去る3月26日の作戦会議には、残念ながらお越しいただくことが叶わなかった方からも、様々なメッセージを頂いております。
以下、いくつかご紹介させていただきます。
まず初めに、共催者である国際母子栄養改善議員連盟会長の山東昭子参議院議員からのごあいさつを紹介します。
「国際母子栄養改善議員連盟会長の山東昭子と申します。本日はみなさまお忙しい中、「能登半島復興作戦会議」にお越しくださいまして、心より御礼申し上げます。また開催に当たり格別のご協力を賜りました能登町役場はじめ関係者のご尽力に御礼申し上げます。
能登半島地震が起きて1年3か月、能登半島豪雨から半年が経ちました。被災された皆様が、力強く立ち上がり、復興に向け心を一つにされていることにあらためて感謝を申し上げます。私も一議員として、政府の取組に後押しができるよう従来以上に努めてまいります。
この度の作戦会議は、パリの栄養サミットに合わせて開催されました。栄養サミットは、オリンピック・パラリンピックの開催に前後して、栄養や健康に関する事柄をテーマに、より幸福な社会の実現を目指して世界各国の政府・国際機関、企業、市民団体などが集まって議論をいたします。世界中の目の集まるその場において、日本政府主催のサイドイベントで能登の食文化と復興に向けた取り組みに焦点を当てたご紹介をできますことは、能登の復興の一助になると思います。
能登半島は、世界農業遺産にも認定された、日本を代表する豊かな里山里海を有し、食をはじめその恵みは計り知れません。長い間皆さまが先祖代々培ってきた暮らしの知恵、ゆかしいしきたりや風俗、お祭りや伝統芸能など豊かな資産に恵まれています。こうした能登の素晴らしさを世界に向けて発信できることは、一議員としてだけでなく一人の日本人として、大変誇らしく感じるところでございます。
もとより、復興の道が平たんではないことは、私どもも十分承知しております。立法、行政の世界に身を置くものとして、今後も災害大国日本を、防災大国に進化・発展させるべく、鋭意努めてまいる所存です。本日の議論で出ましたさまざまな貴重なご意見を、国際母子栄養改善議員連盟として、取り組みに反映するよう各方面に働きかけていく所存であります。
本日は能登町の皆様にお集まりいただくとともに、能登の復興に関心を寄せる各界各分野の有識者にお集まりいただき、この後、座談会、グループワークが開催される予定と伺っています。どうか幅広い視点に立って、実りある議論をしていただき、復興に向けたヒントやアイデアを一つでも多くお持ち帰りいただけることを祈念して、私のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございます。」
代読は、珠洲市で支援活動中のところ、わざわざ駆けつけてくださったピースウィンズ・ジャパンの橋本笙子さんにお願いいたしました。
お忙しいところ本当にありがとうございました。
挨拶の部の締めくくりは、石破総理からのメッセージを司会の上入佐慶太さん(日本航空)がご紹介してくださいましたが、緊張されたことだと思います。
「「能登半島復興作戦会議」が、能登半島地震からの復興支援の一環として、多くの関係者の皆様のご尽力により開催されますことを、心よりお慶び申し上げます。
新たな年のはじまりである元日に発生し、能登地域を中心に甚大な被害をもたらした令和6年能登半島地震から一年と3か月、また、地震からの復興の最中に発生した奥能登豪雨から約半年の歳月が経ちました。
今年の元日、輪島市で行われた一周年追悼式典に私も参列をさせていただき、復旧・復興への思いを新たにしたところです。
二度にわたる災害により犠牲となられた方々、その無念さ、最愛の方を失われた御遺族の深い悲しみ、それに思いを致しますときに、痛恨の極みで、哀惜の念に堪えません。ここに改めて、心から哀悼の誠を捧げますとともに、被災された方々全てに心からお見舞いを申し上げます。
