2017年11月12日

本日(12日)のNHKスペシャルで「パラダイス文書」の特集番組

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本日のNHKスペシャルで『追跡 パラダイスペーパー 疑惑の資産隠しを暴け』が放映されます。どうぞお見逃しなく。

◎11月12日 NHKテレビ総合 午後9時00分〜9時49分

11月上旬、世界に衝撃が走った。アメリカのウィルバー・ロス商務長官による新たなロシア疑惑、F1界のスーパースター、ルイス・ハミルトンによる巨額の税逃れの疑惑。世界各国の指導者や富裕層が、不透明な資産運用や税逃れを行っている実態が浮かび上がってきたのだ。

きっかけとなったのは、「パラダイスペーパー」と名付けられた文書。バミューダ諸島の法律事務所などから流出した膨大な内部資料で、去年「パナマ文書」報道を手がけたICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が新たに入手した。NHKはパラダイスペーパーを各国のメディアと共同で分析。

一握りの権力者や富裕層たちが、国境をまたいで税率の低いタックスヘイブンに金を動かし、払うべき税金を逃たり巧妙に資産を隠したりする現実が見えてきた。楽園と呼ばれる島々から流出した権力者たちの不都合な真実。パラダイスペーパーを徹底追跡する。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2017年11月09日

全国会議員へNL配布「出国税、使途に地球規模課題を含めよ」

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今年の夏、突然観光資源整備のための財源として「出国税」構想が浮上し、官邸の強い意向もあり実現の可能性が高まっています。このことに対し、私たちは「出国税の使途に地球規模課題を含めるべき」として、昨日全国会議員に対してニュースレター『g-tax News Letter 国際連帯・貢献税』を配布しました。

この出国税ですが、実は「受益と負担」の関係を見れば大幅に乖離していることが分かります。

◎受益する人(観光目的の訪日外国人):1990万人
◎受益しない人(出国日本人@+商用目的の訪日外国人A):2110万人
※@1700万人、A410万人  (⇒数字は2016年)

そこで観光庁の検討委員会では、使途を観光資源関係だけをとするのではなく、出入国の管理体制の強化や空港整備等も加えています。しかし、課税ポイントが出国という領土主権外のサービス提供に対してですので、税収による使途は一国の一部門のみに使用すべきではなく、国際社会での普遍的課題に(感染症問題や気候変動問題など地球規模課題に)使用すべきです。

そういう立場から、ニュースレターでは、グローバル連帯税的要素も入れた出国税として制度設計すべき、と提案しています。今後国際連帯税創設を求める議員連盟とも連携しつつ、地球規模課題の財源を得るために活動していきます。

◆ニュースレターはこちらでお読みください ⇒ PDF

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2017年10月29日

出国税:貴重な税収を一国の一部セクター(だけ)に使用すべきではない

各メディアからの報道によれば、観光資源の財源確保のための「出国税」が2018年度税制改正大綱に盛り込まれる方向性となったようです。訪日外国人ならびに出国日本人など国際線航空機利用者やクルーズ船利用者から「1人1000円の徴収」が有力案のようです。そもそもこの税制は「政府内などで制度の是非を巡る十分な議論も経ないまま唐突に浮上した」(10月27日付日本経済新聞)という経緯がありますが、航空券連帯税との関係で問題点・今後の対応などを探ります。

●領土外の消費行為への課税は地球規模課題の対策に(グローバル化の負の影響も考慮し)

私たちは航空券連帯税を求めていますが、もし国際線航空機利用を含む出国税を実施するなら、その税収を観光資源の確保(だけ)に使用するのではなく、世界の貧困や気候変動等のグローバルな課題に使用すべきと提言してきました。

というのは、これまで国際線利用者に消費税が免除されてきたのは、自国の領土外の消費行為であるためであり、その性格からして税収を自国の課題のみの使うべきではないのです。こうした考えは租税法のオーソリティーである金子宏東京大学名誉教授が1990年代から提唱していたものです(『人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で』日経新聞 2006年8月6日)。

それだけでなく、今日国際的な航空網の発達というグローバル化に伴って負の影響が生じており、航空機利用者は一定コストを負担する必要性があります。負の影響とは感染症の地球規模の拡大や温室効果ガスの排出増などで、その対策費用の一部を払っていただくことです。

ともあれ、新しい税収による貴重な財源は、一国の観光という一部セクターのみに使うことは避けるべきと考えます。

●観光のための財源は実は余っている!?

