞれ講演していただきました。当日使用したパワーポイント資料を送ります。

「SDGsこの一年 そして今、すべきことは?」…稲場雅紀・SDGs市民社会ネットワーク代表理事

「グローバル連帯税の可能性」…金子文夫・横浜市立大学名誉教授

お二人のもっとも肝となる点を一つずつ紹介します。まず、「SDGsは17のゴール169のターゲットがあるが、これを二言で表わすと、@世界から貧困をなくすこと、A“つづかない世界”を“つづく世界”に変えること、と言える」(稲場氏)。

また「今日のグローバル化した社会において、地域社会には地方税があり、国家には国税があるように、グローバル社会にはグローバル税が必要だが、地球的規模の課題が山積しているにも係わらずそのような税はない。今こそ国民から地球市民へと意識転換させ、グローバル連帯税を目指さなければならない」(金子先生)。

講演の後パネル討論を行いました。この討論で質問意見が相次ぎ熱い議論をたたかわせ、予定時間を30分オーバーしてしまいました。

その中で、ひとつだけ議論の内容をお知らせします。

【質問】「一般の人の理解では、アフリカでは戦争や飢餓が続き、また政治的思惑もありいくらお金を出して支援しても(改善が目立たなく)虚しいと思われている。しかし、“(ODAやグローバル連帯税による)お金で解決する部分があるのだよ”という周知が必要だと思うがどうか」。

【稲場氏の答】ミレニアム開発目標(MDGs)はアフリカならびに途上国に教育、保健、ジェンダー等社会開発にお金を投入することによって(貧困根絶等をめざしたがそれが)どうなったか。実はアフリカでは圧倒的に紛争が減少してきている。現在熱い戦争が行われているのは、ソマリア、南スーダンそしてソマリアとナイジェリア北東部のイスラム聖戦が行われているところだけ。

かつては貧しさをバックに戦争が起きていて、例えば最貧国のアンゴラでは90年代から2003年まで延々と戦争を行っていた。シエラレオネでもリベリアでもその他でも。ところが、今日多くの国が戦争から脱却することができてきている。その結果、(資源価格高騰や先進国からの投資もあり)経済発展が全体のトレンドとなっている。つまり、(MDGs以降お金が投入されたことにより)実際に成果が上がっている。

これはHIV/エイズのことでも言えることであり、今や1600万人が治療を受けることができるようになっている。

一方、戦争が拡大しているのは中東地域であり、これは2003年の米国のイラク侵攻以降、中東の社会開発の取組みが全部ぶち壊された。MDGsの悲劇である。

いずれにせよ、(中東のような先進国の間違った政策がない限り)「支援金を投入することによって解決する部分が確かにある」のであり、このことを(日本社会に)きちんと伝えていかなければならない。

(報告:田中徹二グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 00:16| Comment(2) | 国際連帯税の推進

2017年04月26日

諸富徹京都大学大学院教授「グローバル税」を論ず(週刊エコノミスト)

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今週の週刊エコノミスト(毎日新聞出版)の特集は「ビジネスマンのための資本主義入門」(ビジネスマンではなくビジネスパーソンにしたほうがよいと思うが)というものですが、その中で、諸富徹・京都大学大学院経済学研究科教授が「格差縮小の処方箋 『グローバル税』が再分配を促す」 という小論で、グローバルタックスの意義と可能性、そして先にも紹介した外務省の「国際連帯税に関する有識者会議」報告書について述べています。

◎週刊エコノミスト: https://www.weekly-economist.com/

以下、要約してみると次のようになりますが、続きはエコノミスト紙をお読みください。

・「グローバルタックス」が注目を浴びてきているが、背景として、とくに多国籍企業のタックスヘイブンを利用した租税回避行為も明白となった今日、「新たな課税対象として、国境を超える経済活動に着目されるようになった」からだ。

・各国政府は1980年代から、課税の重点を消費税や社会保険へシフトさせ、税制の累進性が弱まることで所得再分配機能が失われ、中間層没落の一因となっている。しかし、グローバル化した経済の下で一国だけで再分配を強化しても解決できず、グローバルタックスがここでも必要となってくる。

以下、省略。

【インフォメーション】
◎『貧困根絶!グローバル連帯税実現のため世論にアピールしたい!』プロジェクト
 https://readyfor.jp/projects/g-tax1968 (締切り:4月28日(金)23時まで)

◎研究会:「持続可能な開発目標(SDGs)とグローバル連帯税を考える」
 ・日時:5月7日(日)午後2時〜4時30分(午後1時30分開場)
 ・場所:東京医科歯科大学・M&Dタワー24Fセミナー室
      ・キャンパスマップ: http://www.tmd.ac.jp/outline/campus-map/ 
 ・講師:稲場 雅紀(一社 SDGs市民社会ネットワーク代表理事)
     金子 文夫(横浜市立大学名誉教授)
 ・申込み:「研究会参加希望」とお書きのうえ、Eメールで申込みを。
      Eメール:info@isl-forum.jp 
 ※詳細は、http://isl-forum.jp/archives/1769 を参照。 

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
posted by resultsjp at 17:32| Comment(2) | 国際連帯税の推進