2024年11月18日

COP29:グローバル連帯税で数千億ドル創出可能との訴え>ミア・モトリー首相

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今月11日からアゼルバイジャンのバクーで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)が開催されました。最大の焦点は、条約が拠出を義務付ける先進国から途上国への対策資金の増額です。これまで2020年までに年間約1000億ドルを拠出し、2025年まで継続することになっていますが、25年以降の支援のあり方、つまり気候資金に関する新規合同数値目標(Finance and The New Collective Quantified Goal on Climate Finance)を決定することになっています。(もう一つの焦点は、パリ協定に基づく国別の温室効果ガス削減目標(NDC)の引き上げですが、ここでは省略)


グローバル連帯税タスクフォースと日本政府の動向


このことにつき、先進国側は具体的な提案を行っていませんが、途上国側は年間1兆ドル以上という提案をしています(G77+中国は1.3兆ドル)。が、先進国側は1000億ドルでさえようやく拠出している現在、もう一桁上げるのは容易ではなく、交渉が難航することは必至の状況です。


そういう中で、「一部の指導者たちは、気候変動対策のための財源を充実させるための『革新的な』方法を模索し続けている。バルバドスのミア・モトリー首相は火曜日(12日)の演説で、海運会社、航空会社、債券、株式に課税し、化石燃料の採掘に課税すれば、数千億ドルの資金を調達できる可能性があると指摘した。フランス、スペイン、ケニア、セネガル、コロンビアを含む14カ国と欧州委員会、アフリカ連合は、『連帯税連合』を通じてこれらのアイデアをより具体化しようとしている」(1113日付Climate Home News)と伝えられています。


連帯税連合とは、既報の「開発・気候・自然のために国際課税に関するタスクフォース」改め、フランス、バルバドス、ケニアを共同議長とした「グローバル連帯税タスクフォース:人類と地球のために」(The Global Solidarity Levies Task Force: For People and the Planet)のことです。これも既報通り、同タスクフォース(以下、GSLTFと略)は昨年6月にパリで開催された「新グローバル金融協定サミット」を機として設立されたものですが、当フォーラム並びに国際連帯税創設を求める議員連盟はGSLTFに日本政府=外務省としても参加するように要請してきました(注1)。しかし、外務省は動きませんでした。


国際租税や気候ファイナンスの専門家など錚々たるメンバーでTF報告書作成

さて、モトリー首相の演説は、12日のGSLTF共同議長の国家元首または政府首脳会議の場で発したものですが、報告書「連帯を拡大する: グローバル連帯税の進捗(Scaling Solidarity: Progress on Global Solidarity Levies)」(注2)の内容を述べたものです。まずこの報告書を作成した専門家や国際機関のメンバーを見ますと、国際租税や気候ファイナンスの専門家など、実に錚々たる顔ぶれが並んでいます。


OECD租税政策・行政センター前所長のパスカル・サンタマン(OECDBEPSプロジェクトの責任者であった)、国連租税条約特別委員会議長のラミー・モハマド(現在最もホットな国際租税問題を主導している)、アフリカ租税行政フォーラム事務局長のLogan Wort(アフリカでのIllicit Financial Flows対策を主導)、気候ファイナンスに関するハイレベル専門家グループ共同議長のVera Songweなど(敬称略)。


◎連帯税のオプションを見てみましょう。


1)航空税:検討されている政策オプションには、灯油燃料税(プライベートジェット燃


料の協調課税を含む)や、高級航空券や頻繁な飛行機利用者への航空券課税など


2)化石燃料課税:化石燃料の採掘、臨時利益、多国籍企業の最低法人税率の引き上げなど


3)金融取引税:選択肢には、株式0.1%、債券0.1%、デリバティブ0.01%の税率を想定


4)海上輸送課税:「well-to-wake」課税(燃料を生産し、輸送し、船上で使用するまでのプロセス全体と、そこで発生するすべての排出物への課税)をベースとする