ところで、今回の出国税構想は観光資源のための財源を確保することですが、実はその財源は十分に足りているという指摘があちこちからなされています。

「観光庁を所管する国土交通省は、18年度の公共事業の関連予算で前年度比16%増の6兆円強を要求。北海道局だけでも空港予算は160億円に上り、訪日客の受け入れ整備に使う。観光目的とあらば仏像修繕から国立公園の整備、税関強化などあらゆる分野に適用が可能で水ぶくれの恐れが高い」(10月27日付日経新聞)

(17年度観光庁予算210憶円、出国税税収予測410億円という金額を前提にして)「国家全体の観光関連予算は約3200億円ある。観光政策を推進する観光庁がこれら全体を統括できなければ、機能は発揮できない」と日本観光ホスピタリティ教育学会の鈴木勝会長が言っていますが、実は観光関係予算は観光庁を含む国土交通省や農林水産省、経済産業省関連にもあるというのです。

問題は観光行政の司令塔である観光庁のマネジメントがうまく発揮できていないところに問題がありそうです。

実際、税収の主たる使途先となる地方の観光地の関係者は、「…中部地方の観光地の自治体関係者は『もともと外国人観光客を受け入れるノウハウや人材が足りない市町村は、予算を有効に使えないのではないか』と話す」(9月16日付東京新聞)という状況です。

また、東北インアウトバウンド連合(仙台市)の西谷雷佐理事長は、「財源は必要なので否定はしないが、もっと有効な手法を探ってみるべきだ。世界的には行政に観光課がないのが一般的で、民間に委託されている。新しい税を徴収する前に、整理すべき予算や団体があるのではないか」(10月18日付河北新報)。

こうしたことから、「観光目的とあらば仏像修繕から国立公園の整備、税関強化などあらゆる分野に適用が可能で水ぶくれの恐れが高い」(同上日経新聞)とか「『観光立国』を名目に集めた税金が、地方の効果の薄い施策や公共事業に投じられる懸念も残っている」(同上東京新聞)という懸念が指摘されています。

●受益と負担の関係が大きく乖離:出国日本人1700万人に受益なし

10月13日菅義偉官房長官は記者会見で、出国税につき「受益と負担の適正なあり方を勘案し、増加する観光需要に高次元の対応を行う観点から具体的な検討を深めていく」と述べました。この税制で受益するのは主に観光を目当てとした訪日外国人客で、出国日本人はほとんど受益しません。ところが、この出国税は、訪日外国人はもとより出国日本人からも徴収することになります。出国する両者のうち、日本人は約42%を占めます(訪日外国人2400万人、出国日本人1710万人、2016年)。

また、訪日外国人のうちビジネス客は約20%を占めます(2015年)。したがって、400〜500万のビジネス客にも受益はありません。

これでは「受益と負担の適正なあり方」とは程遠いと言えるでしょう。

●地球規模の課題の財源も射程に、引き続き航空券連帯税も要求

繰り返しますが、私たちは貴重な出国税からの税収につき、一国の観光という一部セクターのみに使うことは避けるべきと考えます。そもそも観光資源のための財源は十分にあるようです(どうしてそれが有効に使われていないかの検証も必要でしょう)。従って、観光庁が観光地の地元・関係者ならびに他省庁と協働・協議を行いつつ、ありうべき観光インフラの整備等についてマネジメントしていくことが先決であるように思われます。

ところで、出国税が18年度税制改正大綱に盛られたとしても、実施するのは19年度のようです。したがって、私たちはその間、1)いぜんとしてその税金が公共事業の水ぶくれ・無駄遣いになるという懸念が強く出されていることに対し、観光庁の検討委員会は真摯に検討すべきである、2)出国税を実施するとしてもその税収を観光資源の財源にのみ使用すべきではなく、グローバルな課題についても使用すべき、3)(地球規模の課題に使用しないとすれば、引き続き)パンデミック等が心配される感染症対策等を目的とする航空券連帯税を実施すべき、ということを要求していきます。

