2024年03月25日

抗菌薬の原薬製造再開に向けて

本日(325日)の読売新聞朝刊に「抗菌薬 脱中国依存へ 原薬確保 30年ぶり国産化政府支援」と大見出しで、国内の製薬企業が約30年ぶりに抗菌薬の原薬製造に向けた準備を進めているとの報道がなされました。


抗菌薬は、感染症の治療、手術時の感染予防に活用されるなど、現代の医療において重要な役割を果たしており、その安定供給確保は、極めて重要です。抗菌薬に限らず医療現場で広く使用されてきた医薬品が、製造上のトラブルや輸出禁止措置など様々な原因で、原薬や中間体の製造・輸入が行われず、供給が停止されることで、医療に支障を来たすおそれが生じます。


こうした観点から、厚生労働省は安定確保について特に配慮が必要とされる医薬品(以下「安定確保医薬品」という。) を選定しました。さらに2022年には政府として、経済安全保障の観点からも特定重要物資の安定供給確保の対応が必要ということで、抗菌薬(抗菌性物質製剤)がその対象として、財政的支援が開始されました。その流れを受けて、一部製薬企業が原薬製造に復帰したというわけです。


記事で指摘されていますが、抗菌薬の供給体制が不安定化した一因は、抗菌薬の開発、生産には相応のコストが掛かるのに対し、薬価が下落することでコストとの兼ね合いで収益性が厳しくなることが挙げられています。一部品目については薬価を引き上げるなどして製薬企業が安定的に収益を確保できるよう、持続可能にする仕組みづくりが必要との専門家のコメントが引用されています。


一方、抗菌薬は、経済的な供給面の問題の他に、薬剤耐性(AMR)を持った菌が次から次へと発生する問題があります。「細菌に使用する抗微生物薬を抗菌薬(抗生物質と呼ばれることもあります)といいます。抗菌薬が使用されると、抗菌薬の効く菌はいなくなり、AMRをもった細菌が生き残ります。その後、AMRをもった細菌は体内で増殖し、ヒトや動物、環境を通じて世間に広がります。抗菌薬の不適切な使用はこれを助長します。風邪など抗菌薬が効かない感染症には使用せず、本当に必要なときに限って使うことが大切です。」(出所:AMR臨床リファレンスセンターウェブサイト、https://amrcrc.ncgm.go.jp/020/010/index.html


新聞記事でも大曲貴夫国立国際医療研究センター・国際感染症センター長の言葉が紹介されています。「貴重な抗菌薬を長く使い続けられるように、風邪のときは抗菌薬を服用しないなど、適切な使用を心がけることも大事だ」。


大曲先生には、以前(20203月)にも、コロナ対策で多忙を極める中、日本リザルツのサンキューセミナーに講師として、AMR問題についてレクチャーしていただいたことがあります。


先生がその時も強調されていたのは、日本は、薬剤耐性・抗菌薬に関する正確な知識の保有比率が欧米各国に比較し低い(風邪にも抗菌薬が利くと考えがち)、AMR対策のポイントは抗菌薬の適正使用(風邪でむやみに抗菌薬を使わない)、国際的な協力が必要(AMRに国境はない)ことなどでした。そして、ご自分の責務としてこれらのAMR対策をやり遂げなければならない、と熱く語っておられました。


医薬品は、健康を守るための大切な武器なだけに、供給体制や使い方、いろいろな角度からの配慮が必要だ、ということが痛感させられます。

(のーびっひ)

posted by resultsjp at 18:20| Comment(1) | サンキューセミナー

2020年04月11日

薬剤耐性(AMR)への対応

 日本リザルツは、2020年3月27日(金)にNGOサンキューセミナー「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランのその先に」を実施しました。講師は、新型コロナウイルス対策でも大忙しの国立国際医療研究センター国際感染症センター長・大曲貴夫(おおまがりのりお)先生でした。
 さて、AMRへの対応として「抗菌剤の適正使用」と「国際的な取組」がキーワードになっているように、私は感じました。もちろん、「抗菌剤の適正使用」については簡単な話ではなく、まずは現状を知るところから始め、医療従事者のみではなく国民の行動変容を促すことも重要であるとのことでした。
 セミナー参加者からは、家畜用の餌の中にも抗菌薬が入っている時代であり、それが土に混ざって日本へ入ってきている可能性もあるのではないか、特に低中所得国について抗微生物剤の適正使用を徹底したところでその効果はどうなのかといった質問がありました。大曲先生によると、薬の使用と耐性菌の出現が明確にリンクしている薬というのは確かにあるようです。また、人間に対して使用する抗菌剤の中でも、注射用抗菌薬に分野を絞った「抗菌剤の適正使用」の具体的な取組が始まっているようです。また、人々の行動変容について、若者は既存のメディアに対する不信感を持っている、若者は自分の周りの人(両親も含めて)実際にその効果を経験した人の話によって動かされるといったコメントが参加者から寄せられました。

