2015年09月03日

外務省、国際連帯税(国際貢献税)を新設要望>28年度税制改正要望で

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今こそ、航空券連帯税を!

8月31日が、各省庁からの28年度(予算)概算要求と税制改正要望の提出日でしたが、外務省から税制改正で
「国際連帯税(国際貢献税)」の新設要望が提出されました。

「飢餓や感染症など地球規模課題への対処を始めとするミレニアム開発目標(MDGs)及びその後継として本年9月の国連サミットで採択される予定の『持続可能な開発のための2030アジェンダ』(2016年から2030年までの新しい国際開発目標)等にも示されている世界の開発需要に対応するためには,伝統的ODAのみでは資金量が十分ではないとの認識から,革新的資金調達に対する関心が高まっている」と分析し、国際連帯税(国際貢献税)を要望しています。

これで9年連続要望です。今年こそ実現させたいですね!

(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2015年08月24日

第7回 民間税調シンポジウム「国際課税を考える」

8月23日、青山学院大学にて第7回民間税調シンポジウム「国際課税を考える」が開催されました。

基調報告では、元財務省主計局主計官・OECD租税委員会日本代表で弁護士の志賀櫻氏が、約90分にわたって主にタックス・ヘイブンとグローバル経済における租税回避問題、それに取り組む国際社会の動きについて発表を行いました。

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志賀氏は、「グローバル・エコノミーの現在において、いかにして国家主権の壁を打ち破って実効性のある二重課税及び二重非課税の排除を行うかという問題である」と述べるとともに、「タックス・ヘイブンというブラックホールへの入り口を国際協調によって塞ぐことが最も手っ取り早い方法であるが、取り締まる側と取り締まられる側に、(英)シティと(米)マンハッタンという二つのタックス・ヘイブンがある。泥棒が縄を綯っている状況である」と問題の深刻さを表現しました(志賀氏発表資料はこちら)。

会場との質疑では、スターバックス等の他国籍企業が巧みな租税回避を行ってまったく税金を納めていなかった事例が取り上げられましたが、日本の文脈においても、元民主党衆議院議員の仙谷弁護士より「商社や銀行が税金をまったく納めていないが、なぜこんなことが起こるのか、広く一般に問題意識が共有されるべき。民間税調は公平・公正なデータを示しつつ、政府税調等に働きかけるべきではないか」との意見も出されました。

OECDやG20を通じてタックス・ヘイブン問題への取り組みは強化されつつありますが、ピケティの主張する国際的な格差縮小のためにはこの問題は避けて通れず、国民的な関心が必要であると感じました(高木)。
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2015年07月31日

第6回民間税制調査会シンポジウム「社会保障と税」

7月26日(日)、青山学院大学にて第6回民間税制調査会シンポジウム「社会保障と税」が開催されました。田中徹二理事が先日の記事で紹介・解説していたイベントです。当日は日曜日の猛暑の中、80名くらいの様々な市民、専門家等が参加していました。

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今回は明治大学公共政策大学院の田中秀明教授が「社会保障と税−自分自身の問題として考える」と題した基調報告を行いました。
田中教授によれば、
・日本の社会保障制度は、他国と比較して低所得者への所得移転・再分配機能がとても低い(所得下位20%への純移転はわずか2%)。
・日本の財政赤字の一員である社会保障予算においては、社会保険料の不足分を一般財源で補てんしてきた構造がある。社会保障の財源を保険料で負担するか、税負担とするかは各国で分かれるが、日本の場合は政府がミックスしてしまった。
・社会保険料では、低所得者が高所得者を支える負担の不公平が生じており、逆進性が高く、セーフティーネットの機能が弱い。保険原理と再分配原理を区別し、公私の役割分担を明確にすることが必要。
と指摘しました。
青山学院大学の三木教授は、「税制の問題だけでなく、社会保険料の逆進性の問題が大きいことが田中教授の発表で見えてきた」と評価しました。格差是正に向けた公平な税制とするための貴重な議論が行われたと思います(高木)。