3)につき、韓国では、観光目的のための出国税も航空券連帯税も実施していますので、十分実施が可能です。

<資料>
【日経新聞】出国税構想、見切り発車 受益・負担に見えづらさ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22801990X21C17A0EA4000/

【日経新聞】「出国税」は本当に要るのか
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO21753640Q7A930C1EA1000/ 

【朝日新聞】「出国税」千円、日本人も対象 政府方針、19年度から
http://www.asahi.com/articles/ASKBW6RF6KBWULFA031.html

【税制調査会・参考資料】人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で
http://www.cao.go.jp/zei-cho/history/2009-2012/gijiroku/senkoku/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/11/22/senkoku1kai7.pdf  

【訪日ビジネスアイ】観光庁の出国税「財源確保としては疑問」×「予算整理や法の整備を」
http://j.sankeibiz.jp/article/id=1818 

【河北新報】<衆院選 東北・経済人に聞く>論点(5完)観光 人材育成 時間も必要
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171018_72037.html 

【東京新聞】「出国税」新設を検討 外国人誘客、日本人も負担?
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201709/CK2017091602000138.html 

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)


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2017年09月17日

観光資源のためだけの出国税ではなく国際貢献と日本文化も加味する出国税を

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観光庁(国土交通省)は15日、国内の地方の観光施設整備などに使う財源を確保するための有識者検討委員会を開催しました。検討委員会には、次の3案が提示されたようです。「▽出入国者(出国税など)▽航空機利用者(航空旅客税など)▽宿泊施設の利用者(宿泊税など)」(毎日新聞)。が、観光庁側の意向としては、この間の観光庁長官発言にもあるように出国税にしたいようです。

が、問題のひとつとして、出国税を日本人からも徴収するのかどうかにあります。というのは、この税の受益者は訪日外国人観光客(以下、訪日客)であり、国際線利用の出国する日本人には恩恵が及びませんので、訪日客に対して課税するのが「受益と負担」の関係から言ってもっとも自然です。ところが、WTO・サービス貿易などでの「内外無差別原則」があるため、そのことは違反になってしまいます(つまり、出国日本人にも課税しなければならなくなります)。すると出国日本人に同税を理解してもらうことはやや厳しいと言わなければなりませんね。

ついでに、「受益と負担」の関係でいえば、訪日客ではないビジネス客も受益しないまま負担だけになってしまいます(数は圧倒的に少ないとはいえ)。

むしろ「宿泊税」や検討会では出ていないようですが「観光税」「駐車税」などの方がぴったり目的に適合すると思います。

このように「受益と負担」という観点から言えば、観光資源の財源確保のための出国税では課税根拠がやや弱いと言えます。従って、出国税の性格を、本来消費税が免税されているサービス(国際線利用)に税を課すということを勘案し、グローバルな課題に対処するための税として制度設計し直したらいかがでしょうか。つまり連帯税的要素を加えて、「国際貢献と日本文化・観光に関する出国税」(仮称)とすることです。

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2017年09月09日

18年度税制改正要望での「出国税」と「航空券連帯税」

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(1)国交省の18年度税制改正(新設)にいわゆる「出国税」を要望

先に外務省が18年度税制改正(新設)で引き続き「国際連帯(貢献)税」を要望したことをお知らせしましたが、国土交通省は『次世代の観光立国実現のための財源の検討』というきわめて漠然とした税制を要望しています(下記参照)。この財源ですが、マスコミでも報道されていますように、いわゆる「出国税」であることは間違いありません。

「出国税」とすれば、日本から飛行機や船舶で出国する人たちの運賃(航空券や船舶券)に税を課すことになります。飛行機ですと国際線を利用する人が税を払うことになりますが、この仕組みは航空券連帯税と同じです。

(2)国交省は航空券連帯税に反対していながら、出国税を要望するのはおかしくないか?

