2024年11月21日

11月20日 国際租税枠組条約問題で財務省主税局へ要請行う

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国連総会第2委員会での採択迫る

1120日、現在国際的に焦点となっている「国連国際租税協力に関する枠組条約」問題に関し、枠組条約と議定書策定のための交渉に入る一歩手前の、特別委員会への付託事項草案の国連総会第2委員会(経済と開発、税を審議)での採択が迫っています。つまり、ここで否決されれば枠組条約等策定は無に帰すことになります。

ところで、日本政府は枠組条約に関しては前向きではなく、一貫して採択に反対してきました。本年8月の特別委員会での付託事項議長草案の採択は、賛成110カ国、反対8カ国、棄権44カ国でしたが、超少数グループとなった反対8カ国の中に日本政府も入っていました(注1)。このままでは上記第2委員会での採択でも反対し国際社会で孤立するのではないかとの懸念から、要請することになりました。

私たちの要望と財務省のコメント

当日、財務省主税局からは、参事官補佐(国際租税担当)の大和史明さんが対応してくれました。冒頭、加藤勝信財務大臣あての「国連国際租税協力に関する枠組条約策定についての要望書」を提出し、主旨を説明しましたが、要望内容は次の2項目です(注2/全文)。

1、日本政府は、国連第2委員会における国際租税協力に関する国連枠組条約の付託事項草案の採択にあたり賛成票を投ずること

2、日本政府は、OECD/G20 BEPS包摂的枠組」における合意にこだわることなく、BEPSプロジェクトでの先進的知見を踏まえ、国連枠組での議論において主導的立場を取っていただきたいこと

この後ざっくばらんな意見交換となりました。財務省側のコメントと説明について簡単にまとめると次のようになります。「日本政府としてはやはり広範なコンセンサスが不足しており、国内資源動員(DRM)強化についても意欲を欠いているという認識であること。とはいえ、日本政府としては国連の議論については建設的に参加していきたいこと。また、採択については交渉事であるので、どうするとは言えないこと。さらにBEPS包摂的枠組の柱1(市場国での一定の課税権)については引き続き交渉を進める立場であること

日本政府・財務省は国連の場で枠組条約議論をリードすべき

このことに対し、私たちは次のようなコメントを付け加えました。「かつてOECDでのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトにおいて日本の財務省が能力を発揮し議論をけん引していたという経緯があったが、BEPS包摂的枠組の、とくに柱1での行き詰まり状況からして、OECDという枠からより広い国連という枠において財務省の知見を発揮すべきではないか」 

早ければ来週にも第2委員会において採決が行われる見通しです。その結果を皆さまにお知らせすると共に、日本政府・財務省、政党、国会議員に対し、引き続き提言活動を行ってまいります。

(注1)

国際租税枠組み条約に向けた付託事項草案、圧倒的多数で採択!!

http://isl-forum.jp/archives/4349

(注2)

加藤勝信財務大臣あての財務大臣への要望書・全文(こちらからお読みください)

http://isl-forum.jp/archives/4417

(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2024年11月19日

能登町だより〜藤波館の今〜

開館して2か月弱の藤波館を再訪しました。
すっかり秋の様相に変わりました。
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管理人の今さんが、インテリアに工夫を凝らしてくださり、少しずつ生活しやすくなっています。
写真でご紹介します。
玄関もいい雰囲気になってきました。シブいですね!
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キッチンには電子レンジが装備されています。お弁当を暖かくして頂けます。炊飯器もあります。
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談話室には大型テレビが!
コミュニケーションが弾みます。CATVを入れているので写りもばっちりです。
因みにWi-Fiもサクサク快適に繋がりますよ。
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二階の寝室です。新しいお布団が搬入されています。
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こちらはご寄贈いただいたファンヒーター、電気毛布です。冬支度も着々と進んでいます。
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日本リザルツは、全国から能登に来られるボランティアの方に、宿泊所として藤波館を提供しています。
利用者も少しずつ増えてきましたので、徐々に受入れの態勢を整えていきます。
(利用希望の方は、日本リザルツのホームページから申し込んでください)