5)プラスチック生産課税:一次ポリマー生産に対する課税


6)暗号通貨課税:暗号通貨マイニングのエネルギー需要が高いことを考慮し課税


7)超富裕層個人への課税:億万長者に対する協調的な最低2%の課税


※ TFは当面1)〜4)をメイン課税分野とし、5)〜7)をさらに検討していくようです。なお、詳しい分析については、今後のメールで報告しますが、オピニオン電子メディアProject Syndicateでも、Emmanuel MacronMia Amor Mottley, and William Rutoの連名で“The Case for Solidarity Levies”というテーマで寄稿されています(注3)。


いずれにせよ日本政府を含む先進国側は、財政がたいへん厳しい中にあって、グローバル連帯税を真剣に検討していかなければならないでしょう。


(注1)国際連帯税議連、上川外務大臣要請を行う>国際課税TF参加を要望


    http://isl-forum.jp/archives/4195


(注2)Scaling Solidarity: Progress on Global Solidarity Levies


https://globalsolidaritylevies.org/app/uploads/2024/11/GSLTF-Scaling-Solidarity-Progress-on-Global-Solidarity-Levies-report.pdf


(注3)The Case for Solidarity Levies

※イラストは、Project Syndicateより
(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2024年11月09日

財務省への質問:BEPS包摂的枠組、DST課税、国際租税枠組条約について

11783回財務省・NGO定期協議(*)で、当フォーラムは、3項目につき質問を出しました。詳細は下記提出文書を見ていただきますが、まず骨子を述べます。


【質問骨子&足下でのアマゾン等巨大IT企業の租税回避】


BEPS包摂的枠組みの「市場国への新たな課税権の配分」(柱1)につき、今後実施できる可能性は厳しいものがある。実施が伸びれば伸びるほど米国等の巨大IT企業からの法人税を徴税できないか、または過少納税となっている現状を放置することになる。


〇 これは税制上の不公正、ビジネス上の不平等を継続することになり、これを是正するためにデジタルサービス課税(DST)を準備すべきではないか。実際、アマゾン・ドットコムは日本で36663億円も売り上げており(2023年)、過少納税のまま。他のIT企業も同様である。


グローバル化・デジタル化経済における包括的でSDGs理念に相応しいグローバル税制を確立するためにも、またDST実施への米国からの制裁関税を回避するためにも、日本政府は国際租税枠組条約を推進すべきではないか。今後行われる国連総会での付託事項草案の採決に賛同し、議論をけん引すべきである。



【財務省への質問文書】


テーマ:BEPS包摂的枠組み(IF)における柱1と柱2の進行状況、デジタルサービス課税の新設、国連国際租税協力に関する枠組条約について


1)BEPS包摂的枠組み(IF)における柱1と柱2の進行状況等についての質問

1の「市場国への新たな課税権の配分」については、20246月までに多数国間条約の署名、2025年発効という予定でしたが延期されています。今後の展望をどう見ていますでしょうか。


2の「グローバル・ミニマム課税」については、我が国でも2023年度税制改正で法制化され、本年4月以降より適用されていますが、今年度の税収はいくらほどになるでしょうか。また、その税収は海外でビズネスを展開している多国籍企業からの税収となりますので、税収の一部をSDGs達成のための革新的資金源として徴収できませんでしょうか。


2)デジタルサービス課税の新設についての質問

これは上記IFの柱1との関連となりますが、もし多数国間条約が不成立となった場合、次の国際交渉−合意までにかなりの時間を要することが予想されます。そうなれば日本においてビジネス展開する米国等の巨大IT企業からの税金が徴収できないか、過少にしか徴収できない状況が続き、これは「価値創造の場で税金を払うべき」というBEPSプロジェクトの原則に反することであり、ビジネス上での公平な競争を妨げるものです。


従って、日本政府としては欧州各国やインド他多数の国が実施している(実施を準備している)デジタルサービス課税を準備し、早期に実施すべきではないでしょうか。また、この税も海外でビズネスを展開している多国籍企業からの税収となりますので、税収の一部をSDGs達成のための革新的資金源として徴収すべきではないでしょうか。