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2015年07月14日

Q&A: 私たちが貧困格差をなくさなければ、21世紀の世界は極悪非道に至る

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【解説】ユニットエイドのフィリップ・ドスト=ブラジ理事長のインタビュー記事です。注目するところは、アフリカ諸国による新プロジェクトUNITLIFE(ユニットライフ)です。これは採掘資源、特に石油に課税し、その税収を慢性的栄養失調の予防策に投入するというもの。

コンゴ共和国のドゥニ・サス・ンゲソ大統領は、自国で採掘された石油1バレルごとに10セント(0.10ドル)を拠出すると発表。もしアフリカで8か国がこの税を導入すれば、年間1〜2億ドルが得られると期待できます。

なお、本日行われている「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(常設事務局:フランス、今年の議長国:チリ)のサイドイベントで、マリの鉱山大臣がステートメントを行いますが、UNITLIFEについて発表するものと思われます。


Q&A: 私たちが貧困格差をなくさなければ、21世紀の世界は極悪非道に至る

ノラ・ハッペルによるフィリップ・ドスト=ブラジ(国連革新的資金調達に関する事務総長特別顧問、ユニットエイド創設メンバーで理事長、元フランス外務大臣)のインタビュー。

国連にて、2015年7月9日(IPS) – 2015年9月に国連で採択されるポスト2015年開発アジェンダの実施は、さらに大々的な資金調達を必要としています。

2015年7月13日から16日、エチオピアのアディスアベバで開催される、第3回開発資金国際会議(FfD3)の準備が進んでいます。地球規模の成長が減速気味でほとんどのドナー国が財政的に難しい今、議論の中心にあるのは、これまでの政府開発援助(ODA)を補完し資金調達のギャップを埋めるための安定した予測可能な「革新的資金調達メカニズム」です。

ミレニアム開発目標(MDGs)採択と並行して21世紀初めに発案されたコンセプト。その裏にある考え方は、大きな額の収入を「目に見えないように」集めて、極貧をなくすことや教育とグローバル・ヘルスの促進といった最も緊急を要する開発ニーズにおけるアンバランスの是正に資金提供することです。関係する諸分野は政府による税から公私パートナーシップに至ります。

ひとつ優れた革新的資金調達の例を挙げるとすれば、グローバル・ヘルスのイニシアティブであるユニットエイドです。ユニットエイドの資金は主として航空券にかけられる1ドル連帯税で賄われています。集まった収入は地球規模でマラリア、HIV/エイズ、結核と闘うために使われます。

より最近の例では金融取引税(FTT)が挙げられます。これは今のところ各国政府には、投機に歯止めをかけるツールとして、また開発のための資金となる巨額の収入を得るためのメカニズムとしてとらえられています。11か国が導入の意向を示している欧州金融取引税ですが、現在進行中のその実施案は、革新的資金調達の次の段階の例証となるものです。

間もなく開催の開発資金国際会議とその後の持続可能な開発目標の採択を控えた今、IPSのインタビューの中でフィリップ・ドスト=ブラジは、金融取引税と革新的資金調達について考えを語ってくれました。

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Q: ポスト2015年開発アジェンダ交渉の流れの中で革新的資金調達はどのような役割を果たせますか。

A: 2015年は歴史的年です。というのは世界の未来にとって非常に重要な3つの国際会議が開催されるのです: アディスアベバでの開発資金の会議、国際社会が持続可能な開発目標(SDGs)に乗り出す国連総会、そしてパリで行われる気候変動についての会議COP21。

それら3つともシナリオは同じです: 壮大な政治的合意ですが、バックアップする財政手段がありません。だから警鐘を鳴らしたい! 革新的資金の調達方法を今見つけなければ、世界がかつてこれほどたくさんのお金を持ったことがないこの時代、富めるものと貧しいものの格差がたえず広がっているこの時、21世紀の世界は極悪非道に至るでしょう。

