2014年04月17日

STAP細胞問題、ODA改革に思う。どこか似ている日本の議論の風景。

世上、最も注目されていることと言えば、STAP細胞の論文問題でしょうか。
STAP細胞を発見したとする論文を華やかに発表した小保方晴子さんが一転、涙を交えた会見を行い、続いて昨日催された指導役の記者会見は3時間に及ぶ反省、謝罪、釈明に終始したようです。

兎に角、各メディアの論調はすごい。まるで世間を騒がせた罪をどう贖うのかごときのトーンに驚かされますが、これはメディアの特質というよりその後ろにある日本の読者や視聴者がこのような視線で見つめているからなのでしょうか。

科学者として未熟であったことは本人も認めるところです。お騒がせしちゃったことはどうしようもないことなのでしょうが、会見での様子を見ても、悪意をもって捏造したように感じられなかったというのは私だけでしょうか。科学者というプロフェッショナルの視点から、あきれるばかりの失敗なのかもしれませんが、あくまで手続き上のミスと言えなくもない。これがために研究の成果全てが、そしてそこに至るまで獲得したもの全ては否定され、彼女は退出しなければならないのでしょうか。

話は変わりますが、今、この沸騰をよそに静かに日本のODAの改革が進行しようとしています。2003年に改訂された新ODA大綱が現政権下で大きく見直されます。その内容には大きな懸念材料があります。何より軍事転用の度合いを強めようという色合いがちらついています。平和と他人への思いやりを具現すべき日本のODAが、国益という名のもとで誰かを苦しめることになるのは容認し難いことと言えましょう。更に言えば、これまで実態が見えにくいと批判が多く、実際の個々のプロジェクトによる貧困削減効果などを国民が検証しにくかったODAが今回を機により開かれていく可能性は極めて低い状況なのです。何よりこのODA改革は一度始まるや、すごい勢いで進んでおり、私達NGOが口を挟める可能性が極めて低いことが懸念に拍車を掛けます。

この二つは異なる世界の異なる出来事ですが、どこか似ています。最初から結論はありき、そして組織の事情優先で早い幕引きが行われようとされていること。その時に最も大切な論点、例えば日本発の革新的な研究を日本人として冷静に評価すること、日本の国民が預けた思いが正当に、適性に扱われ、途上国の政権ではなく国民に評価され恒久的な結び付く方法を冷静に考えることなど、手間がかかる議論は何処かの棚に置かれ、即効性ある結果がとにかく求められる。その際に未熟だったり、場にそぐわないことを言う人は指弾され、いつも幕合いには決まった人が集まり、劇は終焉する構えを見せている。

今、別の時と場所で、まさに夫々の劇は進行していますが、ともに日本人としての矜持が問われているのかもしれません。STAP細胞問題はこれからもかたずを呑んで見守るしかないですが、ODA改革は一遍のセリフしか与えられなくても劇中の人物として叫ぶことができればと思うようになりました。

毛布を受け取る女の子。
ODAはこの人達に惜しみなく降り注がれるべきものです。
その立ち直る姿に私達も勇気づけられ、その感謝の気持ちに私達も感謝の思いに包まれます。
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2014年03月20日

ODA 1/100キャンペーン

先週もご紹介しましたが、日本リザルツは今、「ODA 1/100キャンペーン」に取り組んでいます。
今年で60周年を迎えるODAですが、最近は先細り傾向で今や日本国予算全体の1%にも満たない状況です。

去る3月11日、パレスチナのガザで1000人の子供達が集まり、東日本大震災の犠牲者を悼み、凧揚げをしてくれました。狭い土地に住むパレスチナの子供達にとって凧は希望の象徴です。
2012年以降、3月のこの日に子供達は集まり、希望の凧を揚げます。今年で3回目です。