3)国連国際租税協力に関する枠組条約についての質問

BEPSプロジェクト、就中上記IF100年ぶりの国際課税制度の改変という画期的内容を含むものでしたが、これを主導してきたOECD(経済協力開発機構)プロセスでは行き詰まっています。これに対し、途上国側からは国連を軸とした国際租税制度を構築すべきとして、「国際租税協力に関する枠組条約」をめざす動きが起き、昨年国際租税協力枠組条約ToR起草特別委員会が組織されました。そして、先の816ToR案が採決され、賛成110、反対8、棄権44で可決されました。この反対8の中に日本が含まれ、財務省主税局総務課主税企画官の原田浩気さんが反対意見を述べています。また、棄権44にはEU加盟国(OECD加盟国でもある)が多く含まれていますが、9月の国連未来サミット並びに一般討論演説においてノルウェー政府首相が建設的に取り組むと発言しています。


今後の予定ですが、国連総会において年内に「付託事項」が決定し、同条約および議定書の交渉委員会を支える事務局の設置が決まり、2025年から2027年にかけて同条約および議定書の中身が議論されていきます。


そこで質問です。日本政府は、@未来サミットの『未来のための協定』で謳われている「国際租税枠組条約策定プロセスに建設的に関与する」という提言、A先の1023-24日開催されたG20 財務大臣・中央銀行総裁会議での「国連における、国際租税協力に関する国連枠組条約とその議定書の策定に関する建設的な議論を引き続き奨励する」という声明に逆行して、年内に開催される「付託事項」案件に関する国連総会で再び三たび反対の立場を表明するのでしょうか。むしろ日本政府においては、OECD/BEPSプロジェクトをけん引してきたという経緯を踏まえ、国連における議論につき積極的に前に進める役割を担うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。


*)財務省・NGO定期協議は「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が事務局を担い、1997年から開催され、27年目の今回で83回を数えています。詳細は、次のJACSESwebサイトをご覧ください。http://jacses.org/mofngo/


(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2024年10月02日

【資料&解説】セミナー「採択された国際租税枠組条約の草案:意義と今後」

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9月24日g-taxセミナ−A「採択された国際租税枠組条約の草案:その意義と今後のステップ」は、講師に青葉博雄・CNEO(Center for New Economic Order)代表を迎え、30人が参加しました。

■ セミナーで使われた資料

この時に使われた資料、1)国際租税協力枠組み条約を巡る交渉の状況、2)国連国際租税協力枠組み条約への付託事事項(TOR)議長草案(邦訳)を送ります。

※ 資料類はこちらをご覧ください: http://isl-forum.jp/archives/4379 

■ セミナーでの質疑を踏まえた青葉さんのコメントと解説

また、青葉さんの報告の後、質疑を行いましたが、この質疑を踏まえ、あらためて青葉さんから、1)国連審議での日本政府の役割、2)IFF(不正な資金の流れ)への取り組み、3)来年の「第4回開発資金国際会議」に向けて、というコメントと解説が寄せられましたのでお送りします。


《青葉博雄さんのコメントと解説》

1. 国際租税枠組条約および関連議定書に関する国連での審議における日本政府の役割について

国際課税原則の見直しに向け、OECDは租税委員会の下、2012年に「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクト」を立ち上げました。この議論の大枠を纏めたのが、当時の委員会の議長、財務省の浅川雅嗣財務官(当時)でした。その後、2018年に同プロジェクトのフォローアップとして、「デジタル化に伴う課税上の課題−中間報告書2018」を発表、「BEPSに関する包摂的枠組み」における交渉を経て、2021年10月に合意に至りました。

その後、発展途上国を中心に課税権への再配分が不十分であるとの認識が広がり、アフリカ諸国を中心とする発展途上国から国際課税改革における議論の場を国連に移す提案が出され、国連は「国際租税枠組み条約」の交渉開始を決定しました。8月まで開催された「国際租税枠組条約付託事項に関する政府間特別委員会」において、日本政府は「OECD/G20包括的枠組み」の下での合意事項見直しに繋がる動きに終始反対の立場を取ってきました。

現在開催されている国連総会において年内に「付託事項」が決定し、同条約および議定書の交渉委員会を支える事務局の設置が決まります。そして、来年早々に条約交渉委員会に置ける議論が始まる見通しです。私は、日本政府に対し、「OECD/G20包括的枠組み」における合意に固執することなく、国際課税改革に関する豊富な知見を活かし、国連における議論において(ブレーキ役を果たすのではなく、)積極的に前に進める役割を担うことを求めていきたいと考えております。