Q: 開発のための資金調達には巨額の財源が必要です。FTTは他の革新的資金調達のツールと比べて、必要な資金をあつめるのに適しているのでしょうか。

A: 金融は現在のところ経済領域でもっとも少なく課税されているもののひとつです。2008年の経済危機のせいで、金融が国際開発にもたらした深刻な影響を知ったら驚かれるはずです。金融取引に痛みのない率で税をかければ、世界中で莫大な額がもたらされ、その結果、極貧、パンデミック、環境変化などとの闘いに積極的に取り組むことができます。

私たちは今、完全にグローバル化された世界に住んでいます。したがってこうした脅威は世界のだれにでも降りかかってきます。グローバル化された活動や取引はだからこそ国際的な助け合いに貢献すべきなのです。それこそが、航空券に連帯税を実施した際、シラク大統領とルーラ大統領と共に私たちが心に描いたことです。

人々の移動はますます活発化しています。彼らのチケット料金にほんの少しを課税することで、世界中で命を救う治療を受けられる機会を増やすことができました。FTTも同じ考え方を踏襲します。財政的必要はかなりのものであり、お金はあるところから得る必要があります。革新的資金調達のツールはライバルとして位置づけされるのではなく、補完するものとしてとらえられるべきです。

Q: ユニットエイドはHIV/エイズ、結核、マラリアと闘うため、国際連帯税という手段で集められた資金を投資しています。それら病気との闘いにおけるユニットエイドの実績を教えてください。

A: 一つ目として、2007年、ユニットエイドの投資は、より効果的な主要HIV治療の市場づくりのお手伝いをしました。その結果、年間1500ドルだった治療費を500ドル以下にまで下げました。

二つ目は、グローバルファンド(GF)とUNICEFをサポートすることで、ユニットエイドは4億3700万を超える最良の抗マラリア治療を提供することに貢献しました。これにより世界中で2000年以来47パーセント死亡率が下がりました。

三つ目は、最新の結核テスト(GeneXpert)で使うカートリッジの価格を145か国対象に40%下げる取り決めをしました。これはUSAIDとビル&メリンダ・ゲイツ財団と共に行いました。これは世界中で2年間に7000万ドルの節約になり、薬剤耐性の結核患者を見つけだすことについては年間30%増やすことができました。

Q: 新プロジェクトUNITLIFEについて教えてください。どのようなものなのでしょう。準備はどの段階にあるのでしょうか。

A:今世界では8億7000万人が栄養失調にかかり、アフリカ大陸の30%近くの子供たちが慢性的栄養不良でそのため学校でも勉強が遅れ、ひどい成長の阻害に至っています。私たちはこのスキャンダルに立ち向かわなければなりません。

私たちは何世代にもわたって多くの命を奪い、社会を不安定にし、アフリカを中心に多くの国を痛めつけているという天の仕業に直面しています。だからこそ良い結果をもたらす助け合いの手を差し伸べる義務があります。これがUNITLIFEを始動したい理由です。

UNILIFEは単純な原理に基づいています:アフリカで採掘された資源からもたらされる巨大な富、そのほんの僅かな一部を栄養不良への対策に割り当てます。こうした方法で助け合いのグローバリゼーションが経済のグローバリゼーションと一対となるのです。今のところアフリカ6か国の元首がこうした原理を受け入れています。UNITAIDがWHOに主催されているように、UNITLIFEはUNICEFに主催されることになります。

Q: 欧州11か国で今後実施されるFTTが有益で効果的となるためにはどうあるべきでしょうか。例えばフランスやイギリスのFTTの例をどのように評価されますか。

A: フランスとイタリアのFTTには実にガッカリしています。規制という意味でも収入という意味でも期待を満たしていません。フランスとイタリアの政府は自国の金融セクターの防御しか考えていなかったのでしょう。