M

IMG_5511.JPG
posted by resultsjp at 16:50| Comment(1) | サンキューセミナー

2020年04月01日

新型コロナと薬剤耐性菌は無関係なのか

日本リザルツでは2020327日(金)にサンキューセミナー「薬剤耐性(AMR)対策 アクションプランのその先に」を実施しました。講師は、今、新型コロナ対策でテレビ出演等に大忙しの大曲貴夫先生(国際感染症センター長)でした。参加者は大曲先生の分かりやすい説明と気さくな人柄に魅了されました。


さて、セミナー前から当方が気になっていたのは、新型コロナと薬剤耐性菌は無関係なのかということです。やはり、つながりはあるようです。COVID-19ではとにかく肺が痛めつけられるようです。そこで、重症化した患者さんをエクモ(ECMO=体外式膜型人工肺)に23週間つないだり、人工呼吸器に4週間つなぐという事になります。そうなると、もともとそういった機器の衛生管理は簡単ではありませんので、気をつけていても何かが起こるようです。コロナウイルスと薬剤耐性菌の複合感染の可能性が出てきます。国によってはコロナでもかなりの割合の方は薬剤耐性菌によって亡くなっているのではと、大曲先生は仰っていました。


M

IMG_5511.JPG
IMG_5519.JPG
IMG_5527.JPG
IMG_5542.JPG
posted by resultsjp at 13:33| Comment(1) | サンキューセミナー

2020年03月11日

NGOサンキューセミナー

日本リザルツの活動に関係のあるテーマを毎回選んで開催しているサンキューセミナーですが、今回は薬剤耐性(AMR)をテーマに次の通り開催します(詳細は開催案内をご参照ください)。

スライド1.JPG





 日時:2020年3月27日(金) 18:00-20:00 ※参加無料
 場所:日本リザルツ会議室 
    千代田区霞が関3-6-14 三久ビルディング503
 題名:「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランのその先に」
 講師:国立国際医療研究センター病院 大曲貴夫博士








大曲博士は世界的に流行している新型コロナウイルスに関しても講演やTV出演などで専門家としてコメント等されており、今回のセミナーは博士から直接お話を聞くことができる貴重な機会と言えます。

お申込みはGoogleフォーム(https://forms.gle/K4gEFGunTG87LpoZA)にて、または
梅木(toshihide.umeki.results@gmail.com)まで次の内容をご連絡ください。
・電子メールアドレス
・お名前、ふりがな
・勤務先、役職名(あれば)
・電話番号(任意)

申込み期限:3月24日(火)午後5時 ※定員(50名)に達し次第締め切らせていただきます。

なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ご参加いただく方には次のことをお願いいたします。
・手洗いの励行にご配意ください
・受付にて、アルコール消毒液で手指消毒を行ってください
・なるべくマスクをご用意ください
・基礎疾患のある方、発熱等風邪様の症状がみられる場合はご参加を控えてください

UME
posted by resultsjp at 10:05| Comment(3) | サンキューセミナー

2019年07月08日

NGOサンキューセミナー

7月5日(金)に、日本リザルツの会議室でNGOサンキューセミナー「国際保健・理論と実務 〜抗生物質と人間、世界の保健政策〜」を開催しました。
今回は長崎大学の山本太郎教授及び国立国際医療研究センターの井上局長を講師にお招きして行いました。
また、参議院議員選挙で非常にお忙しい中、逢沢一郎事務所から政策秘書の竹山様がお越しくださり、逢沢先生のメッセージをお伝えしてくださいました。
山本教授からは、家畜を太らせるような抗生物質の濫用は薬剤耐性を引き起こす危険をはらんでおり、へたをすると抗生物質発見以前の状態に逆戻りしてしまう恐れもあるということ、人間は1,000種類以上、100兆個以上もの微生物(マイクロバイオーム)をまとい、それらと相互に作用しあって生きており、その関係をないがしろにした場合、どのような影響があるか予測が難しいことなどをお話しいただきました。
井上局長は、日本が世界に誇る国民皆保険制度は、今後団塊ジュニア世代を見送るまでの40年間が制度維持の正念場であり、現在の形で維持するということは考えづらいというほど難しい局面を迎えていること、日本の知見を世界にといった際に、成功事例だけでなく、先に高齢化を経験した国として、うまくいったことも困ったことも含め示すことがきっと他の国の役に立つというお話をしてくださいました。
また、今回は厚生労働省から鈴木康裕医務技監、結核予防会から加藤誠也結核研究所長にお越しいただいており、それぞれの近況や抱えている問題などについてご紹介いただきました。
講師からのお話が終わった後の質疑応答でも、講師から参加者へ逆指名の質問が投げかけられるなど、非常に熱のこもった議論が繰り広げられました。
セミナー終了後の懇親会もいつも通り大盛り上がりで、皆様のおかげでこのサンキューセミナーを続けられるということに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
UME
IMG_3004 (3).jpg

IMG_3005.jpg


IMG_3051.JPG

IMG_3072.JPG


IMG_3074.JPG


IMG-1927.JPG


IMG-1937.JPG



IMG-1957.JPG

IMG_3025.JPG

IMG_3034.JPG

IMG_3044.JPG

IMG_3042.jpg

IMG_3036.JPG

IMG-1938.JPG

IMG-1948.JPG

IMG-1946.JPG

IMG-1954.JPG

posted by resultsjp at 08:37| Comment(3) | サンキューセミナー