2. IFF(不正な資金の流れ)への取り組み

今回のセミナーの中でIFFへの取り組みに関する有意義な意見交換がありました。現在、国際社会はIFFに対する取り組みとして次のようなことを行っております。(注:ここでのIFFには租税回避も含むとします。)

  1. 資金洗浄・テロ資金供与に対処を目的とするする「金融活動作業部会(FATF)」による取り組み
  2. 匿名の法的組織の真の所有者および金融口座情報の自動交換などを通しての租税回避対策を図るための、「 税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラム」による取り組み
  3. 「税源浸食と利益移転(BEPS)」に対するOECDを中心とする取り組み
  4. 透明性があり責任ある資源管理を目指す、「採取産業透明性イニシアティブ(EITI)」による取り組み

今回の政府間特別委員会における審議において、2つ目の初期議定書のテーマの候補の一つとして「税に関係する不正な資金の流れ」が挙げられています。よって、2に関しては国際租税枠組条約および関連する議定書の対象となり得ると考えられますが、先ず既存の取り組みの強化が求められるものと思います。次に1の「資金洗浄・テロ資金供与への対処」についてですが、国際的税務取り決めによって対応が図られるものではなく、刑事案件としての取り締まりが中心となると考えます。

3.「第4回開発資金国際会議」に向けて

来年6月にスペインにおいて、第4回開発資金国際会議(Ffd4)が開催されます。既に私が入っているFfDに関する国際的市民社会グループにおいても、国連のプロセスへのインプットの準備が始まっております。過去の開発資金国際会議において、SDGs実現に資する国内資金動員(DRM:Domestic Resource Mobilization)の増大を図る方策の一つとして国際課税改革の重要性が強調されてきました。詳しくは『国際人権ひろば(2022年03月発行号』に掲載された拙論をご参照ください。開発資金国際会議における議論の行方も注視する必要があると考えます。



※写真は、国連一般討論で演説するナイジェリア副大統領のカシム・シェティマ 氏(9月25日)
 ⇒国際租税枠組条約の必要性を訴える

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2024年09月18日

「アフリカから西側へのタックスヘイブンを経由した不正な資金流出の問題」とは?

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国際租税枠組み条約に関する特別委による付託事項(ToR)議論で、Illicit Financial Flows(IFFs:不正な資金の流れ)問題についても、アフリカなど途上国からコメント(公約)として挙げよという強い要望がありながらも、先進国などから「普遍的な定義がない」として、コメントから削除するよう主張した、とのこと(注1)。 

とはいえ、IFFsについては国連側で定義しており、最終案にも「枠組み条約のコミットメント」(第10パラ)に、「二つ目の議定書の選択肢」(第16パラ)にIFFsがしっかり盛り込まれています。

■ アフリカでのIFFsの実態>「先進国が腐敗行為に関与し利益を得てきた」

アフリカから不正な資金流出(多国籍企業等の移転価格、汚職、犯罪などによる)が年間900億ドルにも上るというのが国連・UNCTADの推計です。一方、アフリカへのODA供与総額は2022年で620億ドルです。これではいくら貧困や気候危機に対して援助しても、穴だらけのバケツで水を汲んでいるように、まったく有効な支援になりません。

こうした現状につき、ナイジェリアの鉱業相や世界銀行副総裁を歴任したオビアゲリ・エゼクウェシリさんは日本経済新聞のインタビューに答えて、次のように述べています(注2)。要旨を簡潔にまとめます。

「アフリカが伝統的に腐敗しやすいという欧米の議論は間違っている。先進国が世界中の途上国の腐敗を助長する影響力を行使してきた。腐敗には供給側と需要側があり、先進国の多くの国がアフリカの腐敗行為に関与して利益を得てきた。

アフリカから西側へのタックスヘイブン(租税回避地)を経由した不正な資金流出の問題がある。国連の報告書によれば、約890億ドル(約13兆円)の不正な資金がアフリカから流出し、先進各国に流れ込んでいる。それは先進国がアフリカに拠出している開発援助や海外直接投資よりはるかに多い」