国交省は航空業界とともに、この間ずっと航空券連帯税に反対してきました。その理由は、「観光立国として頑張ろうとしているのに、航空券に税がかかると観光客が減少してしまう」というものでした。ところが、出国税もやはり航空券に税がかかることになりますので、本来なら反対となるはずですが。航空券連帯税だと観光客は減るが、出国税だと観光客は減らないとでもいうのでしょうか。まったくのご都合主義といえるでしょう。

(3)出国税は誰に課税するのか? 受益と負担の関係は?

この国交省の要望は、漠としていて具体的な税目も課税方法も税収もいっさい書かれていませんが、メディア報道等によれば、航空機や船で出国する旅行者をターゲットにした出国税を想定しています。

そこでまず課税対象の問題が起きますが、要望では「観光立国の受益者の負担による」と書かれています。しかし、「観光立国の受益者」とは誰なのか? よく分からない定義ですが、報道などを読むとどうやら訪日する外国人観光客のようです。したがって、課税対象は外国人観光客となります。

するといろいろな問題が起きます。ひとつは、出国日本人の扱いです。受益者定義からすれば、出国日本人は課税対象にはならないはずですが、@徴税システムが煩雑になる、AWTOサービス貿易に違反する、という問題が起きそうです。@例えば同じJALの飛行機に乗っても、税を払う人(外国人)と払わない人(日本人)が出てきますので、JAL側は分けて税務当局に報告・納入しなければなりません。また、AはWTO違反「運送サービスの越境取引での差別」の問題(注)につながってくると思います。したがって、外国(の政府や航空会社・旅行者)から相当反発されるのではないでしょうか。

(注)「サービスの貿易」とは何か 

実際、出国税のある香港やオーストラリアでは「課税対象:香港(オーストラリア)から出発する旅客」となっており、外国人と内国人を区別していません。

さらに、要望内容では「受益と負担の適正なあり方…を勘案しつつ」と言っていますが、次のようなフリーライダーが現われてきます。つまり、負担しないが受益する人たちです。国内の日本人旅行者や日本人相手の国内旅行業者、それと土産物屋やホテル業など観光地の地元、などです。

(4)観光資源だけでなく、グローバルな課題を包含した「出国税」を

国交省が出国税を要望するということは、これまで「航空券税のような税制は観光立国を目指すという政策に逆行する、観光客が減少する」と言ってきたことを翻した、ということを意味します。しかし。観光資源の財政のための出国税というだけでは、上記のような受益と負担問題もあり、きわめて課税根拠が弱いと言えます。

本来、出国税であろうが航空券連帯税であろうが、日本政府の課税権が及ばない(したがって、一般消費税が課せられない)国際線航空へ課税することになり、その行為は日本政府が超国家の肩代わりとして行うことになるという性格を持ちます。それ故に、税収も日本国内の政策の財源にするのではなく、超国家的(グローバルな)課題の財源にすべき、というのが「航空運賃への国際人道税」を提唱した金子宏・東京大学名誉教授でした(注)。

(注)「人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で」(日本経済新聞) 

実際、グローバルな課題は、貧困・飢餓、感染症、テロや難民、気候変動等枚挙にいとまがなく、したがってその財源もいくらあってもありすぎることはありません(というか、圧倒的に不足している)。

以上から、出国税もグローバルな課題の財源とすることも内包しつつ(とくに航空網など国際交通の発達は感染症のパンデミック的拡大の危険性がありそれへの対処が求められている)、観光資源のための財源としても考慮する、ということも考えられるのではないでしょうか。これを一言でいえば、「国際貢献と日本文化・観光に関する出国税」の創出となりましょうか。


平成30年度税制改正要望(国土交通省)】

◎制度名:次世代の観光立国実現のための財源の検討 (新設)

◎要望の内容:
増加する観光需要に対して高次元で観光施策を実行するために必要となる国の財源の確保策について、受益と負担の適正なあり方や訪日旅行需要への影響を勘案しつつ、諸外国の取組も参考に検討を行う。

以下、省略

(報告:田中徹二・国際連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

posted by resultsjp at 00:28| Comment(4) | 国際連帯税の推進