情けは人のためならず。私達が今、できること。それはせめて国の予算の1%(1兆円=国の予算の概算100兆円の1%)を世界で苦しんでいる人達に届けること。

というわけでこのキャンペーンのためにスタッフ総出で心を込めて衆議院、参議院の全議員の事務所をひとつひとつ説明して回ってきました。

今日のためにアフリカ日本協議会からはインターンの由井園さんが参加してくれました。
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最初は緊張した面持ちの由井園さんでしたが、この活動の意味をよく理解してから大胆に議員事務所に飛び込み熱心に説明してくれました。
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議員事務所の秘書の方達は、普段は政治の厳しい世界の中で生きているだけに峻厳な態度を崩さない人が多いのですが、若い学生が突如現れ、美しく純粋な目で説かれるとさすがに感じ入るのか、確りと聞いていただき、ほぼ全員の方が議員に必ず回すことを確約してくれました。
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という訳で全部回った後にすこし休憩。お疲れ様。
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眼下に見る国会議事堂。ぜひここで日本の世界への貢献についてもっと熱く討議してほしいものです。
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これからも多くの方達と一緒にこの運動を続けていきたいと思います。


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2014年02月20日

「それでも、私は憎まない」〜あるガザの医師が悲しみの果てに下した平和への決断

2月19日、中野ZERO小ホールにて、パレスチナ人の医師であるイゼルディン・アブエライシュさんが
来日された機会を捉え、記念講演「憎まない生き方」が開催されました。

講演には、諏訪中央病院名誉理事長でチェルノブイリやイラク支援で有名な鎌田實先生とともに、
国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏先生も出演されました。

イゼルディン・アブエライシュさんはガザ地区難民キャンプで生まれた、所謂パレスチナ難民でした。
家族は貧しく、児童労働に繋がれた生活という逆境を乗り越えて、海外留学して医師になります。
そして医療は二国間の架け橋になりうるとの信念のもと、長年、イスラエルの病院でイスラエル人患者の
治療に献身しました。
ところが、そんな彼に悲しい運命が訪れます。
愛する娘を三人もイスラエルの爆撃で殺され、しかも木端微塵になった無残な遺体を自ら発見するという、
それは想像を絶する過酷な体験でした。

愛する女性達(ひとたち)を突如、失って立ちすくみ、慟哭し、苦悶した果てに辿り着いたのは、
それでも彼はイスラエル人を憎まないということでした。

そして今回、彼の思いを記した本の日本語版が出版されました。
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講演でも彼は語ります。
愛する娘達は、イスラエルの人達を憎まず、平和を願っていた。
だから自分が彼女達の気持ちを受け継ぐことが、彼女達が最も望んでいることだ。
娘達の死は、世界の人達は勿論、イスラエルの人の目を対岸の苦しみへと見開かせた。
だから憎しみに身を任せない強い生き方が世界を変えていく。
平和の尊さを知る日本人がぜひ声を挙げて世界を変えてほしい。

会場に500人以上集まった参加者の魂を揺さぶる、素晴らしい内容でした。

残念ながらシンポジウムでの写真撮影はメディア限定でしたのでお伝えできませんが、
日本リザルツからは代表の白須以下4名が出席して、この深いお話しに接するとともに
出席した方々へ国連パレスチナ難民救済事業機関の活動に関心を持っていただくために
リーフレットを配りました。
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スタッフの新里は終了後、メディアのインタビューを受けました。
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今週よりリザルツオフィスに来ました、若松です。
医師の資格を持ち、アイルランドに拠点において世界を渡り歩く、志の高い女性です。
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リーフレットは人気がありました。講演前に忙しく立ち回る白須代表。
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ぜひ本をご一読下さい。
尚、今回の講演は、清田明宏先生が鎌田實先生にお会いした際にイゼルディンさんを紹介し
強く薦めたことに対して、鎌田先生が深く共感されたところから始まりました。

イゼルディンさんを日本に導いてくれた二人の医師に感謝いたします。
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2011年08月25日