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写真の建物、周囲の田圃も近々購入する予定です。
こちらを拠点にして、能登復興のためのいろいろな事業を進めていきたいと
考えております。みなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

裏山には能登らしい風景が広がりますが、紅葉も徐々に進んできました。
先日の日曜日から冷え込みが厳しくなり、冬の訪れを感じます。
朝晩の寒暖差は健康に宜しくないと聞きます。
みなさまどうかご自愛をお祈りいたします。
(のーびっひ)








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2024年11月18日

鵜川公民館で老眼鏡配布と健康相談

秋も深まり紅葉が色づいてきた能登の風景。気持ちよく車を走らせて本日は鵜川地区へと入って来ました。第一印象、とても綺麗に整備された町だなぁ〜と思ったのは私の勘違いで今回の能登地震で家が潰れてしまい解体された後の広々とした光景だったのです。

なんと今も解体中の住宅があり、車の往来がしにくくなっていました。

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そんな場所で本日は鵜川公民館で住民の「作品発表会」が開催されるとのことで呼ばれました。地震前は鵜川と言えば400世帯 約850人が住んでいた町です。地震がありほぼ半分以下が家を失い仮設住宅へと移り住みました。

本日は「老眼鏡無料配布」と女医さんに同席していただき「健康相談」をさせていただきました。その女医さんが地域の方といろいろ話をされて感心されたことがありました。

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地震後はこの公民館が避難所となった訳ですが、段ボールベッドが早くより持ち込まれ、高齢者が寝起きしやすい環境にしたこと。床で布団を敷き、休むことにより汚れた空気を吸ってしまい体調を崩される要因になる。そんな危機感を察知し、いち早く町に要請し環境を整えた。何に対しても迅速な対応で指示された。リーダー的存在が現在の公民館館長、12回のアルコール消毒の徹底で感染症対策に努め、その努力でコロナ感染者はゼロであったことなどお聞きし、「避難所運営は女性をトップにするのが一番」と絶賛されたのです。


今回も老眼鏡無料配布には、たくさんの人が来て下さいましたが、同行された女医による健康相談。頭の先からつま先のことまで、皆さんが日ごろ気になっておられることを何でも気軽に相談されていました。それは、同席していただいた先生の人柄が能登の被災者に受け入られたからだと思います。ありがとうございました。

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地震で家を失っても被災者の素晴らしい作品展から、能登のたくましさが伺えます。来年こそは鵜川で有名な「にわか祭り」が盛大に出来るように祈ります。



(けいたん)

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COP29:グローバル連帯税で数千億ドル創出可能との訴え>ミア・モトリー首相

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今月11日からアゼルバイジャンのバクーで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)が開催されました。最大の焦点は、条約が拠出を義務付ける先進国から途上国への対策資金の増額です。これまで2020年までに年間約1000億ドルを拠出し、2025年まで継続することになっていますが、25年以降の支援のあり方、つまり気候資金に関する新規合同数値目標(Finance and The New Collective Quantified Goal on Climate Finance)を決定することになっています。(もう一つの焦点は、パリ協定に基づく国別の温室効果ガス削減目標(NDC)の引き上げですが、ここでは省略)


グローバル連帯税タスクフォースと日本政府の動向


このことにつき、先進国側は具体的な提案を行っていませんが、途上国側は年間1兆ドル以上という提案をしています(G77+中国は1.3兆ドル)。が、先進国側は1000億ドルでさえようやく拠出している現在、もう一桁上げるのは容易ではなく、交渉が難航することは必至の状況です。