地震に加え、9月の豪雨という度重なる被災により、甚大な被害を受けた能登地域の被災者の生活及びなりわいの再建等の復旧・復興のため、「能登創造的復興支援交付金」を新設したところです。この交付金も活用しながら、能登の創造的復興に必要となる施策に対して、柔軟かつ機動的に対応してまいります。復旧・復興をできる限り早く成し遂げることが、犠牲となられた方々の御霊に報いる道だと考えております。
石川県は本年を『復興元年』と位置付けており、政府としても一丸となって、被災前の活気ある街並みと人々の笑顔を取り戻すため、生活と生業の再建、被災地の創造的復興に取り組んでおります。
今般、第4回目の栄養サミットがフランス政府の主催で、3月27日及び28日にパリで開催されます。この機会に、日本リザルツが開催された本日の能登半島復興作戦会議に参加されているみなさんと栄養の重要性について共有することは、大変意義深いことです。
健康的な食事は、私たちの社会的、経済的活動の基盤です。食事は、栄養摂取のみならず、どの国・地域でも、人々が調理を行い食卓を囲むことは文化のひとつであり、人々の幸福や生活の質との関わりも深く、身体的及び精神的な健康にとても大切なものです。
能登は、自然と調和した伝統文化・食文化が大変豊かな地域です。2009年には、「奥能登のあえのこと」として知られる豊作を祈願する農耕儀礼がユネスコ無形文化遺産に登録されました。また、2011年には、「能登の里山里海」が国連食糧農業機関(FAO)に日本で初めて世界農業遺産に認定され、伝統的な棚田、地域特産の農水産物、伝統的な発酵等の技術、農耕儀礼等の風習や文化、輪島塗といった伝統工芸等が今でも根付いており、地域で培われてきた風土に合う食文化とものづくりは世界的にも評価されております。こうした分野での今後の若い世代の活躍にも期待しています。
かつて保存食として生活の知恵と加工技術として継承されてきた発酵食が、地消地産といった持続可能な社会への関心の高まりで注目されてきています。手間をかけることで、原料の食材の栄養価がさらに高くなり免疫力の向上や腸内環境の改善が期待される等、食材の旬の時期以外もおいしく無駄なく栄養が摂取できる工夫が再認識されています。能登半島に古くから伝わる素材を余すところなく活用する魚醤「いしり・いしる」は、その味わいや栄養価に加え、昨今の食品ロス対策の観点からも有益です。寿司の原型とも言われる発酵食の「ひねずし・なれずし」も、先人の知恵と工夫が詰まっており、未来に繋げるべき能登の伝統文化と言えるでしょう。
日本政府としては、パリで行われるパリ栄養サミットの機会を捉え、こうした日本の食文化も踏まえ、様々な国や地域の特色を考慮に入れつつ、官民そしてアカデミアを含む多様なセクター間の連携を通じ、健康的な食環境を作り出すための議論に貢献する考えです。こうした日本の強みが、国際社会での議論に反映されるよう、日本政府としてもしっかり取り組んでまいります。
被災前の、あの活気ある街並み、皆様お一人お一人の笑顔、朝市のにぎわい、あるいは漁村の活力、それらを取り戻すために、被災者お一人お一人の方々のお気持ちを受け止め、公営住宅の建設、災害廃棄物処理の加速化、そのような生活再建を進めます。併せて、寒ぶりやいか、能登牛、牛乳、米、しいたけなど、里山里海の恵みを活かした農林水産業の復興など、なりわいの再建を支援してまいりたいと思います。
最後になりますが、能登の伝統文化・食文化が復興の支えと心身の栄養となることを心から願うとともに、引き続き、被災地の創造的復興を進め、以前よりももっとよくなったと、言っていただけるような復興のため、政府一丸となって取り組んでまいります。
この会議に参加された多くの皆様方と共に、能登の復旧・復興を実現し、被災前の活気ある能登をできるだけ早く取り戻していくことをお誓い申し上げまして、私の御挨拶といたします。」
この他、世界銀行東京事務所はじめ各国際機関や、あさがおセミナー参加者の方など多数お寄せいただきました。本当に皆さまから心のこもったメッセージを頂き感謝に堪えません。また別の機会に是非ご紹介させていただきます。