以上ですが、今日気候変動やグローバルな格差への対処など地球規模の課題として「国際租税協力」があり、これはグローバルガバナンスの強力な武器になることは間違いありません。

              
※写真は、オビアゲリ・エゼクウェシリ元世界銀行副総裁

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2024年09月05日

【ご案内】セミナー「採択された国際租税枠組み条約の草案:その意義と今後のステップ」

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国際租税枠組み条約問題の<g-taxセミナー>の第2弾を行います。ふるってご参加ください。


〜法的拘束力のある枠組み条約と2つの議定書の交渉へ!〜

採択された国際租税枠組み条約の草案:その意義と今後のステップ


◎日 時:2024924日(火)午後7時〜830

◎場 所:Zoomで開催

◎参加申込:

  希望者は次のアドレスに「g-taxAセミナー参加」、並びにお名前、所属(あれば)を明記の上申込み下さい。 gtaxftt@gmail.com(担当:田中) 

    ⇒参加希望者に、後ほどZoomリンクを送ります。 ※ 無名の申込みはお断りします。  

◎参加費:無料

◎提案者:青葉博雄・CNEO(Center for New Economic Order)代表、GATJGlobal Alliance

for Tax Justice)世界委員会アジア代表


既報通り、816政府間特別委員会による「国際租税協力に関する国連枠組み条約の付託事項の草案」*賛成110カ国、棄権44カ国、反対8カ国という圧倒的多数で採択されました。この結果、国連は2027年末の間までに、法的拘束力のある国連租税枠組み条約と2つの議定書を交渉していくことになりました。


前回のセミナーで、「枠組み条約の形成過程」と「枠組み条約を巡る交渉の状況」について学びました(**)。今回その続きとして、付託事項草案採択の意義について、青葉さんより国際的な議論を踏まえて報告してもらいます。また、採択に反対した8カ国のうちに日本も入っていますが、BEPS税源浸食と利益移転)プロジェクトをけん引してきた日本はむしろ率先して枠組み条約策定プロセスに関わっていくべきではないか、ということで対策を立てていきたいと思います。


いずれにせよ、国際租税ルールは、抜け穴だらけの非常に非効率なグローバル税制のままであり、世界の富裕層や大企業がタックスヘイブンを利用して税金逃れを、またアフリカ等途上国においては違法な資金流出を可能にしています。グローバルでデジタル化された経済下にあって、そのことに相応しい総合的で公正かつ効率的な国際租税制度が必要なことは言うまでもありません。


*Chair’s Proposal for Draft Terms of Reference for a United Nations Framework Convention on International Tax Cooperation

https://financing.desa.un.org/sites/default/files/2024-08/Chair%27s%20proposal%20draft%20ToR_L.4_15%20Aug%202024____.pdf

**http://isl-forum.jp/archives/4318  


【国連租税枠組み条約の付託事項草案の概要(枠組み条約と2つの議定書)】


◎ 国連租税枠組み条約

<原則>

 a)普遍的アプローチと開発途上国等のニーズの考慮、b)加盟国の租税主権の承認、c)国際人権法との整合性、d)持続可能な開発の視点、など。

<具体案>

 a)多国籍企業への公平な課税、b)富裕層への課税、c) 持続可能な開発の達成に貢献するアプローチ、d) 透明性及び情報交換を含む相互行政支援、e) 不正な資金の流れ、租税回避、脱税及び有害な税慣行への対処、f) 租税紛争の効果的な予防及び解決


◎ 2つの議定書

*一つ目の議定書

 デジタル化とグローバル化経済において、国境を越えて行う多国籍企業のビジネスへの課税

*二つ目の議定書(以下の優先分野から選択する)

 a)デジタル化経済への課税、b)不正な資金フローへの措置、c)租税紛争の予防と解決、d)富裕層による脱税と租税回避への対処と課税


写真は、付託事項草案に関する特別委で発言する市民社会代表(米国のNGOCenter for Economic and Social Rights HPより)


(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)


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