そういう中で、「一部の指導者たちは、気候変動対策のための財源を充実させるための『革新的な』方法を模索し続けている。バルバドスのミア・モトリー首相は火曜日(12日)の演説で、海運会社、航空会社、債券、株式に課税し、化石燃料の採掘に課税すれば、数千億ドルの資金を調達できる可能性があると指摘した。フランス、スペイン、ケニア、セネガル、コロンビアを含む14カ国と欧州委員会、アフリカ連合は、『連帯税連合』を通じてこれらのアイデアをより具体化しようとしている」(1113日付Climate Home News)と伝えられています。


連帯税連合とは、既報の「開発・気候・自然のために国際課税に関するタスクフォース」改め、フランス、バルバドス、ケニアを共同議長とした「グローバル連帯税タスクフォース:人類と地球のために」(The Global Solidarity Levies Task Force: For People and the Planet)のことです。これも既報通り、同タスクフォース(以下、GSLTFと略)は昨年6月にパリで開催された「新グローバル金融協定サミット」を機として設立されたものですが、当フォーラム並びに国際連帯税創設を求める議員連盟はGSLTFに日本政府=外務省としても参加するように要請してきました(注1)。しかし、外務省は動きませんでした。


国際租税や気候ファイナンスの専門家など錚々たるメンバーでTF報告書作成

さて、モトリー首相の演説は、12日のGSLTF共同議長の国家元首または政府首脳会議の場で発したものですが、報告書「連帯を拡大する: グローバル連帯税の進捗(Scaling Solidarity: Progress on Global Solidarity Levies)」(注2)の内容を述べたものです。まずこの報告書を作成した専門家や国際機関のメンバーを見ますと、国際租税や気候ファイナンスの専門家など、実に錚々たる顔ぶれが並んでいます。


OECD租税政策・行政センター前所長のパスカル・サンタマン(OECDBEPSプロジェクトの責任者であった)、国連租税条約特別委員会議長のラミー・モハマド(現在最もホットな国際租税問題を主導している)、アフリカ租税行政フォーラム事務局長のLogan Wort(アフリカでのIllicit Financial Flows対策を主導)、気候ファイナンスに関するハイレベル専門家グループ共同議長のVera Songweなど(敬称略)。


◎連帯税のオプションを見てみましょう。


1)航空税:検討されている政策オプションには、灯油燃料税(プライベートジェット燃


料の協調課税を含む)や、高級航空券や頻繁な飛行機利用者への航空券課税など


2)化石燃料課税:化石燃料の採掘、臨時利益、多国籍企業の最低法人税率の引き上げなど


3)金融取引税:選択肢には、株式0.1%、債券0.1%、デリバティブ0.01%の税率を想定


4)海上輸送課税:「well-to-wake」課税(燃料を生産し、輸送し、船上で使用するまでのプロセス全体と、そこで発生するすべての排出物への課税)をベースとする


5)プラスチック生産課税:一次ポリマー生産に対する課税


6)暗号通貨課税:暗号通貨マイニングのエネルギー需要が高いことを考慮し課税


7)超富裕層個人への課税:億万長者に対する協調的な最低2%の課税


※ TFは当面1)〜4)をメイン課税分野とし、5)〜7)をさらに検討していくようです。なお、詳しい分析については、今後のメールで報告しますが、オピニオン電子メディアProject Syndicateでも、Emmanuel MacronMia Amor Mottley, and William Rutoの連名で“The Case for Solidarity Levies”というテーマで寄稿されています(注3)。


いずれにせよ日本政府を含む先進国側は、財政がたいへん厳しい中にあって、グローバル連帯税を真剣に検討していかなければならないでしょう。


(注1)国際連帯税議連、上川外務大臣要請を行う>国際課税TF参加を要望


    http://isl-forum.jp/archives/4195


(注2)Scaling Solidarity: Progress on Global Solidarity Levies


https://globalsolidaritylevies.org/app/uploads/2024/11/GSLTF-Scaling-Solidarity-Progress-on-Global-Solidarity-Levies-report.pdf


(注3)The Case for Solidarity Levies

※イラストは、Project Syndicateより
(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)
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2024年11月16日