世界銀行人間開発ネットワーク担当チーフ・エコノミストとの意見交換

今日、8月25日の午後に、世界銀行人間開発ネットワーク担当チーフ・エコノミストのアリエル・フィズバイン氏と少人数で世界銀行が行なっているインパクト評価(特に保健、教育分野を例として)に関しての意見交換が世界銀行東京事務所で行われた。日本リザルツからは狩野と石塚が出席し、他には東京大学大学院の澤田康幸准教授、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の黒田一雄教授、オックスファム・ジャパンの山田太雲氏が参加し、世界銀行東京事務所谷口所長と開氏の計8名で行われた。
世界銀行では従来からプロジェクトの評価を行っているが、プロジェクトの成果を図るために、より徹底的に評価行うものである。実験的手法(介入群と非介入群のランダム化比較試験など)を使用し、費用対効果などを図るものもある。このような評価により、プロジェクトが実際に成果を生んだか否かを,極力バイアスを排除した形で検証することができる為、この数年間で多くのプロジェクトで使われるようになってきた。
日本ではJICAも注目しており、当会に参加した澤田准教授と黒田教授はJICAでインパクト評価を導入する際に携わっていたらしい。
当会では、アリエル・フィズバイン氏が世界銀行でのインパクト評価導入への背景と現在における結果を紹介し、参加者からの質問を受けた。早稲田大学教授の黒田先生は、比較試験の方法に倫理をより深く吟味する必要があるのではないかと議論し、オックスファム・ジャパンの山田氏はインパクト評価をプロジェクトに導入するとことは、プロジェクトの成果の是非を検証でき、今後のプロジェクトや政策に反映できるのは良いものの、評価を行うこととは費用と時間ががかかることでもあり、そのバランスなど吟味する必要があることや、結果とするインディケーターの選択する際の政治的背景の影響などどうみなすか検討すべきであることを述べていた。

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2011年07月14日

セネガルの医療対策からみえるものは?

アフリカ西部のセネガル共和国の保健予防省の大臣官房技術顧問として、現地の公衆衛生や地域医療の待遇改善に尽くして来た林玲子さん(はやし・れいこ)を囲む研究会が13日東京都内で開催され、ここ数年改善傾向がみられる疾病対策や今後のグローバルヘルスの動向などについて参加者の関心が集まった。
この催しは、アフリカ地域をはじめとする支援事業を行っているミレニアム・プロミス・ジャパンが、アフリカの保健衛生の現状とグローバルヘルスの動向を広く知ってもらおうと企画したものでリザルツから白須事務局長はじめ3人が出席した。会場には公衆衛生や支援事業それに製薬業界の関係者20人あまりが集まった。林さんは2008年からセネガルで医療制度改善のための提言と現地指導にあたっていて、医師不足の中看護士が責任者となって運営され国内に1000か所にある「保健ポスト」、並びにその下部組織で2000か所にあるといわれる「保健小屋」と呼ばれる簡易医療施設の組織化と機能拡大への取り組みや、危険のないいわば人間的なお産を目指すJICAの「安全なお産プロジェクト」の実施状況が報告された。そして林さんからは、正確な数字の把握は未だ困難としながらも、ここ数年はWHOなど国連組織による「妊産婦死亡率」や「乳児死亡率」の数字は現地の標本調査の結果に基づく数字に比べて高く発表されてきた傾向がある一方で、結核の患者数が未だ把握出来ている状態でないこと、さらに死亡原因のトップが重症型マラリアや貧血に代わって高血圧や糖尿病などに起因するいわゆる成人病による疾患によるものが増えてきているという指摘があった。またここ数年は各国からの支援の内容が2002年の「世界基金」の設立などによって、90年代に広くいわれたエイズやマラリアなどのに対する現場での「対策の遅れ」にかかるものから、分野や疾病別に投資を呼び込んで現地への支援資金にあてる「グローバルヘルス」の分野にシフトする傾向があるという指摘もあり、変動激しい国際保健分野について今後さらに注視する必要があることが指摘され参加者の関心を高めた。

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熱弁をふるう林さん
posted by resultsjp at 08:02| Comment(3) | リサーチ&アドボカシー