課税控除が設定されていて、投機的取引には課税できないようになっています。デリバティブ、マーケットメーカー、イントラデイと超高速取引は二つのモデルは課税できないのです。それらがもっとも危険であるにも関わらず。

FTTがほとんどの財源に課税するものであるなら、それらの手段に課税することです。同じ理由で、外国株には適用されない欧州FTTにも非常にガッカリです。金融セクターの反応にびくびくする代わりに、11か国の政治リーダーは本当の意欲を示して広い範囲で、逃げ道のない強いFTTをデザインするべきです。

Q: この税で集められた資金の一定の割合が開発に使われることをどのように確認するのでしょうか。

A: フランスFTTの17%がすでに気候とパンデミックに割り当てられています。オランド大統領は欧州FTTの一部も同じように割り当てられるだろうと言っています。率が多くなるように祈りましょう。

「スペイン」のマリアーノ・ラホイ首相もまた収入の一部を国際連帯に充てると約束していますが、今のところ発表されているのはその二つのみです。11か国でどうなるか楽しみです。

各国トップらは国際連帯への共同割り当てについていずれも態度を表明しています。FTTの収入をグローバルファンド、WHO、グリーン・ファンドなどの多国間基金に資金提供すれば、集められたお金が実際に開発に使われていることを確認できる最良の方法でしょう。

そして今日、地中海を渡ろうとしている何千何万という移民の人々がいます。地中海は世界でいちばん大きな墓場になっています。私は貧しい国から豊かな国への大量移民を解決する唯一の方法は、私たちが国際公共財と呼ぶ食料、飲み水、必須医薬品、教育、衛生をすべての人類に供給することだと信じています。

編集: Kitty Stapp

原文:
http://www.ipsnews.net/2015/07/qa-if-we-dont-close-the-poverty-gap-the-21st-century-will-end-in-extreme-violence/ 

翻訳:ユニットエイド国内広報  仲澤美保子

◆ロゴは、第3回開発資金国際会議のロゴ

(田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2015年06月10日

グローバル連帯税勉強会

6月8日(月)、グローバル連帯税フォーラム主催による勉強会「グローバル連帯税を知ろう!〜国連での議論と意義について〜」が、日本リザルツの会議室で行われました。講師はグローバル連帯税フォーラムの田中徹二代表理事と、横浜市立大学の上村雄彦教授です。

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このグローバル連帯税は、前回の記事でも紹介したミレニアム開発目標(MDGs)達成のため、2002年に国連開発資金国際会議で導入が検討されたのが始まりです。

グローバル連帯税の種類としては、投機目的の取引を抑制するための「通貨取引税」、温暖化対策のための「地球炭素税」、感染症(特に我々リザルツが取り組んでいる結核)の治療へのアクセスを高めるための「航空券連帯税」、ユニークなものでは、世界平和を目的とした「武器取引税」などがあります。

税収の使途は様々ですが「地球的規模問題の解決のため、税収をグローバルに再分配する」という点では共通しています。現在ではフランスをはじめ、チリやカメルーン、韓国など多くの国で導入されていますが、日本で導入の目途は立っていません。

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グローバル連帯税フォーラムの田中徹二理事長

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横浜市立大学の上村雄彦教授

勉強会では、これまでのグローバル連帯税に関わる歴史、国連で行われてきた議論を振り返り、日本政府へどのように提案していくべきかという今後の取組みについてお話がありました。

お二人の講演後は活発な議論が行われ、航空連帯税に関しては「プライベートジェットなどを利用している本当の富裕層からはお金を取らず、結局中間層からの搾取になってしまうのではないか」といった厳しい意見も飛び出しました。

新たな税制を導入しようとすると、関連する様々な業界から反対の声が上がることは不可避で、決してその道のりは容易ではありません。しかし、来年G7で議長国を務めるなど、世界から日本に対する期待が高まっている今だからこそ、地球規模の課題解決のために日本政府には思い切った決断をしてほしいものです。
(大崎)
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