矢波お楽しみ会にて老眼鏡配布

青空が海の彼方まで広がり、ここはとても気持ちの良い場所。昔、能登鉄道が走っていたころに矢波という駅がありました。随分、昔に廃線になりましたが、今でもホームらしき面影は残っています。

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今日、訪れた会場はその沿線のすぐ側に建っている「矢波集会場」です。そこに、毎月第2月曜日に地域のお年寄り、約30名ばかりが集まりお楽しみ会が開催されています。

外部からのボランティアグループ「能登町老人保健ビジター」が軽体操・ゲーム・頭の体操(認知症予防)などして地域の高齢者を元気にしています。

また、地区ボランティアの方がこの会のお世話役をしています。

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この集会場はまだ新しい建物で地震の被害も受けなかったようです。住民の方にお聞きすると、建てられてから五年も立っていないとか・・・地震後はここが避難所となり、地域の皆さん、ここで何日も泊まられたそうです。



集会場の片隅に老眼鏡配布の場所を設けていただき、必要な方々お一人、お一人に度数合わせをしてお渡ししました。中には知り合いの方がおいでて何年かぶりの再会。地震後の安否確認もできて嬉しい限りです。


この老眼鏡配布活動は、皆様に本当に喜ばれ感謝され、私も元気が貰えるけど、何より高齢者の皆様が

笑顔になって戴けるのが嬉しいです。

さぁ〜明日は何処へ・・・。

(けいたん)


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2024年11月13日

この気持ちどこへぶっければいいの?

ある仮設住宅を訪問した時に、こんな話を聞いた。自宅を公費解体することになり、役場より紹介して貰った解体業者(本社)と話しを進めていた。解体日が決まったと連絡を受けたのだが、「家の中からまだ、運び出したい物があるからもう1週間待って欲しい」と本社の方にお願いしていた。それなのに、その話が子会社にきちんと連絡されておらず、家の中の大切な物を取り出さないうちに、解体が始まってしまったのだ。

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(写真と本文は無関係)


階段に縛って除けて置いた着物も災害ゴミ捨て場に・・・すぐにゴミ捨て場に見に行ったが、見つけられる状態ではなかったとのこと。娘の物も同じこと・・・悲しんでいた。

そんな話を聞いて、私はかける言葉も出なかった。


この方は淡々と話しをされるが、もう吹っ切れたのだろうか?

私はその時の心情を考えると、本当に気の毒でならない。と言うかなぜ、このようなことが起きてしまうのだろうか。

本社と子会社の連絡ミスという単純なことでは済まされないと思う。


この間、輪島の方でもそのようなことがあり新聞に取り上げられていたが、まさかそれ以前に能登町でも起きていたとは・・・本当に驚いた。


こんな場合、行政には責任はないのだろうか?

何の補償もないのだろうか?

泣き寝入りするしかないのだろうか?


ただでさえ地震で自宅を解体せざる負えない状態になり、辛い思いをされている中で、こんなミスで被災者の心を傷つけてしまい。その業者はどこまで重く受け止めているのだろうか? 親会社も子会社の失敗だけで済まされる問題ではないであろう。

真剣に相手の身になって考え反省して欲しいものです。二度と同じようなケースを起こさない為にもヒヤリハット会議を是非、実施して欲しいです。


本当にこの気持ちどこにぶっければ良いの?              

 (けいたん)


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2024年11月09日

財務省への質問:BEPS包摂的枠組、DST課税、国際租税枠組条約について

11783回財務省・NGO定期協議(*)で、当フォーラムは、3項目につき質問を出しました。詳細は下記提出文書を見ていただきますが、まず骨子を述べます。


【質問骨子&足下でのアマゾン等巨大IT企業の租税回避】


BEPS包摂的枠組みの「市場国への新たな課税権の配分」(柱1)につき、今後実施できる可能性は厳しいものがある。実施が伸びれば伸びるほど米国等の巨大IT企業からの法人税を徴税できないか、または過少納税となっている現状を放置することになる。


〇 これは税制上の不公正、ビジネス上の不平等を継続することになり、これを是正するためにデジタルサービス課税(DST)を準備すべきではないか。実際、アマゾン・ドットコムは日本で36663億円も売り上げており(2023年)、過少納税のまま。他のIT企業も同様である。


グローバル化・デジタル化経済における包括的でSDGs理念に相応しいグローバル税制を確立するためにも、またDST実施への米国からの制裁関税を回避するためにも、日本政府は国際租税枠組条約を推進すべきではないか。今後行われる国連総会での付託事項草案の採決に賛同し、議論をけん引すべきである。



【財務省への質問文書】


テーマ:BEPS包摂的枠組み(IF)における柱1と柱2の進行状況、デジタルサービス課税の新設、国連国際租税協力に関する枠組条約について


1)BEPS包摂的枠組み(IF)における柱1と柱2の進行状況等についての質問

1の「市場国への新たな課税権の配分」については、20246月までに多数国間条約の署名、2025年発効という予定でしたが延期されています。今後の展望をどう見ていますでしょうか。


2の「グローバル・ミニマム課税」については、我が国でも2023年度税制改正で法制化され、本年4月以降より適用されていますが、今年度の税収はいくらほどになるでしょうか。また、その税収は海外でビズネスを展開している多国籍企業からの税収となりますので、税収の一部をSDGs達成のための革新的資金源として徴収できませんでしょうか。


2)デジタルサービス課税の新設についての質問

これは上記IFの柱1との関連となりますが、もし多数国間条約が不成立となった場合、次の国際交渉−合意までにかなりの時間を要することが予想されます。そうなれば日本においてビジネス展開する米国等の巨大IT企業からの税金が徴収できないか、過少にしか徴収できない状況が続き、これは「価値創造の場で税金を払うべき」というBEPSプロジェクトの原則に反することであり、ビジネス上での公平な競争を妨げるものです。


従って、日本政府としては欧州各国やインド他多数の国が実施している(実施を準備している)デジタルサービス課税を準備し、早期に実施すべきではないでしょうか。また、この税も海外でビズネスを展開している多国籍企業からの税収となりますので、税収の一部をSDGs達成のための革新的資金源として徴収すべきではないでしょうか。


3)国連国際租税協力に関する枠組条約についての質問

BEPSプロジェクト、就中上記IF100年ぶりの国際課税制度の改変という画期的内容を含むものでしたが、これを主導してきたOECD(経済協力開発機構)プロセスでは行き詰まっています。これに対し、途上国側からは国連を軸とした国際租税制度を構築すべきとして、「国際租税協力に関する枠組条約」をめざす動きが起き、昨年国際租税協力枠組条約ToR起草特別委員会が組織されました。そして、先の816ToR案が採決され、賛成110、反対8、棄権44で可決されました。この反対8の中に日本が含まれ、財務省主税局総務課主税企画官の原田浩気さんが反対意見を述べています。また、棄権44にはEU加盟国(OECD加盟国でもある)が多く含まれていますが、9月の国連未来サミット並びに一般討論演説においてノルウェー政府首相が建設的に取り組むと発言しています。


今後の予定ですが、国連総会において年内に「付託事項」が決定し、同条約および議定書の交渉委員会を支える事務局の設置が決まり、2025年から2027年にかけて同条約および議定書の中身が議論されていきます。


そこで質問です。日本政府は、@未来サミットの『未来のための協定』で謳われている「国際租税枠組条約策定プロセスに建設的に関与する」という提言、A先の1023-24日開催されたG20 財務大臣・中央銀行総裁会議での「国連における、国際租税協力に関する国連枠組条約とその議定書の策定に関する建設的な議論を引き続き奨励する」という声明に逆行して、年内に開催される「付託事項」案件に関する国連総会で再び三たび反対の立場を表明するのでしょうか。むしろ日本政府においては、OECD/BEPSプロジェクトをけん引してきたという経緯を踏まえ、国連における議論につき積極的に前に進める役割を担うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。


*)財務省・NGO定期協議は「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が事務局を担い、1997年から開催され、27年目の今回で83回を数えています。詳細は、次のJACSESwebサイトをご覧ください。http://jacses.org/mofngo/


(報告:田中徹二・グローバル連帯税フォーラム/日本リザルツ理事)

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2024年11月08日

あさがおセミナー第4回(「能登復興作戦会議」編)

115日開催のあさがおセミナー第4回では、去る98日にあさがおセミナー第3回として金沢市で開催した、「能登復興作戦会議」の概要を野村さん(慶應大学特任教授)からご紹介いただきました。この会議は、地域の中で復興の担い手となっている方々、石川県庁など行政関係者、県外から支援している企業関係者など約30名が集まって、復興に向けての取組の紹介や意見の交換を行ったもので、野村先生も参加者の一人です。IMG_3847.JPG


野村先生からは以下3点、お話がありました。




1,比較的小規模な自治体では単独では災害対応に限界がある。大きな問題が発生すると自治体だけでは職員のマンパワーが追い付かず、現場のニーズに素早く対応できない状況がある。東北大震災の時にも、自分も介護の現場で、ライフラインの復旧の遅れから長期間食事提供ができなかったという体験を思い出した。


2,農業・漁業など伝統産業の直面する課題。漁業を例にとると、従事者には高齢者が多く、震災で船を失ったことで、漁業再開に見切りをつけてあきらめて廃業する人が多い。また事業意欲があっても、漁船を新たに作る初期投資が多額なことが壁になる。伝統行事でいうと、珠洲市宝立町のキリコ祭りも、切子灯篭の大半が流出してしまい、若い担ぎ手も減少しており、伝統の継承が危ぶまれている。灯篭を新しく作るにも木材を自然乾燥するだけで3年かかるとのことで、再開にも非常に時間がかかる。


3,一方で、一例として支援団体「東の食の会」の方が中心となり、「のとのもんキャンプ」を毎月開催している。これは、能登の生産者たちを集めてブランディングやマーケティングを勉強してもらう場つくりである。また被災地の学習塾関係者が、金沢市内に移住した能登出身者のための居場所づくりとして「能登國(のとのくに)学習センター」を立ち上げるなど、それぞれの立場で復興に向けた活動を進めている、などの話を聞き、復興に向けて新しい芽が出てきていることを感じた。




また、日本リザルツ・黒岩理事長補佐からは、日本リザルツによる支援策の一つとして、各地から能登に応援に来る人々が泊まれる場所がないので、リザルツが拠点として購入した古民家を、宿泊施設として開放していることの説明がありました。正面全景.jpg


さらに、支援として一方的に食事を差し上げるだけでなく、共に作って共に食べる場を設けて楽しく食事をすることで、高齢者の食と栄養を改善したいという思いで、これを可能にする古民家を探している、とのお話がありました。


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これに関連して、ご出席いただいた参議院議員の上野通子先生から、廃校になった小学校を利活用してはどうか、とのご提案をいただきました。少子化等により小学校の廃校は全国で450校に上るそうで、まだ新しい、給食室も充実しているところも多いので、共食の場として、幅広く地域のために利用することを考えてはどうか、とのことです。

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日本リザルツとしても、古民家の再生、活用は日本の伝統文化を守り継承するうえで大切なものだと思います。また一方、地域に残されたさまざまなインフラの活用についても目配りを続けていきたいと思います。

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あさがおセミナー(第4回)

115日(火)、早朝830分より参議院議員会館にて、国際母子栄養改善議連と日本リザルツの共催によるあさがおセミナー第4回を開催いたしました。来年3月開催のパリ栄養サミットに向けて、議論にもいよいよ熱がこもってきました。以下概要をご報告します。

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いつものようにまず山東昭子議連会長のご挨拶から始まります。

冒頭、日本リザルツの能登における支援活動にも言及いただきました。能登を例にとり、高齢者、若い人、子供たちも含め「居場所をしっかり作るのが大切」とのお言葉がありました。

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会議の前半は第3回の「能登復興作戦会議」の説明が野村先生からありました。こちらは別のエントリーで改めてご紹介します。

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参議院議員の上野通子先生にもご挨拶をいただき、パリサミットに向けて確り支援をしていくというお言葉を頂きました。

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議論に入り、先ず皮切りに外務省の喜多洋輔国際保健戦略官から、9月の国連総会でのN4Gサイドイベントの結果概要、N4Gパリサミットに向けた準備状況について説明がありました。

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一方、民間側から明治の河端役員から、栄養プロファイリングシステムを中心にしたレギュレーションに係る問題点のお話がありました。

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引き続き、各省庁(環境省、厚生労働省、財務省、内閣官房、農水省)から現在の取り組み状況のコメントがありました。

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これらのプレゼンテーションを受けて、後半戦ではディスカッションに移りました。モデレーターは夫馬健司さん((株)ニューラル代表、信州大学特任教授)です。

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小杉さん(三菱UFJ銀行)からは最近のATNIの動向と、日本企業への影響、対応について説明がありました。

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山口さん(NJPPP事務局長)からは10月のビジネス コンスティテュエンシーグループの会議結果についてご説明がありました。

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その他、荻原さん(味の素)

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清水さん(日清食品)

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山本さん(国際医療福祉大学)

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中村さん(日本栄養士会)

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などの皆様から、それぞれのお立場に基づく様々なご意見を頂きました。

最後に、世界銀行議連副会長の猪口邦子先生から、総括を頂きました。母乳の重要性、妊婦の栄養状態の維持の必要性から生物多様性条約締結をめぐる議論まで、大所高所からのご意見を賜り議論を締めくくっていただきました。
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延長戦も含め、1時間半にわたり密度の高い議論が交わされました。サミットにおいて民間セクター、企業の参加に制約がありうるのではないかという懸念から、オールジャパンとして一体となって、日本の官民が協力して作り上げた栄養野瀬策をどうサミットに反映させていくか、残り時間が限られる中、今後もしっかりとした議論を重ねていきたいと思います。

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次回最終の第5回は、サミット直前の24日に開催の予定です。


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2024年11月07日

「シルバーショップかがやき」で老眼鏡配布活動

今日の配布場所はリザルツが老眼鏡配布活動をしていると知った担当者より依頼があり

「是非、来て欲しい。必要な人はたくさんいる」と懇願され訪れました。

ここはシルバー人材センターが経営するリサイクルショップでシルバー会員の方が店員となり運営されています。地震後よりこの場所に移転しました。以前の場所は全壊で公費解体されました。現在の場所はプレハブで作られた2階建ての建物でその一角を役場より借り受けての営業です。

リサイクルショップなのでいろんな物が置いてあります。誰が持ち込んでもオッケー、ただし買い取りではありません。自分はいらなくても誰かには必要な物・・・そんな品物がところせましと並んでいます。

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本日の配布の為に事前より、店頭にポスターを張り出して準備して下さっていた様で開店当初よりお客様が「楽しみにしとった」と入って来られました。


この場所は能登町の繁華街。目の前にはバス停、スーパー・役所・病院と人通りもあります。

バスの待合室にいらした方も人の出入りが多いのを見られて訪ねて来られました。また、人が人を呼び、一時はお店の中が大混雑。


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向かいのスーパーで買い物帰りに立ち寄られたお客様。今回の老眼鏡配布活動を皆さんに喜んでいただきました。


シルバーショップの中にも旬の野菜など沢山あります。売り上げにも貢献できた配布活動でした。        

        (けいたん)

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